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わたし婚約破棄されました!ルマンド王国魔法学院の卒業式で婚約破棄されたエリーゼ・バンダームは、なぜか?イケメンきらきら王子に告白される?え?どういうことですの?  作者: 山田 バルス
第二章 エリーゼ、結婚生活編

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第9話 エリーゼ、再び、動き出す!

◆公爵家の日々はきらきらと◆

【エリーゼ視点】


「ふむ、やはり“富岡方式”が最適か……」


「あの、ウイリアム様? また突然何か始めてません?」


朝食後のバラの温室で、クロワッサン片手に書類を読み込むウイリアム様。その金髪は朝日を受けて、例によってきらん、と輝いております。


「エリーゼ、よくぞ聞いてくれた! 君は歴史好きだったかな?」


「歴史はまあまあ……魔法理論のほうが得意でしたけど」


「ならばこれを機に、“日本の明治時代”というやつを研究するといい」


「え、日本? なんだか聞いたことあるような……?」


「ふふん。我らが目指す新たなプロジェクトの鍵は、まさにその国にあるのだよ!」


──そして始まった、“第三王子プレゼン大会”。


曰く、日本には三大官営工場というものがあったらしく、一つは福岡の製鉄所、もう一つは大阪の造幣局、そして──


「群馬という地に存在した、富岡製糸場!」


「とみおか……せいしじょう? 糸をつくる工場?」


「その通り。当時の日本では、女子の職業といえば、そう多くはなかった。しかし富岡製糸場では、なんと華族や士族の令嬢たちが、みずから職場に立ったのだ!」


「すごっ……お嬢様が工場で働くなんて!」


「つまり、だ!」


ばっ、とウイリアム様が立ち上がる。クロワッサンを口にくわえたまま。


「我が公爵家も、“公営の製糸工場”を建設する! そして雇用の場を作り、女子の就職難を救うのだ!」


「わああ……すごい素敵!!」


──と、ここでわたしのエンジンも全開です!


◆ ◆ ◆


その日の午後。


「ねえナナルカ。今、女子の就職ってそんなに大変なの?」


洗濯物を取り込んでいたメイドのナナルカは、ちょっとだけ顔を曇らせてうなずいた。


「ええ……今はやっぱり、貴族の娘さんはお見合いが基本って雰囲気ですから。でも、うちは家計の都合で進学もできなかったから……。運よくメイドとして雇ってもらえましたけど、友達の中にはまだ働き口が見つからない子もいます」


「……そうなんだ」


ナナルカは、エプロンのリボンを結び直しながら言った。


「エリーゼ様みたいに、学院を出て、しかも公爵夫人になれるなんて夢のまた夢……でも、働いて、自分の力で生活を作っていきたいって子、ほんとに多いんですよ」


──その言葉が、胸の奥にすうっと染みこんだ。


わたしは魔法学院を出て、たまたまウイリアム様に出会って、結婚して、夢のような生活を送ってるけど……。


この幸せを、わたしだけで止めちゃダメだ。


「よーしっ!」


「エリーゼ様?」


「わたし、広報担当になりますっ! 公爵家の製糸工場、ぜーったい女の子たちに届けるんだからっ!」


◆ ◆ ◆


数日後、王都の広場に設けられた特設ステージ。


「さあさあ、お集まりのみなさーんっ!」


わたし、エリーゼ・バンダーム! 桃色ふわふわ髪、広報用のふりふりワンピースでマイクを握ってます!


「新設! “公爵家製糸ファクトリー”にて、女性のための雇用を開始しまーすっ!」


パーンッ、と紙吹雪。


「寮完備! 食事つき! 制服かわいい! そして──女性限定採用ですっ!」


ステージの横では、ナナルカともう一人のメイドさんが、試作の制服姿でお手ふりしてくれてます。濃紺のセーラー風作業服に、レースのついた作業帽!


会場の女子たちが「かわいい!」「わたしも着てみたい!」とざわざわしはじめて……


「さらに! 技術指導には、魔法学院出身の先生たちも協力っ! 糸紡ぎと魔力繊維の新技術を学べますよーっ!」


「えっ、学院の先生!?」「魔法も教えてくれるの!?」「行きたいかも!」


しだいに集まる視線がまっすぐこちらに向いて、目をきらきらさせた女の子たちが、前列にぐいぐい押し寄せてきます。


──これだ、これだよ!


「未来を変えたい女子のみなさーん! いっしょに、働いてみませんかっ?」


ぱちぱちぱちっ、と拍手。ううっ……うれしいよぉ!


◆ ◆ ◆


その日の夕方、公爵家の屋敷に戻ると──


「見事だったよ、エリーゼ」


金ぴかソファで足を組みながら、例によってバラの紅茶を優雅に飲むウイリアム様。


「広報活動、完璧だった。君はまさに、我が“絹の女神”だ♡」


「ふふんっ、わたしの本気を見たかーって感じですね!」


「これで応募者も一気に増えるだろう。君の言葉には、説得力がある」


「えへへ……うれしいな」


でも、心の中で思っていた。


──あの子たちの未来に、ちょっとでも力になれたらって。


わたしがもらったきらきらを、誰かに分けてあげられたらって。


「そうだ! 記念アイス作りますねっ! 絹の道って名前にして、絹のような舌ざわりのミルク味で──」


「また君は素晴らしい案を……! 絹の道アイス、公式採用決定♡」


「うわーいっ!」


◆ ◆ ◆


こうして、王都初の“女性のための製糸工場”プロジェクトは、華々しく幕を開けたのでした。


制服に袖を通す女の子たちの瞳には、新しい光。


彼女たちはみんな、第二のエリーゼになれるかもしれない。


「魔法も、仕事も、恋も、ぜーんぶあきらめなくていい!」


きらきら公爵家プロジェクト、次の目標は──


「全国展開、しちゃいますかっ!」


「ふふ、それならば……“絹のプリンセス隊”結成だね♡」


「また名前がキラキラすぎですっ!」


わたしの毎日は、きらきらと。


今日もきっと、あしたもずっと──夢を紡いでいくのです!

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