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第二部:プロローグ 世界を救った二人、残された課題

世界を救ってから一年。

エレオス魔術アカデミアの時計塔が、静かに正午を告げた。その音は、かつて世界を破滅寸前まで追い込んだ「瘴気」が完全に浄化された、あの日の歓声を思い起こさせる。天才魔術師リオネル・ヴァンスが完成させた「命の源流」と、魔力を持たない聖女レリア・エールハルトが目覚めさせた「真の聖女の力」によって、人類は新たな時代を迎えた。

リオネルは今や「大魔術師」として、学園に設立された「生命魔術研究所」の所長を務めている。彼の研究は、枯れた大地に生命を吹き込み、新たなエネルギー源を生み出す、希望の光となっていた。そして、その彼の隣には、常にレリアの姿があった。魔力はゼロでも、植物の生命を感じ取る独自の能力で彼の研究を支え、「生命魔術の第一人者」として世界中にその名を知らしめていた。二人の絆は、もはや誰もが認めるものとなっていた。

しかし、全てが完璧に解決したわけではなかった。

「命の源流」の光が届きにくい、世界の片隅には、未だに瘴気の残滓がしぶとく残っていた。それは、かつての魔力集積地や、古き時代から隠されてきた場所に集中しており、まるで何らかの意図を持って留まっているかのようだった。

「残滓の浄化と、安定したエネルギー供給。それが、我々に残された次の課題だ」

リオネルは、研究室の窓から広がる学園の景色を見下ろし、静かに呟いた。彼の横で、レリアは新たな植物の苗に水をやっていた。世界は救われた。しかし、だからこそ、その新たな秩序を脅かそうとする悪意が、水面下で蠢き始めていたのだ。平和な日常の裏側で、彼らはまだ、見えない敵と戦い続けていた。

新しい学年が始まり、学園には希望に満ちた新入生たちの声が響く。彼らの中には、自分たちを救った「大魔術師」や「生命魔術の第一人者」に憧れを抱く者も少なく、リオネルとレリアの周りには、活気が満ちていた。

しかし、その穏やかな日々の中に、不穏な影が忍び寄る。かつての「瘴気」を利用しようとする者、あるいは「命の源流」が生み出した新たなシステムを悪用しようとする者たちの存在が、彼らに新たな試練をもたらそうとしていた。

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