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42 草組


 王様の言いつけだから早速登校した。

 あまり気乗りはしていないというのが本音だ。

 目的があれだから気乗りなどできるはずもない。


 王様の推薦で編入した学園。

 表向きの推薦者は侯爵家の遠縁に当たる人物。


 爵位などの階級は持って居ない平民である。

 その平民のおじさんがボクの後見人というわけ。

 その方を一応、ボクは叔父と呼ぶことに。

 この暮らしの中で困ったことがある時に相談役として存在する。


 勇者のボクが困ったことになど陥るはずもないのでほぼ出番はない。


 ここは『学園リトルギア』という名の高等部になる。

 王命ゆえに朝焼け前の早朝から校門をくぐり抜けてきた。


 遅刻など出来るはずもなく早朝に教室に入り、適当に着席していた。

 次第に教室に人数が増えてきた。

 ぎこちなさは拭えない。

 本来は部外者なのだから。


 ボクは生徒の席ではなく、自由研究等のフリースペース席があったもので。

 そちらに座り、静かに図書などを片手にする。



「おい見ろよ。教室の端っこの席で縮こまって眼鏡をかけてる野郎を」

「転校生らしいな。この時期にかよ」

「どうせ、うちは草組(グラス)だし。どこかの落ちこぼれだとしても差支えはないだろ」

「グラスギアなら、知識を活かして就職すらも容易になってきたからな」



 クラスメイトの男子生徒たちが着席して自分の噂話をしているのが耳に入る。

 あくまで彼らのひそひそ話だ。

 聞こえよがしに嫌味をぶつけているのではない。

 距離は一部屋分はある。

 ボクの持つ「空間伝達」スキルの耳が聞き逃さないだけなのだ。

 光の届かない深部の洞窟などで発揮してきた「勇気」のスキルだ。

 もっとも、聞こえないふりをして読書などをしているが。


 この時期といったのは、魔王が討伐されたご時世という意味だ。

 そんな時期に養成学校に転校までして執着する必要性が薄れて来たのだ。


 リトルギアとは末は魔王や、魔物の討伐を目的とした人材の養成学校だ。

 立派に成長し、卒業した者を「ギアウォード」と呼称し世に送り出すのだ。


 王様の命で配属となったのは『草組(グラス)』という教室だった。

 その生徒たちは俗に「グラスギア」と呼ばれている。

 ギアとは歯車のことで、ここでは社会の歯車的存在の意味になる。

 力を合わせてより良い人間社会を築くための人材輩出が設立の目的だ。



「もうすぐ授業がはじまる。本日の授業は調合だったか。薬学も楽じゃない」

「俺はコケの採取のためいつもの坑道にいくから自由研究だ」

「こっちはキノコとできれば新種のタネにめぐり会いたいから森にいくよ」

「新種の? まあ研究費も削減されたことだし武運を祈ってるぜ!」



 ここが『組草(グラス)』と呼ばれる由来だ。

 冒険者になれば魔物討伐で深手を負う者もでる。

 その回復薬となる素材収集や調合研究が主な学習の課題となる教室だ。

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