当たりが出ればもう一本
どこのタイトルのために執筆したのか覚えがないエピソード。シリーズとします。
本当に忘れちゃって、もう使わないと思うので。ここに習作として出しとくね。
森の中には、わりと冒険者がいるようだ。
つぎに出会ったのは剣を装備して魔物と戦闘中だった。
年の頃は18ぐらいだ。
右手に握られた剣は木製のようだ。
木の剣だ。
決して木の枝ではないが、似たような攻撃力だ。
対する魔物は一匹のゴブリンだった。
正面衝突をしていた。
ゴブリンもこん棒と盾をうまく使い分けて応戦していた。
その後ゴブリンは敗退して焦るように森の奥へと退散していく。
彼が勝ったのだ。
よし次は、この駆け出し剣士の彼をすこし観察させてもらおうかな。
戦利品は金銭だけのようだ。
敵が落としていった金貨袋をひとつ拾い上げた。
そのまま速やかに街へ戻るようだ。
もちろん後をついていく。
剣士の彼が街の武器屋の看板をちらりと意識した。
そこへ行くのだな。
気づかれぬように最大限の気配消しで背中に張り付くように入店する。
早速、店主に所持していた木の剣を10Gで売った。
そして、さっきの金貨袋を取り出し、一本の銅の剣を要求した。
店主が金貨袋の中を確認し「たしかに50ゴールドですね」といった。
あの森のゴブリン一匹で50Gだったか。
木の剣から銅の剣に装備を新調した。
店主に挨拶をすると店の外に出た。
スタスタと街の外へと向かうようだ。
魔物で金策かレベル上げでもするようだ。
ついていく。
俺の「はじまりの森」の東の端に着いた。
先ほどの場所だ。
ではまたゴブリンか。
案の定、ゴブリンの姿を見つけた剣士は買ったばかりの銅の剣を抜くと、背後から不意打ちを仕掛けた。不意打ちを喰らったゴブリンは一撃で倒された。
俺は視た!
相手が無防備の状態に切り込むとクリティカルを喰らったように多段ヒットがさく裂した。
不意打ちは火力が大幅に増えるのだな。
剣士は勢いづくように次の標的を見据える。
またゴブリンのようだが、ふたたび不意打ちを浴びせて倒した。
剣士が地面のうえにドロップした戦利品を拾った。
不意打ちが得意技なのか、そればかりをくりかえしていった。
いや、通常攻撃より火力が増大するなら、そっちを狙うのが定石か。
魔物を手っ取り早く倒すなら、不意打ちがお得というわけだ。
ふむ、勉強になる。
さらに敵を見つけたようだ。
そっと背後から近づいていく。
そのまま不意打ちで決めるのだな。
この者は割と踏み込みが早いな。
戦術は不意打ちのみだが、スピードは持っている。
「おや? 剣士の背後に影が迫っている……」
前方に標的と定めたゴブリン。
剣士の背後に別のゴブリンが迫っている。
背後のやつが奇声をあげて剣士に殴り掛かった!
前方のやつも気づいて振り向いた。
剣士がゴブリンの挟み撃ちに遭う。
ズッシャーン!
「おお!」思わず見とれてしまった。
剣士の前後にいたゴブリンは、剣士の剣の餌食と成りはてその場で死す。
前後の2匹を同時に一刀両断にしたのだ。
しかも、いつの間にか左手にも銅の剣を手にしているではないか。
俺が剣士の収納スキルの展開を見逃した!?
剣士は一度深くしゃがんで足元からひねりを加えて「回転斬り」を放った。
剣士が得意とする剣技だな。
お、剣士が左手に装備していた剣を収納の口を開き、そっと片づけた。
やはり収納スキルの展開をしていたのか。
敵を討つときは抜刀の速度は命となる。
ゆえに咄嗟の時にどれだけ迅速に剣を抜けているかが問われるのか。
しかし銅の剣を所持していたのに購入してきたのは二刀流のためか。
その腕前をすでに持ち合わせているのなら、もっと上位の武器がお似合いだろ。
右手の剣はそのまま腰の鞘に戻した。
おや、大して傷ついてはいないのにまた街へ向かうみたいだ。
尾行する。
あいつ、またさっきの武器屋へ入っていった。
「金貨袋3つだ。鉄の剣を頼む!」
「はい、たしかに150Gを確認しました。まいど~」
おお、ゴブ1で銅の剣を買って、ゴブ3で鉄の剣に買い替えた。
なんかもったいない買い物の仕方を見ているようで悲しい。
そこそこの戦術は持っているのだから、もう少し我慢すれば銅は買う必要なかっただろ。
冒険者になって儲かりだすと、ついついやりがちな買い物ミスか。
こいつは一般剣士だな。
続けて観察をする必要性を感じないが。
あれ?
右手に装備していた銅の剣をカウンターの上に置いたぞ。
「まいど、50Gで引き取らせてもらうよ」
え、売るの! ハクスラ的なスタイルの剣士か。
銅の剣、もう一本あるよねえ。
そっちは売らないの?
片方だけでも強化しようというのかな。
早速、右手に鉄の剣を装備した。
そして店主に挨拶をすると店を退室した。
ついていくと、また街を後にするようだ。
じゃあ戦いだな。
はあ、また同じ場所だ。
ここのゴブリンは剣士のきみにはザコすぎるだろ。
だが彼の選択する行動は前回と同じだ。
剣を抜き、敵の背後から不意討ちをした。
だがなにか奇妙だ。




