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スカイノーツ  作者: 詩篇ナオ
序章
6/6

スカイノーツ

 町がやけにうるさくなってきたなと瑠衣が感じ始めたのは、午後7時くらい。帰宅してからだいたい30分くらい過ぎた頃だった。

 母親である、大通真名《おおとおりまな》と中学二年生になる妹の香菜《かな》とともに食卓についていた時だった。

「今日は、サイレンがうるさいね。なんでかな?」

 香菜が首を晩御飯である、焼き魚をつまみながらつぶやいた。

「さぁ?何か事件でもあったのかもねー。あ、瑠衣。ちょっとテレビを点けてくれない」

「リモコンそこにあるから自分でつけなよ」

「ボタンを押すのがめんどくさい。だからやって」

「仕方ないなー。もう」

 真名にせかされて、テレビのスイッチを付ける。画面に映ったのはレポーターと緊迫した現場だった。

「瑠衣ねぇ。ここってさ、うちの近所だよね」

「だね。コンビニ前の公園じゃないかな?でも、かなりやばいね……これ。」

 テロップには、閑静な住宅街で変死体。と書かれていた。

 レポーターが現場の様子をいい終わり、スタジオにカメラが変わるころには、三人の食卓は何とも言えない雰囲気に包まれていた。

「うーん……テレビをつけたのが間違いだったかな。すっかりご飯がおいしくなくなっちゃた」

 真名が笑いながら、チャンネルを変える。そこには、タレントが愉快そうに笑っていた。しかし、三人がつられて笑うということはなかった。



 翌朝。柳川高校3年2組教室。

 朝のホームルームが始まる前の時間。瑠衣と都は昨日の事件のことについて話していた。

「で、みやちゃんは昨日の事件についてなんか知ってる?」

「昨日?うん知ってるよー。コンビニ前の公園での事件でしょ?」

「そう、それ。実際怖くない?まだ、犯人つかまってないんでしょ?」

「つかまってないね。しかも、学校が緊急の連絡をするぐらいだもんね。すごく、やばいかも」

 と、苦笑いを浮かべる都。

「でもさ、もしかしたら早く帰れるってこともありえない?やっぱり、薄暗い時間に返すのも学校としては問題があるし」

「うーん。それは、ないと思うなー。せめて、部活動が禁止になることくらいかも」

「だったら、みやちゃんも早く帰れるの?」

「そうなったら、大変なんだよ。今から体育祭や引き継ぎとかいろいろやることがあるのに」

「生徒会長さまは多忙ですなー。休むことすらできないのですか。晩年暇人の私なんかとは大違い」

 そうでもないけどね。と、都は苦笑いを浮かべた。

「はいはい。早く座りなさい」

 担任が教室に入ってきた。雑談をしていた生徒たちが気だそうに自分の席に戻っていく。生徒全員が席に着いたのを確認し、担任は話を始める。

「みんな知っていると思うけど、昨日この近くで殺人事件がありました。それで、学校として当面の部活動の禁止ということになりました。」

 瑠衣は都を見る。都は、鬼のような形相で考え事をしていた。おそらくこれからのスケジュールなどを組み立てているのだろう。

「ということですので、間違えても放課後学校に残ってはいけませんからねー」

 担任の最後の一言で、都は「昼休みだけで終わらせろ?この学校の大人はみんな腐ってやがる……絶対のろう」と、のろいの言葉を吐き出していた。



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