16、18日目 町に入る
領都ミナオサに着いた。
この町は高さ5mぐらいの城壁で囲われている城塞都市だ。
辺境伯領ということで独自に強力な軍を組織しているが、この軍は他国からの防衛を考えたものでなくフレイアの森の魔物に対する軍だ。
その数は約4000人。
領都ミナオサの人口2万人の20%に及ぶ。
主要産業は魔物の素材を使った様々な製品だ。
魔物の素材が豊富なら魔道具も製作も盛んでもよいと思うがそうでもない。
魔道具製作が盛んなのは王都だという。
国が魔道具の研究を後押ししているからだ。
そのために工房も研究者も王都に集まってしまっている。
王都には王立の魔道具研究所もあるという。
ここ領都ミナオサでは製品としての魔道具は王都から運ばれてくるので割高な価格で販売されている。
魔道具専門店はなく、商会や商業ギルドや討伐ギルドの片隅で販売しているらしい。
2m立方の時間経過のある収納袋が王都の倍の金貨12枚もするという。
金貨1枚が感覚として2万円ぐらいだと思う。
4人家族の一月の生活費が金貨5枚程度だという。
鉄貨10枚で銅貨。
銅貨10枚で銀貨。
銀貨10枚で金貨。
金貨10枚で大金貨。
大金貨10枚で白金貨になる。
魔法薬も収納袋同様に王都の倍の価格だという。
ここでは1本が銀貨4枚から28枚らしい。
入町門で盗賊の討伐を報告し、盗賊の引き渡しを行った。
しっかりと事情聴取もされたよ。
『牢屋の収納箱』には特に驚かれた。
しかし、簡単に納得してくれたので助かった。
私は身分証を持たないので入町の手続きをしようとしていたら一人の騎士が近づいて来た。
令嬢の護衛をしていた騎士の一人だ。
だから事情聴取が簡単だったり、簡単に納得しているのか。
私の情報はすでに領主に伝わっているのかな。
「タカシ様。領都ミナオサにようこそ。タカシ様の入町税は必要がないということです。そしてこれがタカシ様の身分証です」
「ありがとうございます」
この町が発行した身分証があればこの町や周辺の町村の入町税は必要がないという。
令嬢が手配してくれたらしい。
後で、お礼をしなくてはいけないね。
「タカシ様はどこに滞在される予定でしょうか?」
令嬢の護衛さんから尋ねられた。
「まだ決めていませんが・・・」
「それなら当面は私どものミナグ商会にご滞在ください」
グレーさんがミナグ商会滞在を提案してくれた。
「え、いいのですか」
「はいどうぞ」
「ではよろしくお願いします」
「では当面の滞在先はミナグ商会ということでよろしいでしょうか。近いうちにドラゴン討伐と薬草提供と盗賊討伐のお礼の連絡があると思います」
「はい、よろしくお願いします」
ミナグ商会で少し休憩をしてからグレーさんと商業ギルドに行った。
流石に領都一の大商会の経営者と一緒ということで注目されたがすんなりと商業ギルドへの登録ができた。
その後ミナグ商会に戻り、グレーさんの家族と夕食を共にした。
グレーさんの両親と奥さんと二人の娘さんを紹介された。
夕食後グレーさんの持つ土地の一つを購入することも決まった。
代金ができるまでは無償貸与という形でよいという。
感謝だ。
その日は客室に通され、早めに就寝した。
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