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嘘の真実  作者: Nee。
試験編
9/14

三者三様

沈黙が続いていたが、ライの溜息によってそれは破られた。

「はあ…てかお前らなんで一緒に居るんだよ、邪魔くせーな」

「えー、いいじゃん別に」

「…まあ人が多い方がやっぱり安心するし?」

「別に俺はひとりで余裕だっつーの」

グチグチ文句を言うライ、なにも気にせず次の魔物を探すアルマ、ちょっとのピリつきを感じ取り少し気まづそうに着いていくカインド。三者三様だった。


しばらく歩いているとライが唐突に足を止め、アルマとカインドを静止させる。

「…お前ら、準備できてるか」

低く呟いた。ふたりはなんのことは一切理解できず、ライの肩を叩こうとした瞬間だった。茂みの向こうから3体の魔物が現れ、薄気味悪い笑顔で三人を取り囲むように散開していく。

「散れ、一体ずつ相手にするぞ」

「珍しく素直に指示出すじゃん」

「うるせー、さっさと従え」

彼らは瞬時に散開した。

アルマの前に立ちはだかった魔物は、今まで相手にしてきた中でも一回り大きかった。

「うわ、ちょっと大きいな」

呟きながらアルマは右拳を回転させた。感覚で分かる。正面から行ける。

「よしいくぞ!」

拳が魔物の胴体を直撃する。見事にクリーンヒットし、アルマ自身も喰らわせてやったと感じていた。だが、魔物はびくともしなかった。

「っ!?硬い!」

魔物の腕が薙ぎ払われ、アルマが吹き飛ばされる。木の幹に背中を打ちつけたが、すぐに立ち上がった。

「いいやまだ、何回でもやる!」

アルマは回転を速めた。一発じゃ足りないなら、何発でも叩き込む。相手の重い攻撃を避けながら、ひたすらに拳を何回も振るう。

「まだまだこれからだ!うおおおお!」


カインドの姿は、いつの間にか消えていた。

魔物が辺りを見回す。気配がない。音もない。どこにいるのか分からない。魔物が警戒しながら一歩踏み出した瞬間、死角から何かが急所を直撃した。魔物がよろめく。カインドはすぐ景色に溶け込んだ。また消える。また現れる。だが魔物も知能がある。少しずつ対応してきた魔物は、ついにカインドを目で捉えた。

「う゛ぁっ」

一撃がカインドの左腕に入る。当たり所が良くなかったのか、左腕の痛みがなかなか消えない。

「くそ、まさかバレるなんて」

攻撃を喰らい、動揺を隠せないもののカインド有利は揺るがなかった。それ以上に、レオに迷いを与えたほどの無の力は魔物を確実に苦しめており、着実にダメージを積み重ねていた。


ライは魔物と正面から向き合いながら、一切無駄な動きをしなかった。攻撃が来れば最小限の動きで躱し、隙ができれば的確に打ち込む。体力を消耗させない戦い方だった。

「はい、そこ」

魔物の右足が一瞬だけ流れた瞬間、ライの蹴りが膝を直撃する。魔物がバランスを崩した。

「次ここ」

崩れた体勢を逃さず、連続で打ち込む。感情もなく、焦りもなく、ただ計算通りに体を動かす。また隙を見つけたのか蹴りを入れようとしたその時、魔物はニヤリと笑う。読んでいたのか躱したのだ。それでもライは焦らず、次の手段を持っていた。

「はい残念、お疲れ様」

完全に罠だった。むしろ蹴りは本命ではなく、なんなら相手に完全なる隙を与えるための『餌』に過ぎなかった。傷一つ追わず、ただ淡々と魔物を捌いていた。


「カインド!」

アルマが叫んだ。アルマが対峙していた魔物が突然向きを変え、カインドの魔物と合流しようとしていた。

「いや俺が行く」

ライは自分の魔物を挑発し立ち位置を調整する。魔物はライに飛びかかろうとした時、察知していたライは高く飛び木に捕まる。攻撃を避けられた魔物は、アルマの担当していた魔物と衝突し2体ともその場に倒れ込む。その隙を見逃さなかったアルマは特大の一発をお見舞いしようと拳に力を溜める。

「アルマ、やっちまえ!!」

「いくぞおおおお!!!!」

森全体が揺れ、辺りで葉が舞い落ちる。地に大きな衝撃を与えたパンチは魔物の腹部を深々と打ち込み、魔物が血と泡を吐き出す。

「ナイスアルマ!」

残った魔物は死を感じたのか、即座に逃げる。

「あ、あのゴミ逃げたぞ!」

「よし追うぞ!」


逃げた魔物を追った三人だったが、結局捉えることが出来ず逃げ切られてしまった。

「くっそー、あいつ倒せば五体終わってあとはもうただのんびりするだけだったのによ」

「本当だよなあ…ん?てか今ちゃっかり俺たちのこと認めた?」

息が上がっていたライは反論するのが面倒になったのか照れ隠しなのか分からないが、二人の顔を見ずに言葉を返す。

「まあ、予想以上にお前らが良かったからな」

アルマとカインドは顔を合わせ微笑む。

「ライったら、全く素直じゃないなあ」

「もうちょっと素直になりなよ、一緒に戦った仲でしょー?」

ライはイライラしながらも、どこか満更ではなさそうだった。


──その頃、森の別の場所では。

あの白い影が、静かに動き続けていた。



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