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音ゲー部!  作者: day
第2章 〜過去との因縁〜
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第8話 〜直談判〜

第8話 〜直談判〜


「こんなことが、あっていいのか・・・?」


音ゲーが好きなのにその音ゲーの所為で大好きだった音ゲーを嫌いになってしまうという事実にショックを隠せない1年生たち。


「日本には『下手の横好き』という言葉がある。いくらうまく出来なくてもそれを好きでいられることを言うのだが、人間誰しもそうとは限らない。どれだけ好きでもやはり上手くなったという実感がなければ続けることは難しいだろう。」


縦皿はそう言うと時計を見て現在の時間を確認、そしてもう時間が遅いのでみんなを帰らせた。


みんながそれぞれいろいろな気持ちを抱えつつ下校する中、太田は帰る足を止めた。


「部長、その丸池さんって何組ですか?」


「何組って、まさかお前会うつもりじゃないだろうな。」


そのまさかですよ、と太田は真剣な表情で縦皿を見据える。


「僕が実際に会って話してきます。また昔のようにやり直せるって言ってきます!」


「だがな、1度辞めたものをもう1度やる気になると思うか?」


縦皿は太田を止めようとするが、太田はそれでも意志が変わらない様子でいた。


「お願いします!僕にやらせてください!」


いつにもなく必死な太田を見て縦皿はなにかを諦めたかのようにはぁと溜息を吐いた。


「わかった、わかったよ。そんなに言うのなら教えてやる。」


だが、と縦皿は付け足した。


「ただで帰ってくるなよ?部長命令だ、丸池を音ゲー部へ復帰させるんだ。」


ありがとうございますと太田は深くお辞儀をし、その後縦皿から丸池のクラスを教えてもらった。



後日、休み時間の中で1番長い時間帯である昼休みに太田は3年生の教室の前に立っていた。


「いざ来てみるとなんか威圧感あるなぁ。2つも上だしやっぱ怖い・・・。」


最上級生である3年生の教室の威圧感に太田は怯みながらもそれらしい人(どんな風貌かは聞いてないので雰囲気で見定めている)を探していると廊下側、つまり太田の後ろから話しかける声が聞こえた。


「どうしたんだ君?兄弟がここに居たりするの?」


太田は一瞬心臓が止まりそうになったが平常心を保ち振り返る。


そこには売店で買ってきたであろうパンを持っている明るそうな青年がいた。


「あ、あの、このクラスに丸池・・・先輩っていますか?」


今は直属の先輩ではないので先輩と呼ぶかどうか一瞬迷ったが一応学校の先輩なので先輩呼びにすることにした。


「丸池って俺のことだけど?」


マジかよと太田は1発で当てたことに驚きよりも困惑が勝っていた。


「そ、そうなんですか、貴方が。」


心の準備が出来てなかった太田は深呼吸をして再び話しかける。


「僕、音ゲー部に所属してる太田と言います。今日は貴方にお話があります。」


音ゲー部と聞き丸池は表情が少し曇った。


「音ゲー部、ねぇ。懐かしい名前だ。どう?縦皿は元気してる?」


「え?あっはい。元気してますよ。」


いきなり雑談が始まり咄嗟の判断が出来ず太田は反射で答えた。


「っとそうじゃないです。話というのは丸池先輩に音ゲー部に戻ってきてもらいたいということです。」


「なんで?」


「え?」


「だからさ、なんで俺が戻らないといけないの?」


もっともな意見に太田は直ぐに反論出来なかった。


しかしあの時縦皿や三井から聞いた話を頭の中で整理し、自分の思った気持ちを直接丸池にぶつけた。


「僕は以前部長と三井先輩に貴方のことを聞きました。それで思ったんです。なんで1番音ゲーが好きな人が音ゲーを嫌いにならなくちゃいけないのかと。悲しいことではないですか?だって好きだったものが嫌いになったんですよ?そんなのあっちゃ駄目なことだと思うんです。だからまた音ゲーを好きになってもらいたいんです、僕は。また音ゲー部のメンバーとして活動すればきっと昔みたいに戻れますよ。」


太田は自分の思うこと全てを言い放った。


静かに黙って聞いていた丸池はその返事をするべく口を開いた。


「長々とありがとう。だけどいろいろ言わせてもらいたい。」


「まず、それは君の自分勝手な理由じゃないか?悲しいこと?あっちゃ駄目なこと?それは君のエゴだよ。少なくとも俺はそうは思わない。」


「次に昔みたいに戻れるって言ったよね?まあ縦皿から聞いたのなら昔のことがよく伝わったと思うよ、あいつは話すの上手いし。でも君は当時の音ゲー部を実際に見たことがない。そんな君に昔のように戻れるって言われると説得力ないっていうか何がわかるんだって思うな。」


「最後に、感情論で突破しようとしてもそんなに人生甘くないよ。」


丸池は一通り言い終わるとふぅと一息ついた。


「まっ、これが今の俺の答えだ。ごめんね、いろいろ言い過ぎたね。これは俺にとって大切なことだからつい熱くなっちゃった。大人気ねぇよなマジ。」


さっきとは打って変わって自嘲しへらへらといつもの明るい青年に戻る丸池。


キーンコーンカーンコーンと昼休みが終わり次の授業の予鈴が校舎に鳴り響く。


「もう時間か。悪いけど今日はここまでね。君も授業に遅れるから早く教室に戻った方が良いかもね。」


そういって丸池は太田の横を通り過ぎ教室へと消えていった。


太田も自分の教室へと戻っていく。


とぼとぼと歩く太田、その目は以前縦皿を真剣な表情で見据えていた目ではなく今にも泣き出しそうに潤んでいた。







丸池さん大人気ない。


でも音ゲー部を辞めて心が荒んでしまったわけではないのです。


昔のように明るい性格なのですが話の内容が内容ですので少し荒々しくなってしまったんでしょう。


太田くんもまだ高校1年生、もっと言えば半年前はまだ中学生だったのでそう簡単に人を納得させる言葉は出てこないんですね。感情論になるのも致し方ないのかも。



今回はここまで。


そろそろ最終回が見えてきそうです。


それではまた次回。


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