第三話 楽器とコンセプト
事務所についた。
前に 遼がテレビで見た東京のものとは 180度違い 小さい場所だった。
ここで 気づくべきだったのかもしれない
いや 気づかなくて 逆によかったのかもしれない
人見知りの遼には 疑問の言葉は言うことができなかった。
とたんに不安になっていた。
それは 同じ田舎の高校生である 他のヤツも一緒だ
「まずは、 楽器だ。
ちっちゃい・・・」
「遼です。」
「あぁ 遼 お前はギター&ボーカルだ。
俺はお前の声にほれたんだ高音もでるだろう」
「まあ はい」
確かにそうだった 女性の歌手の高音も余裕で出るし、でも地声は普通だ。
そんなことが 話しただけで 分かるものだろうか。
「次 リードギターとベース」
「えっと・・・」 タツとヒロを指さした。
「お前らは いい顔をしている でも性格がボーカル向きではない
だから これだ」
「はい」としか言えなかった。 だって 素人なのだから
「最後に ドラム」
「おっきいの お前はこの中で一番 力がある
この力とは ただの力の意味だけじゃない コトを考えろ
ドラムは最も地味だが大切なものだ」
「おぅ・・・」
おし、 で最後にコンセプトの発表だ。
コンセプトは「毎日、会えるバンド」
それって 某人気アイドルのパクリだろ・・・ タツは思った。
「毎日 必ず そこにいる バンドなんてこの世にいると思うか」
「毎日は いないね 絶対」
と言うことで これから1ヶ月は練習に専念。
1ヶ月後に お披露目だ。
「ちょっと 待てよ 俺たち 楽器にさわったコトすらないんだぞ
1ヶ月なんて ムリだ」
「できるね お前ら と俺なら」
「また 明日 ここに 集合な 絶対こいよ」と半分笑って
中村は奥にいってしまった。
このとき タツには 中村の顔に覚えがあるような気がした。