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49話 三度目の人生の始まり


「で、ルーファス説明して」

例の神域魔法が落ち着いた後、部屋にいた俺たちの姿に変化があった。


それは見た目だ。


俺はマコトの姿に戻っており、シラメ、ルーファスも元の本人の姿に戻っていた。


「そうじゃのぉ。この世界からメリン達の存在は消え、生きた歴史も消えた。しかしそうするとそこには穴ができる。記憶の穴じゃ。そこに妾達を入れた。というわけじゃ」

「はい死刑」


「クブォ」


突然の突き刺しをくらい、ルーファスは倒れた。

血を吹き出し悶絶するルーファスを見ながら、ステータス画面を確認するシラメ。


「なるほど。神域魔法ってのは何でもありなわけね」


「い、いや、そうでもないぞ。ひひふーひっひっふー。マコトおおおおおお〜」

「はいはい」


俺は床に倒れるルーファスにヒールをした。


数日ぶりにこの感じを味わうと懐かしい気がするなあ。

味わいたくなかったけど。


「切れ味申し分なし。さ、行くわよ」

「行くってどこに?」

「学校」

「は?」


シラメはそういうと部屋を出て行った。


「色々整理する必要があるだろうが!」


俺はそう言いながら、部屋を出て行ったシラメを追った。


「おい待てシラメ!シラメエ!」

「うっさい!で何?」


シラメは階段で止まり此方を機嫌悪そうに向いた。

不機嫌なんですね。


「お前学校がどこにあるか知っているのか?」

「ええ、私が頭の中で教えていますから」

「は?あんたまさか」


シラメの左眼が黒ではなく蒼色に変わり、別の人格に取り憑かれたかのように雰囲気が変わる。


「消えたんじゃ」

「消えませんよ。消えたのはメリンだけです。私とベルの魂は残っていますよ。まあでも私達の事を覚えている人はいませんが、最低限の案内役とても思ってください」

「って訳で、頭の中でこの女かごちゃごちゃうっさいのよ!学校行け学校行けってね!」


この言い方はシラメだな。

シラメが不機嫌な理由が分かった気がした。


「ごちゃごちゃってねぇ!学生は学校に行くのが仕事でしょ!」

「あんたは私の母親か!こちとら二十歳過ぎよ!」

「え、貴方そのなりで二十歳過ぎなの?おばさんじゃない」

「は?今なんて言った?」



うわぁ。悲惨だ。

目の前のシラメは、一人で勝手に盛り上がっている痛い子にしか見えない。


「硬化」

「へ?」


シラメはそう言うと、右手で左眼を突き刺さんと右手を自分の左眼に向け突き刺そうとした。


「ちょ!?アンタバカァ!?」


その右手を必死に取り押さえる左手。


「ちょ!離せ!」

「嫌よ!あんた何考えてんの!自分の身体を大切にしなさいよ!」

「うっさい!」

「話を聞いて!貴方の体なの!私が入ってるけど、これは貴方の体なの!」


うわぁ。

カノって人可哀想だ。

一番外れの器だろ。シラメの体の中とか。


「あら?シラメにマコト?こんな所で何しているの?学校は?」


小豆色の髪のお姉さん。確かこの兄弟の母親だったな。

それにしてもシラメにマコトねえ。

本当に記憶が塗り替えられているのだな。


「今行く!」

「ハアッ!行かないわよ!」

「行きなさい!バカァ!」


シラメではなく、多分カノだな。

バカァなんて可愛い子だ。

あの子がパーティーメンバーだったら、真面目に頑張ってくれたんだろうなあ。


「ふう。やっと消えたわね。ま、学校行ってあげるとしましょう」


両目とも黒に戻ったシラメは、そう言って、楽しそうに家を出て行った。


「行ってきまーす」

「行ってらっしゃって、シラメちゃん!?制服は制服!」

「へ?」

「ああもう!忘れてた今着てくる」


シラメをお見送りに来た母さんによって、シラメは止められた。

そりゃあそうだ。

そんな冒険者だった時の服で学校は、違和感あり過ぎだ。


俺に至ってはスーツの下に、Tシャツ一枚というスタイルだ。


シラメの左眼が再び、蒼色に変わり部屋に戻って行った。


「俺の中のベルさんは出てこないんですかー?」


...

......

.........



「いないんだよなぁ」


メリンもカノもいたのに、そのベルって人だけ一度も出て来てくれない。

友人関係とかわからないんだけど。これ学校行っても大丈夫か?



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