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39話 vsお菊

「無事で何よりじゃ。すまんの遅れてしもうた」

「助かったよルーファス。シラメも運んでくれてありがとう」

「早くヒールしなさいよ」

「ああそうだな。ヒールヒールヒール」


俺は折れた腕と怪我を回復させ、敵を見る。


「あやつはお菊という魔族じゃ。まさかこんな化け物が来るとは思っとらなんだ」


ルーファスは着物の魔族を、お菊という名前だと言った。


「どうして知ってるんだ?」

「妾がまだ神域魔法使いで呪いも何もなかった頃に一度戦っておる」

「マジか!勝敗はどうだったんだ?」

「つかなんだ。奴が本質を見せてからというものどうにも奴の皿が突破できんかったのじゃ。じゃからの今のフィーアの4人でも勝てるか微妙なんじゃ」

「え?」



「グァアアアアアアアア」

苦痛の声と共にアージが殴り飛ばされていた。


「団長!これはマズイわよ。本気で戦いましょ」

「そうだな。これは想定外だ」

「団長。強化魔法必要?。」


「頼む」

「了解。肉体強化【ごく】、反射強化【極】、防御強化【極】、攻撃強化【極】、魔法強化【極】、火精霊イフリートの加護【龍】」

サラはいくつもの魔法を発動させ、ピュート、ヒューラ、アージに強化魔法を発動した。


「それじゃ。おやすみ。炎の卵。」

そう言ったサラは、魔法で作り出された卵の中に包まれ、睡眠についた。


「何アレ。呑気じゃん」

「何かあるんじゃないのか?魔法使い過ぎたとか色々。多分」

「あれはあやつなりの役にたつ方法じゃよ。あやつは戦闘系ではないからの。仕事を終えたら、ああやって狙われないようにして味方への負担を減らしておるのじゃ」

「へぇ、よくわからんな。それが役に立つかってのは、実際その強化魔法の効き目によるだろうからな」

「それについては問題ないじゃろうな。見ておれ。フィーアの真髄が少しは見えるかもの」


ルーファスにそう言われて、俺はピュートの方を見ると、ピュートがサラと近距離戦をしている姿だった。


「ゼァ!」

「ウウッ」

「甘い!」

「チッ」


お菊の攻撃をことごとく弾き、隙間隙間に剣を差し込みダメージを与えていた。

そしてサラがヒューラへの警戒を解くと


「毒の弾丸ポイズン・バレット

ヒューラが的確にお菊に毒の鉛玉を撃ち込むので、そちらへと警戒も怠らない。


そのためピュートの盾を突破できないのだ。


そしてもう一つ警戒すべきは、フィーア・ドラゴンズの攻撃の要であるアージだ。

死にかける度にヒューラが毒で無理やり叩き起こして、ゾンビのように何度も何度も無謀とも言える全力アタックをさせられていた。


しかしそれを軽視する事は許されない。

何故ならそれくらえば死間違いなしの、アージの本気の一撃が毎度毎度飛んで来るのだから。


そして何度突き返そうとも、蘇るのだ。

もう少しで殺せるかと思うと、ピュートが割って入っている。

一撃死のダメージを出せなければ、殺せそうにない。

しかしそれができない。

スヤスヤと眠っているサラにより魔法はそれ程までに強力なのだ。


「圧倒的じゃないか?心配する必要なんてなかったんじゃないか?」

俺はルーファスにそう問うとルーファスは、手を口に当て、何かをジッと見ていた。


「どうした?」

「いや、妾の勘違い......じゃっだのだろうか。あやつはお菊では無いのかの。もっと強かった気がするのじゃが」

「いいんじゃ無いか?弱い分には」

「それもそうなんじゃが」


「速度強化【高】、鋭利化」

そう聞こえた瞬間、目の前からお菊の姿が消えた。


次の瞬間、お菊はヒューラの前に立っていた。

「えっ」

「貴方が鬱陶しい!先に殺して、あげる」

「ヒューラァアア!」

「ヒューラ!」


アービとピュートが叫んで、ヒューラの元に走るも遅かった。

既にお菊はその皿を振りかざしていた。


「毒のポイズン・ウォール

「遅いわよ!」


構成されかかっていた毒の壁ごと、お菊はヒューラの身体を切り裂いていた。


「毒の卵」

ヒューラは血が飛び散る中、最後に呟いた言葉がそれだった。

その途端ヒューラの周りに毒の霧が発生し、それはヒューラを包み込み紫色の球体となって、ヒューラを守っていた。


「チッ殺し損ねたわね。まあ回復使いはこれで戦いに復帰はできないだろうから、及第点ね」


「よくもヒューラを!」

アージはそう言って魔法の拳で殴りかかっていた。

それを見たお菊の口に笑みが走る。

ここでアタッカーを失うと勝ち目はない。

だがアージは頭に血が上ってしまっており、殴りかかっていた。


「ダメだ!アージ!」

「え、あ、しまっ」

「ヒヒヒ!もう遅い!」


ピュートとお菊がそれぞれ焦りと高揚を口にする中、俺の仲間の1人。

もっとも行動派のあいつが動いていた。



「ババアがうっせえーんだよ!」

シラメは加速スキルで、普段よりも速く走り、お菊の後ろから全力のドロップキックをお菊の背中に決めていた。


獲物を狩る前が一番隙ができるとはいうが、それをここまで的確に捉えるシラメの肝の座り方に若干の恐怖を覚えつつも、ナイスプレーをしたシラメを凄いと思ってしまった。


お菊は前に倒れ、顔面を地面に打ち付けてしまった。

「誰じゃオンドリャ」

「私ですけど何か?なーんかよくわからんないんだけどさ。迷惑だからね?」

「迷惑......ですって?」

「そうよ」

「わかってるわよ!それでも私はやるしかないの!わかる?だーかーら!邪魔しないで!いい?」


若干切れ気味のお菊はシラメに指をさして、そう言うと、何処からともなくポーションを取り出してそれを飲もうとした。


「爆破ッ!」

アージが速攻でそのポーションを破壊した。


「ハッハー!残念無念ってか?いいねぇ!その恨み顔ゾクゾクするねぇ!」

「あんたうっさい。あ、そーだ。この魔族をさここで取り押さえておいてくれない?」

「は?何でだよ」

「ま、いいから、絶対逃さないでよ?わかった?」

「どれくらいだ?」

「60秒くらいね」

「わかった」

「えい」


シラメは無邪気に「えい」という掛け声で、お菊の足を少し切り裂いた。

「ちぇ、切り落とせないか。残念、んじゃ後お願いね」


シラメにそう言われ、アージは魔族の後ろから腕をホールドして、そのまま地面に押さえつけた。


「な!離せ!コラ!」

お菊の声を聞きながら、シラメはこちらに戻ってくるなりルーファスに言った。


「さ、大技行ってみよー!」



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