1、穴に落ちた!
よろしくお願いいたします。
今日は近くの低山へ登山に行く。
しかし、朝早く自宅の近くの遊歩道を駅へと歩いていたら穴に落ちた。
初夏の爽やかな風を感じ、鳥の声を楽しんで歩いていたのに何故?
落ちる、落ちる、落ちる、落ちる、落ちる、落ちる、落ちる・・・・・・・。
いつまでも続く落下。
周りは闇のみ。
周囲には光はない。
あれ?どちらから落ちてきたんだ?
そして、いつの間にか意識も闇の中へ・・・・。
「青い天井だ・・・・」
いや、青い空だったよ。
知らない天井だとか、白い天井だとかでなく、青い澄みきった空。
意識を取り戻すとそこは草地だった。
大自然の真っ只中。
山の中。おそらく。
今横たわっている場所はほぼ平らだ。
森の中に出来た広場にだね。周りより少し小高くなっている。
遠くには高い山並みが連なり、反対側には森がどこまでも続いている。
山の麓という感じかな。寒くも暑くもなく快適だ。
スマホは圏外だね。
GPSも受信できていない。
時刻はスマホの時間で午前10時過ぎか。
穴に落ちたのは午前6時過ぎだったと思う。
歩いていたのは遊歩道、八王子市南部、立派な都内だったのに。。。。
周囲の植物は見たことがない種類が多いよ。
うーん、地底世界か?
果物もなっているけど、こんなの見たことのないよ。
だって1mぐらいの竹のような植物の先端にリンゴのような実。
実の周りには飴のようなコーティングがされていて光っている。
これってどう見てもリンゴ飴でよね。
「お祭りの屋台かよ!」
はあ、はあ、はあ。つい興奮して突っ込んでしまった。
現実逃避してしまったというのが正解かな。
少し離れたところにも珍しいものがあった。
桃色のしだれ柳の様な木の枝の先には蜜団子のような塊がついている。
黒色のしだれ柳の様な木の枝の先にあるのはミニ大福か?
ふと、遠くの空を見た。
よく見てみた。
ジーっと見てみた。
えー、飛んでいるのはドラゴン?
固まって動けないうちにドラゴンらしい飛行物体は山の向こうへと行ってしまった。
これって異世界転移?
死んでしまって転生?
まさか・・・・・夢だよね。
頬をつねれば・・・・・。
うん、痛いよ。
夢じゃないよ。
はははははは・・・・・・。
これからどうする。
この世界に人はいるのかな?
文明の程度は?
食料はどうする?
寝床はどうする?
私の安全はどうなの?
持ち物は?
あった!
今日外出するとき持ってきたものがあったよ。
ザック、雨具、小型簡易テント、簡易キャンプ道具一式、食料4食分と非常食8回分、水500mLペットボトル2本、お茶500mLペットボトル1本、双眼鏡、カメラ、タブレットパソコン、太陽光充電器、スマホ、タオル3枚、着替え1式、エコバック2つ、ジッパー袋12枚、レジ袋3枚、サンプル瓶5本、根堀、肥後守、キッチンばさみ、地質調査用ハンマー、文具一式、簡易工具一式、応急キット、財布等。
今日は山の上で写真を撮ってブログにアップする予定だったんだよ。
簡易キャンプ道具は山の上で過ごすのが快適なように。
夜は温泉旅館に泊まる予定だった。
見た目と行動は30代だけど実際は60歳を越えている私の最近の楽しみは自然に抱かれながらいい温泉に浸かることになってしまった。
今持っているこの装備なら野外活動の知識を活かせば8日程度は生きていけるかな。心配なのは水の確保かな。
帰ることはできるのかな?
人がいても言葉は通じないかもね。
きっと治安も悪いよね。
危険な動物とかいるのかな。
いや、さっきいたよ。ドラゴンが!
やはり、これって詰んでいる?
これからの展望が見えないのだけど。
どうしよう?困ったよ。
お読みいただきありがとうございました。
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