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わたし婚約破棄されました!ルマンド王国魔法学院の卒業式で婚約破棄されたエリーゼ・バンダームは、なぜか?イケメンきらきら王子に告白される?え?どういうことですの?  作者: 山田 バルス
第一章 エリーゼ婚約破棄からの結婚編

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第17話 満たされないのですわ!だから、会いに行きますわ!

【エリーゼ視点:わくわく大遠征】


疎水工事の視察を終えて、ウイリアム様と私は王都へ戻った。

ほんの短い旅だったけれど、ずっと一緒にいられて、とっても幸せだった。


……だけど。


「エリーゼ、すぐ戻る。安心して待っていてくれ」


そう言って、ウイリアム様は再び疎水工事の現場へ向かうことになった。

今度は、父——公爵様の正式な許可も得て、部下を率いて本格的な作業に取りかかるらしい。


もちろん、私は「はい、行ってらっしゃいませ!」と笑顔で送り出した。

領地の未来のためだもの。

わがままなんて、言わない。


……言わなかった。最初は。


でもでも!


一日、二日、三日。

だんだん、だんだん。


さみしい!!!


もちろん、王都での生活は楽しい。

社交のシーズンじゃないから、友達を呼んでお茶会をしたり、リリアンたちとガーデンパーティをしたり、本を読んだり、お菓子を作ったり……。


楽しいは楽しい。

でも、何かが足りない。


ウイリアム様の声。

ウイリアム様の笑顔。

ウイリアム様の、大きな手。


ああ、だめだ。足りない。満たされない!


そうして悶々とすること、二週間。

ある朝、私はぱちんと指を鳴らした。


「——よしっ! 会いに行っちゃおう!」


思いついたら即行動!

それがエリーゼ流!


侍女たちはあたふたと大慌て。

「エリーゼ様、本当に!?」「そんな、急に!?」「工事現場ですよ、泥だらけですよ!?」


うんうん、わかってる。

でも、そんなの関係ないの!


私はおおいに張り切って、旅支度を始めた。

おしゃれより動きやすさ優先!

とはいえ、ほんのちょっとだけ可愛いレースの飾りも入れて……ふふふ。


メイド十人、護衛騎士五人、馬車三台。

王都から小さな隊列を組んで、いざ出発!


◇ ◇ ◇ ◇


馬車の中、私は頬杖をつきながら窓の外を眺めた。


お天気は上々、空はぴかぴかの青!

広がる田園風景、白い雲がぷかぷか流れてる。


うわあ、旅って、楽しい!

まるで童話のお姫様みたい!


「エリーゼ様、ご気分はいかがですか?」

メイドのマリアが心配そうに尋ねる。


「最高よ!」


私は満面の笑みで答えた。


途中、小さな村に立ち寄ったり、牧場の羊たちを見たり、珍しい野草を摘んだり。

新鮮なミルクを飲ませてもらって、思わず「おいしーい!」と叫んじゃったり。


ああ、旅って、こんなに楽しかったんだ。

もう、ワクワクが止まらない!


◇ ◇ ◇ ◇


……とはいえ。

ちょっとしたハプニングもあった。


道がぬかるんでいて、馬車がぬかるみにハマったり。

山道で道を間違えかけたり。

お弁当に入ってたサンドイッチをカラスに持っていかれたり。


でも、全部、笑い話!

メイドたちとキャーキャー言いながら泥だらけになったのも、いい思い出!


「エリーゼ様……お顔に泥が……」

「えへへ、王都にいたら絶対できない体験よ!」


そんな感じで、ちっともめげずに旅を続けた。


◇ ◇ ◇ ◇


そして、ついに!


最後の峠を越えたとき。

広がる谷間に、疎水工事の現場が見えた!


テントが並び、土埃が舞ってる。

あちこちで作業員たちが声を掛け合い、シャベルを動かしている。


その中に——


見つけた。


白いシャツの袖をまくって、指示を飛ばす金髪の青年。

太陽の光を浴びて、黄金色に輝いて見える。


ウイリアム様!!


私は馬車を飛び降りて、スカートの裾を摘まみ、全力疾走した。


「ウイリアム様ーーーーーっ!!」


彼がびっくりした顔でこちらを見た。


「エ、エリーゼ……!? どうしてここに!?」


ふふふ、びっくりしたでしょう?

でも、私はにっこり笑って、こう言った。


「会いたくなっちゃったから、来ちゃいました!」


ウイリアム様は、呆れたように、でもすごく嬉しそうに笑った。

そして、私をぎゅっと抱きしめてくれた。


「まったく……君という子は」

「えへへ〜!」


嬉しくて、胸がぽかぽかして、今にも空に飛んでいきそうだった。


◇ ◇ ◇ ◇


こうして、私はウイリアム様のもとへ、大成功の大遠征を果たした。


毎日一緒に過ごせる!

疎水工事も見学できる!

お弁当作ってあげたり、お仕事の邪魔にならない程度に差し入れしたり、ふふふ、楽しみがいっぱい!


ううん、むしろ、これからが本当の冒険の始まりだわ!


王都のきらびやかな生活も好きだけど、こういう汗と土にまみれた日々も、悪くないかもしれない。


だって、どんな場所でも——


あなたの隣にいられるなら。


それだけで、私は幸せだから!









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