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95.桜花国記(帝都への移動と目録にあるモノ)


 次の日

 朝、日が出る前に帝都に移動する。


 アヤカと俺達は、数頭引きの馬車がそれぞれにあてがわれ、外交官やニカナの豪族達も似たような作りの馬車で移動を開始した。

 似たような作りと言ったが、まったく同じではなく素材や作りの細かさ、馬車を引く馬の大きさなど違いがあり俺達が乗る馬車は他と比べると数段上の者の様だ。


 ただ、馬の体躯は他と比べれば大きい方だが、サラブレット種などに比べれば圧倒的に小さい。

 そのため普通は1台の馬車を引くのに2~4頭で十分なのだが、このニカナが用意した馬車はそれより多い頭数で引いていた。


 「ふむ、フォルフェバレクの時もそうじゃが、道の整備は何処も同じ様じゃな」

 「そうだね、振動吸収のサスペンションや軸の磨耗を抑えるベアリングも無いから、もしこの馬車が壊れれば修理が大変だね」


 付け加えると、フォルフェバレクの馬車は王族や上位の貴族が乗るものだったらしく各部に魔道具を使って乗り心地と、補修の頻度を減らしている様だ。

 しかし、ここニカナでは、そういった魔導文化が未発達と言うか、その様な物に回すような術式ではないようだ。

 我が国の調査資料によると、占いや祈祷、呪詛などに重きを置いていうので部品や生活の一部には、まだ取り入れられていない。

 ただし、呪詛などを防止する結界などに力を入れている様なので、フォルフェバレクよりそちら方面に強い印象がある。


 日本の様に島が連なる列島国のニカナ

 西の大陸には上陸する事は可能だが、すぐ先を山脈に覆われ人が住むには狭すぎる土地

 それに大陸のニカナ側は、その山脈が延々と続き人が住める環境は猫の額ほどでニカナ列島以外に生活基盤を築くには、膨大な費用を投じて山を切り開きライフランを整備しなければまともに生活する事も難しいだろう。

 そのためこの国の周囲には、人が国として成り立つような土地はニカナしかなく、詰まるところニカナ以外の国は遠く離れ交流すら不可能と思われる。

 だから魔法魔導文化も他とは違い独自性が出ているのだろう。


 馬車の隙間からのぞ藁葺わらぶきの様な民家を遠くに眺めながらニカナが何故この様な文化形態なのかを考察する。

 て言うかぶっちゃけ、その位しかやる事がないのだが……。

 アルフィーナは、昔からこういった状況に慣れている様で鞄から書物を取り出し自身の研究に埋没している様だ。


 帝都到着まで各自、何かをして暇を潰すのだが、俺はどうも暇である事はどうも落ち着かないらしく何か無いかと仕事を探し始める。

 かと言って、桜花の仕事は息子に経験を継がせるべく儀式や式典の参加、書類整理などは全て任せているし家なら盆栽をいじったり畑を耕したりと仕事があるのだが、こんな馬車の中では手持ち無沙汰


 さてさて、どうしたものか……と、無限収納の中の目録を広げ、今回ニナカへ渡す予定のお土産を確認していく。

 意識下の眼前に広がる目録をスクロールさせて行くと、フォルフェバレクには渡さなかった品物が映し出されていた。


 「ああ、そうだ。 これ、どうしようかな?」

 「マスター、どうしようかな?とは?」


 俺と無限収納を共有するミナが質問してきた。


 「ん? 調査の段階で分かっていたが、取り出しても大丈夫かなって」

 「それは、問題ないと判断します。 重要事項ですが、おそらく帝都で説明があるかと……」

 「そうだね、アヤカ殿から話があるのは間違いないと思うけど……いきなり取り出せば邪推する者もいるかもしれない」

 「確かに、その可能性は否定できませんが……でしたら私からの提案と言う事で取り出せばよろしいかと」


 「う~ん」と考えてみるが、ミナがこの様に言っているし、彼女ほど適役はいないかもしれない。


 「分かった。 その辺の説明も含めよろしく頼む!」

 「お任せ下さい」


 ミナの答えに頷き、次の品物に視線を移す。

 このように各自がそれぞれに暇を潰し数日が経過すると、いよいよ帝都に到着となる。

 もちろん道中でも色々な持て成しを受けたのだが、まあ割愛って言う事で……。


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