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わたし婚約破棄されました!ルマンド王国魔法学院の卒業式で婚約破棄されたエリーゼ・バンダームは、なぜか?イケメンきらきら王子に告白される?え?どういうことですの?  作者: 山田 バルス
第二章 エリーゼ、結婚生活編

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第4話 ミントチョコ・エリーゼが完成する

◆坑道アイス開発篇!◆

【エリーゼ視点】


「暑い……!」


その日、鉱山の坑道整備は朝から大忙し。地下のはずなのに、作業服の中はもう蒸し風呂状態。工具を持つ手もじっとり汗ばんで、みんなちょっとバテ気味だった。


「ちょっと休憩しよっか。水、持ってきてるから!」


私は簡易テントの中にみんなを呼び寄せて、水筒を並べた。


「助かるー……」

「まじで今日はキツイ……」

「これが本格稼働前ってやつか……!」


王都から来た修理士の卵たち──ローレンス、ルナ、ガスパルたちも、すっかり鉱山の仲間になっていた。工具を扱う姿もさまになっていて、どこから見ても立派な技術者候補生!


「でもね、こんな日こそ“甘くて冷たい何か”があったら最高だと思わない?」


私がそう言うと、ガスパルが目を丸くした。


「それって……アイス?」


「そう! 坑道アイス!」


ぴしっと指を立てて言ってみたけれど──


「え、坑道アイスってなに?」

「まさか、石の中から出てくる冷たいスイーツ?」

「それは氷妖精の仕業か何かですか?」


みんな笑ってる。うん、予想通りの反応だ。


「つまりね、鉱山で働くみんなのための特製アイス! 暑くて、疲れた時に、ひんやり甘くて元気が出る……そんなアイスを開発したいの!」


「えー、いいじゃんそれ!」

「でも、冷凍庫もないのにどうやって?」

「氷魔法で凍らせるの?」


「ふふふ、実はそこがポイントです!」


私は、近くの岩棚に立って、両手を広げた。


「この坑道には、風の通り道になっている“天然の冷気層”があるんです!」


「へえっ!? そんなのあるの?」

「気づかなかった……」


「昨日の夜、ちょっと迷い込んだときに発見しました! すっごく寒くて、ちょっと感動しちゃって……だから!」


私は叫んだ。


「この鉱山で、アイス、つくりますっ!」


◆ ◆ ◆


「というわけで、坑道アイス開発会議をはじめますっ!」


私の掛け声で、テーブルの上に材料が並んだ。


「牛乳! 砂糖! ミントの葉っぱ! そして──チョコレート!」


「まさか……」

「ミントチョコ味!?」


「そうですっ! 女の子が絶対喜ぶ味を目指してます!」


「って、エリーゼしか女子いないじゃん!」


「広報的に大事なんです!」


みんなが笑う中、私は真剣にスプーンを構えた。木のボウルに材料を混ぜて、冷気層の中でじっくり冷やす作戦!


「ローレンスくん、混ぜる係お願い!」

「おっけー、こういうの理科の実験みたいで楽しいな!」


「ルナちゃん、葉っぱちぎってー!」

「ミント係、了解! ふわっと香り立たせるのがコツだよ!」


「ガスパルくん、器に入れて搬送頼む!」

「冷気層って言っても奥が深いからなー。落ちないように見ててよ?」


みんなでワイワイしながら、アイスを冷やしていく作業は、どこか子どもの頃の夏の自由研究みたい。


──1時間後。


「……できてる!」


木のカップの中、ちゃんと固まっている。それを見た瞬間、私は叫んだ。


「みんな! 第一号、完成しましたっ! “坑道ミントチョコアイス”、試食お願いしますっ!」


「やったー!」

「いただきます!」


パクッ──


「……お、おいしい……!」

「うまっ! 冷たい! ミントがスーッとする!」

「チョコがほんのり甘くて、ちょうどいい……!」


歓声があがった。


「すごい……! エリーゼ、やるじゃん!」

「これ、休憩時間のごほうびになるよ!」

「お金とっていいレベルだよ、これ!」


「ふふふ……広報プリンセス、満足ですっ!」


私は胸を張ったけれど──そのとき、ルナがぽつりと言った。


「でもさ……冷気層、そんなに大きくないよね? 大量生産って難しくない?」


「え……」


「これ、鉱山全体の人に配るなら、もっとちゃんと冷やす方法が必要だよ?」


たしかに……今の量じゃ全員分までは無理かも……。


だけど──ローレンスがにっこり笑った。


「だったら、オレたちで“簡易冷却装置”つくればいいじゃん!」


「えっ?」


「金属管と、魔石式の冷却板、それと冷気層の風を流す装置があれば、ある程度温度を下げられるはず」


「おお、発明の匂いがする!」

「鉱山スイーツ革命だ!」


「じゃあ、その装置の名前は──」


私は思いついた。


「“アイス・マイスター・プロトタイプ零式(仮)”!」


「長いわ!」


みんながまた笑った。


──でも、笑いの中に確かに希望がある。


“坑道アイス”は、ただのスイーツじゃない。働く人たちの癒やしであり、仲間と作る喜びであり、技術が人を笑顔にする、まさにその象徴なんだ。


「このアイスが、鉱山の名物になりますように!」


私は願いを込めて、もうひとくち──ひんやり甘い、その幸せな味を楽しんだ。


◆坑道アイス 試作品第一号

名称:「ミントチョコ・エリーゼ」

味:さっぱり爽やか+ほんのりビター

人気度:全坑道5つ星中、5つ星!

特記事項:「また食べたい」と言われる率98%(エリーゼ調べ)

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