第9話 〜忘れてはいけないもの〜
第9話 〜忘れてはいけないもの〜
「・・・で、論破されて帰ったわけか。」
放課後、太田は縦皿に部室で昼休みにあった出来事を全て話した。
「はい、僕はまだ子供だったんですかね。」
太田は自信を喪失しておりずっと俯いてる状態である。
「まあお前はまだ1年生だ、中学生に毛が生えた程度でしかない。」
そんなぁと縦皿の辛辣な言葉に更に気を落とす太田。
「大人に近づいてくるとな、いろいろなことを学んだり物事を考えることが多くなったりと段々冷静になってくる。その代わり情熱っていうのか?とにかくそういったものが昔より薄れてきてくるんだ。」
だがな、と縦皿は続けて言う。
「童心に返るという言葉があるだろ?どんなに歳を取っても無邪気な子供のようになるって意味だ。ということは子供のように情熱や興奮といった感情に突き動かされる純粋な気持ちが大人には残ってるってことなんだ。」
え?っと太田は顔を上げ縦皿を見る。
「つまり、お前は高校生のくせに達観してるようなそぶりを見せるクール(笑)野郎にその熱い感情をぶち当てて童心に返らせばいいんだよ。」
「感情をぶち当てるって、さっき当たって砕けたばっかなんですけど。」
反論する太田に縦皿ははぁとため息を吐いた。
「口先だけで感情が伝わると思うのか?男なら行動で示すんだ。」
「行・・・動・・・?」
「そうだ、お前にしかできないことがある筈だ。その熱意と、中途半端な腕前を持つお前にしかな。」
中途半端って・・・と太田は呟いた。
しかしその太田の表情は先ほどの死んだような顔ではなくいつもの音ゲーを純粋に楽しむ子供のような顔をしていた。
「わかりましたよ、ならその僕にしか出来ないことをやってきますよ!」
「今度は負けて帰ってくるなよ。」
「大丈夫ですよ、二度目の正直っていうじゃないですか!」
そういって太田は部室を勢いよく飛び出していった。
それを見届け縦皿はふっと口元を緩め、椅子へ座った。
「・・・それを言うなら三度目の正直やがな。」
放課後なので殆どの生徒は下校しており人気が全くと言っていいほど無くなっていた。
しかしそんな中でも教室に残り友達と喋っていたりなにかしらの時間潰しをしている生徒もちらほら姿が見える。
その少数の生徒の中に友達と教室で談笑中の丸池を太田は見つけた。
丸池も太田に気づくと友達にちょっとわりぃと言って太田の方へ向かう。
「また君か、壊れるなぁ。」
「先輩、今回はお願いがあって来たんです。」
「お願いって、部活に戻ってくれってことじゃないの?」
いや、と太田は首を振る。
「一緒にゲーセンに来てください。見てもらいたいものがあるんです。」
今回はいつもより短めですがその代わり次回は長編になると思います。
それと恐らく次回が最終回となる予定です。
最終回と言ってももしかしたら後日談的なものを書くかも知れないので正確な終わりではないですが、次回で一区切りつくのは確実です。
さあ、太田は無事丸池を説得、そして部活に再入部させることは出来るのでしょうか。音ゲー部の運命や如何に。
それではまた次回。




