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真・意味がわかると怖い話 四時

作者:林涼子
ページを閉じたあとに来るのは、ため息でも安堵でもない。
――遅れて届く、理解の音。

最初はただの怪談。
でも二度目に読み返したあなたは、冒頭の一文字、写真の隅、日付のズレ、
送り仮名の欠落、家の間取り、方言の混じり方、
「既読」の時間、通話のノイズ、ペットの視線、
救急車の到着時刻と現場の距離……
意味のないはずの細部が、急に “意味” を持ち始める。

気づいた瞬間、物語は終わらない。
むしろそこから始まる。
あなたの部屋、あなたのスマホ、あなたの記憶に
物語の続きが勝手に現れ、配置を変え、音を立てる。

この本は、怖いことを“書いて”いない。
怖いことを“思い出させる”。
行間にしか書かれていない犯人、
視界の外で増える足音、
敬称が消えるタイミング、
二人称が一度だけズレる違和感――
すべてはあなたが気づくまで待っている。

読まなければ何も起きない。
けれど、もう手に取ってしまった。
ならば、どうかページをめくる前に確認してほしい。
背後の気配と、窓の鍵と、スマホのカメラの向き。
理解は光ではない。
闇に形を与える刃だ。
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