煙を吹き掛けられたいのかい?
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
何となくやましい気持ちになったので、年齢制限を行います。
髪は芦毛、思慮深くも何処か夢見る様な瞳、薄い唇には淡い桃色が乗っていた。着込んだ和装と鼻上に乗った丸眼鏡と相まって、はんなり、という言葉が浮かんでは消える。
そんな彼は縁側に腰掛けて、夜空を見上げた。星月夜だった。
「貴方、煙管は嗜まないの?」
「ウチの子達が嫌がるからねぇ。光も温度も選り好みするんだ、煙なんて以ての外だよ」
そりゃそうだ。古美術というのは徹底した管理の元じゃないと生きられない。それはまるで蔵の中に閉じ込められた深窓の令嬢の様に。
前に居るのは骨董品の店主。基本的な所在は日暮の街、蚤の市。兎にも角にもお眼鏡に適った物を見る為ならば、割と何処へでも脚を運ぶ奴だ。
其れは夜毎に女の元へ通う甲斐甲斐しい男と似通っていた。
「なんだい? 煙を掛けられたいのかい?」
身を乗り出して、気怠くも艶のある声で問い掛ける。その時の僅かに上がった口角が、蠱惑的で人外である事を示していた。
目に掛けた物はきっと大切にする。気難しい輩の相手を日々しているから、女の相手なんてもっと容易いだろう。でも。
「アンタが吹き掛ける相手は古美術だけでしょう?」
「さぁ、どうだろうね?」
そう言うと、とすんと体をあずける様に覆い被さって来た。その骨ばった指で私の頬を包み込むと、心の臓を下る。其れから、ころんと真横に寝そべった。
「僕の夢は年代物の身の丈程もある古美術を抱えて眠る事なんだ。起きている時も、寝ている時も、片時も離れずに愛でて居られる。最高じゃァないか? でも出来ないんだ。繊細だから。でも君は許してくれるだろう? 夜毎に抱き締めるのも、煙を吹きかけるのも」
どうせ夜が明けたら私を置いて、壺を愛でに行く癖に。愛を吹き掛ける癖に。
「ちょっと。君の視点から見て、僕はそんなロクデナシなの? 言っとくけど、此処まで酷くはないよ」
目の前には椅子に腰掛けて、慣れた手つきで煙管を手入れする店主の姿があった。部品を取り外してブラシを突っ込んで、脂を吐き出させる。その指先の動き、視線の温かさから、愛を感じる。
「随分と溜め込んだねぇ。お可哀想に……。定期的に掻き出さないと、詰まりの原因だよ」
この持ち主は此処にはいない。なんせ彼が気に入って買い叩いたのだから。
『煙草の煙を吹き掛ける』という意味そのものに意味があります。
此奴の外見描写って、そんなに深く行っていなかった事に気が付きました。
という訳で、そちらがメインの話。
でもまた忘れる。絶対忘れる。
煙草、煙管の類は同居物が嫌がるので嗜まなさそうな。
でも買い上げた時に手入れは行ってそうなので、その心得はありそうですね。
ぶっちゃけ、物の価値そのものより、
『此処に居たら、幸せにならないから引き受ける』
という面もありそうなので。
んでもって
『この子が行きたがったら、お求め易い価格で』
がモットーなんで。
改めて学び直さないといけないと思ってます。
図解……図録……。