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魔獣の森

「ここが魔獣の森か」


 俺は呟いた。


 魔獣の森と呼ばれる場所はとても大きく、見渡しきれないほどだった。先の方は暗くなっており不気味な雰囲気が感じられる。


「たまにだけど強い敵が出てくるから気をつけてね」

「分かった」


 油断は大敵だしな。気をつけないと。


 入ろうとしたが、入る前に一つ訊いておいた方がいいことを思い出したので訊いてみた。


「ミネアはどんな魔法を使うんだ?」

「えっとね。武器は双剣使うよ。後は魔力込めてザクザクだね」


 気さくな笑顔で答えてくる。結構グロい気もするからそんな笑顔で答えられるとは思ってなかった。


「まぁ、それなら合ってるか。俺は遠距離の魔法が得意だし」

「へー! 頼もしいや」

「それじゃあ行くか」

「うん!」


 森の中は何だか不気味な雰囲気が漂っていた。今にも魔物が出てきてもおかしくない程に。


 俺が警戒しながら歩いている横でミネアは楽しそうにスキップしながら進んでいた。


「何でそんなに楽しそうなんだ?」

「えっ? そう?」


 俺の問いが全く考えてしていなかったかの様に驚いていた。こういうのは自分では気付かないものなのだろうか。


「顔が緩んでたし」

「あー……。多分ちゃんとしたクエストで誰かと行くのは初めてだったからかも」


 ミネアは納得した様に答える。


「へー。いろんな人と行ってそうだけど」


 ギルド移転の話の前まではまだ人数は居たみたいな事言ってたし。


「うーん。元々の人数が少なかったんだよね。辞めたのも三人位だったし」

「三人⁉︎」

「うん」


 もっと居るものだと思ってた。

 勘違いした俺も悪いけどマスターも話盛ってた気がするな。帰ったら話を聞こう。


「その三人とも行った事がなかったからね」

「ふーん」


 話を聞いている途中、ガサッと草むらが揺れる音がした。


「ミネア」

「うん。分かってる」


 すぐにその方向へ体を向けて、臨戦態勢を取った。


「…………」


 沈黙の状態が少し続くと、痺れを切らした様に向こうが動いてきた。

 その姿は人間の数倍もガタイの大きな豚の鼻の様な物を持った魔物だった。

 

「オークか……」


 一体が出てくると後ろから一体、もう一体と数が増えていった。

 十体はゆうに超えている程のオークの群れがこちらを見てよだれを垂らしていた。

 


「オークがこんなにもだなんて……」


 ミネアはオークの多さのあまり後退りををしていた。


「大丈夫か?」

「一匹ならいけるって思ってたのに、こんなにも多かったらキツいよ! 逃げないと」

「そうか?」

「そうだよ!」


 ミネアは明らかに焦った様子で俺を説得してくる。


(オークが十匹くらいなら何とかなると思うけど)


 そう思っているとミネアが付け足してきた。


「オークが十匹以上なんて最低でも七人、いや五人はいるよ! それを二人でだなんて」

「じゃあ一回試してみるよ。無理だったらすぐに逃げるから」


 何とかなるだろうし、もし何かあっても加速魔法でオークの群れくらいは抜けれるはずだ。


「わ、分かった……。私は一匹しか相手できないからね」


 ミネアは渋々頷いて戦闘態勢を取った。なんだかんだ言いながらも一緒に戦ってくれるみたいだ。


「ああ。それ以外は俺が倒す」


 ミネアは俺の言葉に少し微笑んだ後、消える様なスピードでオークの背後に迫っていた。


 これなら余裕なんじゃとも思ったが、力が足りなかった。刃は通らずかすり傷程度しか与えられてなかった。


『グアアーー!』


 かすり傷程度だったが気を引くにはちょうど良かったみたいだ。ミネアの方へとオークたちが向かって行く。


「俺も忘れないでくれよな」

『ウォータースラッシュ』


 オーク背中がこちらへと向いたので遠慮なく攻撃してやる。

 その瞬間、オークの一匹が綺麗に真っ二つに切断される。

 

「えっ⁉︎」


 オークが倒れるとそんな素っ頓狂な声が聞こえた。多分ミネアだろう。

 オークたちもこちらに目線を向けて、次はこちらに向かってきた。


『シャインフラッシュ』


 まずオークたちの動きを止めるために光の魔法を使った。予想通りオークたちは目を押さえながら動きを止めた。


『ウォータースラッシュ』


 その後、先程オークを切った魔法で残っているオークを全て真っ二つに切断する。


 オークが全て倒れると呆けた顔をしたミネアの姿が見えた。


「マリウス大丈夫……?」

「ああ、全然大丈夫」

「そ、そう」


 ミネアの方に歩み寄ると、心ここに在らず、みたいな様子で安否を確認してきた。


「本当に凄いやマリウス! あそこまで簡単にオークを倒すなんて」


 ギルドで初めて会った時以上に、目をキラキラさせて褒めてきた。


「それに無詠唱魔法であの威力は異常だよ」

「多少は魔法も勉強をしたからな」

「それでも凄いよ」


 ミネアは俺のことを褒めちぎってくる。そんなことはないと思うんだけど。


「それを言うならミネアも凄いぞ。あそこまで早く動けるなんて」

「そう?」

「ああ。魔法もほとんど使わずあそこまでの身体能力は異常だよ」


 魔法を使っている様子もなかったし、ほとんどが身体能力だろう。


「えっ? 魔法は使ってたつもりなんだけどな」

「えっ?」


 冗談だろ。もしかして誰にも魔法の使い方とか教えてもらってないのか。


「魔力量は多いんだからもっと魔法の質は上げれるぞ」

「本当⁉︎」

「ああ。帰ったらやり方を教えるさ」

「ありがとー!」


 別に俺もミネアがどれくらい強くなるかも気になるし、全然大丈夫だろう。


「ところで、これってもう帰って良いのか?」


「うーん。オークを倒せたしね。後少しだけ探索したら帰ろうか」

「そうだな」


 それからもう少し魔獣の森で魔物を倒した後、帰るために馬車に乗って帰った。

 少しでも「面白い!」「続きが読みたい!」


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