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音ゲー部!  作者: day
第2章 〜過去との因縁〜
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第10話 〜Dear all music game prayers〜

第10話 〜Dear all music game prayers〜


太田は丸池をいつものゲームセンターへと連れてきた。


面倒くさそうにため息を吐く丸池を横目で見て太田はある筐体へと向かった。


「・・・へぇ、懐かしいな。」


それは数ある筐体の中でもかなりの大きさでありBEMANIのメインと言っても過言ではない、beatmaniaⅡDXだ。


「今から僕がやるのを見て欲しいんです。」


太田は筐体の前に立ったまま振り向いて丸池に言った。


「なんで俺が・・・って言いたいところだけど、しょうがない、付き合ってあげるよ。」


丸池はやろうと思えば今すぐにでも帰れた、しかし丸池は自分の意志で帰ろうとはしなかった。


何故なら彼の、太田寛之の目を見た瞬間何かを感じ取ったからだ。


さて、君は俺をどうしてくれるかな?と丸池は挑戦的な目で太田を見つめる。


太田はe-passを当ててゲームを始めるとターンテーブルをクルクル回しとあるモードを選択する。


「段位か・・・。」


太田が選んだモードは段位認定だ。彼は現在六段であり七段を目指して頑張っているところだ。


「よし、今日こそサファリを倒す。」


太田は気合を入れボタンを押した。デーンという音と共に段位認定が始まる。



「っし、ここまで順調♪」


太田は現在ゲージが80%残ってる状態で3曲目をクリアした。


「へぇ、思ったよりもやるんだな。」


だが、と丸池は呟き、さて、と太田は気持ちを切り替える。


七段のトリを飾るは幾多の六段を屠り去ってきたThe Safari。これがクリア出来て初めて七段を名乗れるのだ。


曲が始まる。


滑り出しは順調だった。3つ以上の同時押しを抜けて少し押しにくいノーツもなんなく拾っていった。


だがここで最初の関門がやってきた。


「来たかテレテレテッテ。ここで詰んでたら七段なんて夢のまた夢だぞ?」


最初の関門、テレテレテッテだ。67トリルに混ざり非常に押しにくいノーツが襲いかかってくる。


テレテレテッテはサファリの代名詞でありトラウマメーカーとも呼べる存在だ。


太田はここで初めてゲージが減らされた。今まで貯金してきたゲージをここで解放するかのようにどんどんと削られていく。


7回にも及ぶテレテレテッテを抜けて太田は休憩地帯へと入る、この時点で残されたゲージは50%だ。


休憩地帯と言ってもタイミングをずらされたり小さい螺旋階段があったりとそう簡単に回復をさせてもらえない。


休憩地帯を抜ける、その前に第2の関門が太田に襲いかかる。


「さあ、ホイッスル地帯をどうするか。」


ホイッスル地帯とは、ホイッスルがポピッポポピッポピッピップーと鳴っているのでそう呼ばれているのだがここは皿と1.3.7鍵の同時と邪魔な配置のノーツが来るため1Pの太田にはかなりのダメージが入る地帯だ。


この時ゲージは32%、あまりよろしくない。


休憩が終わり直ぐにテレテレテッテが襲いかかってくる。


今度はさっきよりも若干ノーツが増えており余計に押しづらくなっていた。


5回目のテレテレテッテがきた時、


\デューン/


ゲージが尽きて閉店してしまった。


「ああ、惜しいね。じゃあ俺はこれで・・・。」


「まだだ・・・。」


「え?」


立ち去ろうとした丸池が呼び止められたと思い立ち止まったが、それは思違いであった。


「まだいける、これで終わりじゃない、あとちょっとだ、いける、いける、いける!」


「あ、あいつの独り言・・・か?」


太田は自己暗示を掛けまた再挑戦した。


その目には目の前の筐体しか見えておらず、その耳には余計な雑音は聞こえておらず、その頭には七段を合格することしか考えていなかった。


「面白い、もうちょっと見てるか。」


その異様なまでの執着ぶりに丸池は興味を惹かれ今度こそ自分の意志で帰ろうとはしなかった。



・・・これが彼から感じた何か、なのか



太田の七段粘着は続いた。幸い今日は他に弐寺をやる客が居なかったので太田の粘着は止まらなかった。


2回目、3回目、4回目・・・


そしてn回目の挑戦時、もう丸池のことを忘れたかのように太田は没頭していた。


その姿を見て丸池は昔のことをふと思い出した。


「そういえば俺もよく七段で苦しめられてたな、こんな感じで、ほんとそっくりだよ。」


なんどもなんども挑戦して、いつも同じ場所で閉店するのを繰り返してたあの頃、当時は嫌気がさすなんてことはなかった。ちょっとでも先へ進めたらその時はめっちゃ喜び、いつもより早めに閉店したらはぁとため息をついていた。次こそは、次こそはと挑戦していくのがとても楽しく思えたあの頃、今、当時の自分が経験したことが目の前で繰り広げられている。


「ほんと、いろいろ思い出されるよ。七段合格したときは嬉しかったなー。で、何日かした後、縦皿と会って・・・!」


丸池は、はっ!っと我に返った。


「縦皿と会って、あいつの七段挑戦を応援して、ダンクや彩香、荻田と会って、それで、音ゲー部を作って・・・。」


自分の封印していたはずの記憶が蘇ってくる。音ゲーを心から純粋に楽しんでいた頃の記憶はおろか、もう2度と関わらないようにしてきた音ゲー部のことも、記憶が湧き水のように溢れ出てくる。




ーああ、そうか。俺、音ゲーが大好きだったんだなー




丸池の目には自然と涙が流れていた。しかしそんなことは気にもとめず、只々目の前の、過去の自分の生き写しを見ていた。



太田はもはやサファリ攻略の事しか考えていなかった。


今自分が弐寺をやっている経緯なんてどうでもいい、今はこの曲をクリアすることだけに専念しろ、自分にそう言い聞かせる。


現在ゲージは40%で丁度ホイッスル地帯を抜けたところだ。


67トリルはもう適当に誤魔化す、餡蜜しているのかただ単にべちゃっと押してるだけなのか自分で理解してないままテレテレテッテをなんとか耐える。


無我夢中でテレテレテッテを耐えてるとラストスパートを意味するホイッスルが聞こえてきた。


あと4回テレテレテッテを耐えればクリアも同然だ。


テレテレテッテ×1


テレテレテッテ×2


テレテレテッテ×3


「よし、ラスト!」


テレテレテッテ×4


4回目のテレテレテッテを抜けたあと、そこは明らかに音が減っていてテレテレテッテも67トリルに2、3つ他のノーツがついただけの劣化版テレテレテッテになっていた。


現在ゲージは8%、太田は心臓をバクバク言わせながら最高に集中していた。



そして、太田は最後の1ノーツを押した。



「っっっっしゃぁぁぁぁぁ!七段やったぞぉぉぉぉぉ!」


太田は周りを気にせず盛大に感情を爆発させた。


綺麗な2回転半を決め太田は自分の後ろ側を久しく見た。


「あ、丸池先輩・・・。」


今の今まで忘れていた存在に気付き驚きとやべぇという気持ちが混ざって硬直状態に陥った。


「す、すみません。つい熱くなってしまって先輩のことを・・・。」


太田はなんて言われるのかびくびくしながら構えていると、丸池は何も言わずパチパチパチと拍手をした。


「あ、あれ?」


太田が戸惑っていると丸池は太田の方へと近づいてきた。


「お疲れ、七段おめでとう。それと、ありがとう。」


そう言って丸池は今度こそ太田に背を向けて外へと歩いて行った。


その晩


・・・あー、もしもし?俺だよ、俺。・・・なんだよ、そんな驚くこったないだろ、久々に電話しただけでよー。・・・あぁ、そうだ。お前の後輩にはしてやられたよ。あんなん見せられてどうもならないとかそれはもう人間なのか疑問に思うね。・・・そうか。通りで余計に感情移入したはずだよ。昔の俺そっくりじゃん、その話聞くと。・・・はは、全くだ。それはそうとさ、ちょっと虫が良すぎるかもしれんけどさ、・・・ああ、そうだ。・・・うん、うん、わかった。それじゃまた明日な。





後日、太田は緊急集会という名目で部室に呼ばれた。


太田が部室へ入るともう他のメンバーは全員揃っていた。


「緊急集会ってなんですか?今日はオフだと思って危うく帰るところでしたよ。」


「すまんな、今日はちょっと大事な話があるからな。」


縦皿はそう言って椅子から立ち上がった。


「みんな、わざわざ集まってくれてありがとう。実は今日新しく入ってくる部員がいるんだ。」


部室内がざわざわしだした。恐らく全員に知らされていなかったのだろう。


「っと、そろそろかな。」


縦皿はスマホを見てからドアの前まで移動した。その新入部員がドアの外でスタンバイしているのだ。


「よし、じゃあ入ってこい。」


縦皿がドアを開けるとその新入部員は部室へと入ってきた。


その新入部員は、新入部員であっても新入生には見えず、寧ろ2年生以上は見たことのある人物だ。


ある者は驚き、ある者は喜び、またある者は涙を流した。



「今日からお世話になります、丸池というものです。専門機種は・・・全部です!」





音楽ゲーム、それは努力がものを言う世界である。一生懸命努力し、頑張って頑張って頑張り抜いて、初めて上に進める世界だ。しかしどれだけ努力しても、どれだけ金を費やしても超えられない壁というものが存在する。そこで挫ける者もいればそこで悪態をつき辞めていってしまう者も星の数ほどいるだろう。でも忘れないで、昔の、スコアなどを気にせず純粋に楽しんでいた時を。思い出して、初めて曲がクリアできたとき、初めてフルコンできたとき、初めて上のランクに上がれたときのことを。音楽ゲームは確かに上手い方が楽しい。だがそれだけではない。いくら上手くなくても自分の好みの曲を見つけたり、友達と協力プレーをしたり、ましては自分の好きな曲をプレーするだけで十分楽しいのだ。上手いだけが全てではない。実力が伸びず楽しさを見出せなくなってしまった人には改めて知ってほしい、ただ単純に飽きてしまった人には思い出してほしい、そして今から音楽ゲームを始める人には忘れないでいてほしい。


音楽ゲームって凄い面白くて楽しいんだよ!

From 太田 寛之






はい、以上で音ゲー部!の最終回となります。


かれこれ1年半書いてきましたがここで取り敢えず筆を置かせていただきます。


もしかしたらまた気まぐれで書くかもしれませんが取り敢えずは完結とさせていただきます。


第2章は10話と少し短い気もしましたが如何だったでしょうか?


私個人としては上手くまとまったなと自画自賛したりしてます(笑)


このストーリーを書いてみたいと思い、この小説を書き始めたので私としてはもうなにも思い残すことはありません。(ただミュゼカの伏線を回収できなかったのがちょっと心残り)



さて、ここまで読んでくださっている方が何人残っているかはわかりませんが、もし第1章からここまで見てる方がいたらその方にはとってもとっても感謝です。それはもう感謝してもしたりないくらいには。


正直自分のモチベが下がっていて読者も比例して減っていっていると感じていて失踪も考えたのですが、それでもまだ数名が読んでくれているとわかったのでこうして無事最後まで成し遂げることが出来ました。


今まで読んでくださった方々、本当にありがとうございます。



さて、長々と挨拶をしたことですしここで終わらせてもらおうと思います。


サブタイトルにもあるように全ての音ゲーマーに伝えたいことを書けましたし気まぐれが起きない限りもうこの小説を書くことはありません。


しかし、私がこの物語を書き終えたとしても、音ゲー部はいつまでも楽しくゲームをやっていることでしょう。



それでは皆さん、さようなら。


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