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名もなき草原に咲くⅡ  作者: ゼルダのりょーご
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29 ポーターの役どころ


 ポーターを雇う目的は単なる荷物持ちだけではない。

 それだけの対価を支払うのだから。


 盗賊はそう言った。

 たしかに支払う対価が高いから気になっていた所だ。



「潜るためさ!」

「潜るとは? どこへ行くんだ?」

「世の中には地下洞窟というものが無数に存在していて、その下層には色んなお宝が眠っているんだよ! 強く成ったやつらはそこへ長く潜るためにポーターを雇うんだ」


 ダンジョンってやつだな。

 辺境にも噂があった。

 正式な冒険者じゃないと立ち入りが制限されているんだ。

 かなり危険な場所で、凶悪な魔物の生息が確認されているとか。


「そこにLv上げも兼ねて飛び込んでいく連中も後を絶たないよね」

「うん。私たちも序盤に行ったよね、このPTで」

「手ごたえはどんな感じだったの?」

「それがね広い空間や狭い部屋もあって、魔物がけっこういるのよ。今のLvでもせいぜいB5へ降りられたらいい所ね」

「5階まではスライムとゴブリンかな。時々、コケやキノコが採れることがあるけど先駆者が根こそぎ採取しているから、ほとんど敵のドロップ狙いと経験値かな」

「妖精や獣人たちには戦いをしない分、俊敏さや気配を消すことで斥候などが得意というメリットもあるしな」


 行く先に待ち構えている敵や罠の情報を先行して探ってきて知らせる役目か。


「いつかお金を貯めてポーター連れのダンジョン攻略PTに成りあがるのが夢なの」


【ゴールドピース】たちは夢を語ってくれた。

 地下5階は結構深いな。

 これから向かう森のゴブリンとの違いがあったりするのかな。



「ガブゴブの森のゴブリンとどこか違うの?」

「それは森のゴブだ。地下の場合はな、もっと下層に凶悪な奴らが蠢いているストレスもあってかなり手強いんだ」

「種族の生息圏が階層で決まっている感じですか?」

「そうだな。下層に行くほど厄介な魔物がいるんだよ」

「弱者は捕食されないように上層にやってくる。そうして地上にあふれて来たのが森や草原に派生したのだと分析されているんだ」



 地上にいる魔物でも手強いものはたくさんいる。

 翼なきものは地底から。

 翼あるものは天空からと辺境の人間達もよく話していた。


 そろそろ森に着くころだ。



「雑談はまた帰りにでもしよう。リクル、ガブメロンは何個いるんだ?」

「10個納入すればいい。でも果物は『おむすび』と交換したいから他に30個欲しいんだ」


「えっ? おむすびって……握り飯のことか?」

「うん。俺は故郷にいた頃、交換で飯を食っていたんだ」


 背負っているリュックは伸縮自在だと自慢した。


「レートはどんなの?」

「果物5とおむすび1だよ。6つあれば一日分になるよ」

「まじかー!」

「でたぁ! リクル、ぼったくられも良いとこだ。街に行けば果物1でおむすび2だぞ、それ」



 まじかー!

 人間ってやつは……今さらか。

 こうして良い奴らにも出会えたことだし。


「リクル、こうなりゃ腹いせにゴブリンをボコボコにしてやればいい。これまでの分をここで取り戻せよな」


 3人は笑いながら励ましてくれた。

 討伐任務は受けていないがlvアップも兼ねて、40個持ち帰るんだ!

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