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ソファベッド  作者: 中島 世期 seki
1章 猫にマタタビ:僕の憂鬱
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9話 現代社会のミステリーだ

「おお、中学卒業するくらいからかな?急に女性らしくなったと思ったら、巨乳になってものすごいフェロモンを出すようになった」

「ふーん、昔からの知り合いなの…」


「ストレートだったら子孫を残すための遺伝的、本能的な雄を刺激されるな。しかし、そもそも、あいつは、自分が強烈なフェロモンを発信しているなんて知らないし、なぜ、周りの男が自分を触ろうとするのか、付け回されるのか、まったく理解してない。というよりあいつの頭じゃ理解する方が難しい」


「ストーカーとかあるのか?」

 ふふ、と蒲が笑った。

「俺たちみたいな一部の例外を除いて、高校生の時はトラブルが多かったかも。SEXしか頭にない衝動的な年ごろに加え、教師を含めて本人も知らないうちに、多くの雄のスイッチを入れてしまったから、大変だったよな」蒲は僕を見た。



【そして天十郎に話し続けた】


「あいつは、男が好きな俺を、襲われない知り合いという位置づけで、いるみたいだ」

「体臭を消す香料系のものを、からだにつけなくても、安全パイと言う事か?」


「まあ、そんなところだろ、どんなに頑張っても、体にとっては異物だからな。使い方によっては、からだに必要な菌や脂分、フェロモンをそぎ落し、余計な物をからだに残すから、肌が荒れる、悪臭が強くなる、異性は興味を示さない。そして、異性にもてたい奴は、宣伝文句に踊らされて、さらに使う。現代社会のミステリーだ」


「まあ、正直、その悪循環は知っているが、俺たちも仕事だからな…」

 天十郎のトーンは落ちている。蒲は話しながら、夏梅の去った脱衣場の方を見た。


「すべての女性が、香料系を使わなくなったら、夏梅はきっと孤立しないだろうけど。そうはいかないだろうな」

「つまり、夏梅の場合はフェロモンが強いのに、他の女性みたいに化粧をしないから、トラブるのか?」



【それは敏感だからなのか?】


「いや、普段に使わないからだろ。夏梅は香水が臭くて、我慢できない事が多いな」


「そうか、嗅覚は慣れる器官だから、使い続けると臭いが強くても、本人はわからなくなる。普段から、慣れていないから、多少の臭いも強く感じるのだな」

「なるほどな。それにしても、夏梅の肌はさらっとすべすべなのに、吸い付くようだ。蒲もなんとも気持ちがいいし、香水の臭いじゃないけど、すごくいい匂いがする」


「そうだろ、オレも夏梅方式を取り入れてから、みんな触りたがる。ついてくるぞ」

「本人はどう思っているの?」

「何を?」

「その、人と違う事。つまりフェロモンが強い事は知らないから…。なんというか…」


「そうね。どうだろうな、今度、本人に聞いてみれば?多分、すべての女性は夏梅と同じだと思っているから、人と違うという発想は無いような気がする」

「聞くだけ無駄なの?」

「そうじゃないけど、あくまで俺の心象だ」

「ふーん」


 話ながら、甘える天十郎を、とっても可愛いというような仕草で、蒲はにやにやしている。こいつ何を考えているのか?まさか、同居させようとは思っていないだろうな?


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