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秘密の約束 (3章21話の後)

ギルド長とラティが祭りの途中で拉致され捕らえられていた部屋に入ると、ちょうどサフェリア騎士団の団長が魔道具で魔法を解除したところだった。




「嬢が助けてもらったようじゃの。」




ギルド長が声をかけると団長がゆっくりと振り返り、ギルド長を見る。




『え~~~~~!!!**************』




「…ラティ…声を遮断してすまんのぉ…嬢に聞かれるわけにはいかんからな…じゃが…やはりそうか…サフェリアの騎士団長殿、この部屋に一時魔法を掛けてもよいかな?」




「…そうだな…その必要があるようだ…」




「ここはまだ町のはずれとはいっても町から外というわけではない。森の力も効いておる様じゃ。森の力と儂の魔法があれば、ここでの話が外に出ることはないじゃろ。」




「………」




「ラティ、まずは魔法を掛けてしまうぞ。」




そういうと、ギルド長は音声遮断と情報隠匿の魔法を掛け、さらに時間魔法を部屋の中にかけゆっくりと時が進むようにし、その外側に魔法が掛かったことが分からないような魔法を重ねて掛ける。これでしばらく話す時間を取ることができ、外にいる騎士団員やラヤーナに話をしていることも気づかれないだろう。




『おじいちゃん凄いのね~~~~・魔法沢山かけてるのね~』




「フォッ・フォッ・フォッ。まぁ、儂にとっては何でもないことじゃよ。」




『すごいのね~~~~!』




「魔法もしっかりとかかった様じゃしの。今は嬢に話を聞かれるわけにも、女神に聞かれるわけにもいかん。」




『女神様もダメなのなの???』




「ダメじゃよ。そもそも女神はこの男のことに気づけてないじゃろ。気づいたのはラティ、お主だからじゃぞ。なぜお主だけが分かったのか、理由も自分でわかっておろう。」




『…うん…ラティ・わかってる……』




「さて、サフェリアの騎士団長セヴェリ殿、その姿で会うのはこれがはじめてじゃの。」




「…そうだな、リエスの町のギルド長殿。」




「おや、もう師匠とは呼ばんのか?セヴェリ…いや、ヴァルテリ。儂はおぬしだとすぐにわかったぞ。尤も気づけるのは儂だけじゃろうて…女神でも気づけんよ…」




『ラティも~~~~~・ラティもわかったのね~~~』




「おお、そうじゃったの。」




『ラヤーナの番様~~~~~・ラティなのね~・よろしくなのね~』




「……」




『見えないふりしてもダメなのね~・ラティにはわかるのね~・番様はラティの父様なのね~~~~・だからラティとは特別の絆があるのね~!』




「!!」




「そういうことじゃよ。女神にも気づかれないことを精霊が気づく。普通ではありえないことじゃからの。」




「…そう…か…お前が……ラティ、と言うのか…」




「してヴァル…セヴェリと呼んだ方がよいかの…お主…これまでどうしておったのじゃ…それに、今の姿はお主の本来の姿ではないな…魂の欠片が割れてしまったがお主は生きていた、ということか?」




「…そうだな…今はまだ詳細に伝えすることはできない…が…まぁそういうことになるだろう。」




「…じゃが…お主はこの国の生まれではないな…森神人の番はその森のある町に生まれるはずじゃが…」




「…そうだな…」




「じゃが、お主はサフェリアの生まれ…であっても嬢の番でもある…どういうことじゃ…世界の理が変わってしまったのか…」




「理は変わってはいない。」




「…そうか…ではお主が嬢の番であることは変わらんということか。…これからどうするつもりじゃ?」




「…ギルド長はわかっているのだろう。俺が何をしたいのか、そして何をするのか。」




「まぁのぉ…」




「必ず…確実に実行する…」




「…ふぅ~~~~~…お主がそういうのなら…そういうことじゃろ。勝算は?」




「………自分ができる部分については200%確実な状態に……するつもりだ。」




「…そうか…ということは…まだその状態ではない、ということじゃな。」




「あぁ。そうなる…今は…まだ…俺の…」




「セヴェリ、お主の…ラヤーナと番となるお主はどこにおるのじゃ?」




「…確実にこの世界を守るために…今はその力を得るための場所にいる。」




「そうか…もう少し時間がかかる…ということか…だがそれほど時間に余裕があるのか?今回の件についてもお主は何か感づいておるのじゃろ…」




「…あぁ……」




「……儂は何をしたらよい?」




「今まで通り、ラヤーナと…ラティを…お願いしたい。」




「それは…まだお主は…動けぬ、ということか?」




「本来の力を持った自分は…まだ…ということだ。」




「そうか…ここにいるお主自身は動けるということじゃな…今のお主なら…まぁ…ラティ以外は気づけないじゃろうからの…では…いつ動けるのじゃ?」




「今はまだ…だが…時間に猶予がないこともわかっている……」




その後ラティは、セヴェリに関して何か気づいてもラヤーナやローラにも一切言わず、気づかないでいるようにと釘を刺される。セヴェリは当然ラティを認識できるが、それも互いに気づかないということで動くようにも言われた。全てはラヤーナを守り、ローラの力を取り戻し、エルクトラドムに平和をもたらすために必要なことだ。




「…ラティ…ここにいる自分はまだ…ラヤーナを完全に守ることができない。あいつの力も少しずつ戻ってきていている…。そして、今自分が生きていることを感づかれるわけにはいかない。しかし自分がラヤーナと一緒にいれば…俺は…自分を抑えることができないかもしれない…。それほど俺にとってラヤーナは…自分を忘れてしまうほどに心を奪われてしまう…。俺がそうなってしまうと必ずエルランは気づいてしまう。…ラティ…俺がラヤーナを守れるように…冷静でいられるように…ラヤーナを頼む…そして俺を監視していてくれ。ラヤーナは…俺の唯一であり…俺のすべてなんだ………」




セヴェリは自分が、将来息子になると言っているラティに懇願していることに気づく。ただ自分と一緒にラヤーナを守ってほしい…そう告げるだけのはずだった…しかし、自分はそれ以上のことをこの小さな精霊に懇願していたのだ。…おそらく今自分が考えているのはラヤーナを、そしてこの世界をどうやって守るのか…ということだ。そしてそれが容易ではないことを一番よくわかっているのも自分だ。この世界がなくなるとラヤーナは消えてしまう。ラヤーナを守るためにはこの世界をも守らなければならない。




『…………わかったのね~・大丈夫なのね~・ラティがラヤーナを守るのね!父様とラヤーナとみんなが一緒に過ごせるようにラティがラヤーナと父様を守るのね~~~!』




「セヴェリ…儂ももうひと頑張りするよ…あの時のようなことは…二度はない…」




「師匠…よろしくお願い…します…」




二人と1精霊でラヤーナを守る約束をした。





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