38話 ルーファス対メリー
「な、ちょい待たんか!マコトォ!」
マコトがシラメの後を追って行ってしまったため、ルーファスとメリーの対面という状態になっていた。
「あらら。行っちゃった。あなた一人くらいは止めさせてもらうわ」
メリーはそう言って、腕を横に伸ばし手を大きく広げて、通せん坊をした。
「うぬ。妾としては、行かせてもらいたいんじゃがの」
「だーめ」
メリーにそう言われて、ルーファスは頭を抱える。
妾の現状使える魔法は無い。
使えばすぐに自分自身にもダメージが返ってくるものが多いため、回復が使えるマコトがいないのでリスクがある。ポーションはあるが腕が吹き飛びでもしたら詰む可能性が大じゃ。
武器はミョルニルは使えるがまあ当たる見込みはないじゃろう。
靴は使えば当たるまで止まらぬため、死ぬ可能性もあるのでこれもまたなし。
こういった状況で便利なマントも無い。
しかし何もやらぬわけにはいかんのよ。
「ミョルニル10%解放じゃ」
ルーファスの声に反応し、ミョルニルに少しだけ雷が宿る。
「強行突破?できるならいいよー!遊ぼっか!」
「お主一人くらい、ミョルニルで打ち抜けば倒せるわ!」
ルーファスはミョルニルを振り抜いた。
メリーはそれを軽く避け、ルーファスの後ろに回る。
「残念でしたー。さあ次は当たるかなー」
「小賢しいのぉ」
ルーファスは再びミョルニルを振るう。
メリーはそれを先程と同様に軽く避けた。
「甘いわ!アサシンボルト」
ルーファスの指から一筋の稲妻が走る。
稲妻はメリーの心臓を撃ち抜いた。
「いたた。ちょっとだけ効いたよー」
メリーはそういうが実際は服を一部焦がしただけに過ぎなかった。
焦げた隙間から見える肌に、火傷が見られなかったのだ。
「魔法への耐性じゃな。中級魔法ではダメージを与えられぬというわけじゃな」
「はて?それはどうかはわからないよー」
「じゃが効かぬと言っても、それによる反動は受けていると見て間違いないじゃろうな。アサシンボルトを受けた時に少し蹌踉めいたのがその証拠じゃ。つまり完全耐性ではないというわけじゃ」
ルーファスはそういうと、宙に5つの火の玉を出現させた。
「圧縮火炎玉じゃ。当たればダメージはなかろうと肉体を吹っ飛ばすくらいはできるじゃろ」
「え、ダブル属性使いなの!?ファイアバリア!」
ルーファスは圧縮火炎玉をメリーめがけて放った。
メリーはそれを咄嗟にファイアバリアを展開して、防御するもその反動で後方まで弾き飛ばされた。
「なるほどのぉ。炎属性への攻撃に反応してバリアを張ったと言うことは、雷属性への耐性は妾と戦うことを前提に戦う前からバリアを張っていたわけじゃな?」
「イッタイナァ。ダブル属性使いとか聞いてない!」
「ぬははは!やっと驚いてくれる奴がおって妾も満足じゃよ!マコトもシラメも反応してくれなんだからのぉ。奴らはその辺の常識が無いのだろうかと思ってしまう」
この世界で魔法とは生まれながらに定められた属性の魔法しか使えない。
一般には一つの個体に対して1属性が原則だ。
だが妾は違う。
雷、火、水の3属性使いなのだ。
まあ超級以上は雷しか使えんのじゃが。
「そしてもう一つわかったことがある。バリアを戦う前から張っておったにも関わらず、全属性分のバリアを張っておらなんだ所を見るとバリアは一つしか張れぬと言うことじゃな」
「ううう」
メリーは悔しそうにルーファスを見るも、ルーファスは言葉を続ける。
「そして今は雷への耐性が無い状態じゃ。今ならアサシンボルトでも余裕で倒せるじゃろう。だがそうしようとするとお主は雷のバリアを張るじゃろ?じゃからの?」
ルーファスはそう言って笑みをこぼした。
「こうするんじゃ!」
ルーファスは両手を高々と上げ、魔法を発動させる。
雷の球体と炎の球体、そして水の球体が宙に出現した。
「と、トリプル属性使い!?」
「ぬはははは!さぁ!選ぶがよい!3つのうち耐性を持って防ぐのをなぁ!しかし他の二つはくらうが良いわ!」
ルーファスは上げた手を下ろす。
そうすると3つの球体がメリーめがけて、飛んでいく。
「ああもう!きらい!サンダーバリア!」
メリーはバリアの属性を雷耐性へ変えると、雷の球めがけて走り出した。
耐性があるため3つが同時に来る前に、雷に突っ込み突破しようという算段じゃな?
それは悪手じゃの。
何故ならそれは妾でも読める。
そしてその進む先は一つしかない上に横への回避は不可能。
つまりは
「叩き割れ!ミョルニルよ!15%解放じゃ!」
大振りのミョルニルでも当てられるというわけじゃ!
「なっしまっ!」
「オンドリャあああ」
ルーファスのミョルニルの一撃をメリーは正面からくらう寸前で腕を前に出し防御の体制をとったが、走る勢いで止まることはできず、ルーファスのミョルニルの直撃をモロに受けてしまった。
「イッ」
メリーはボールのように地面を跳ね、数度はずみ地面に落ちた。
「妾の勝ちじゃな」
ルーファスはそう言って街へ行こうとした。
「違うよ?わたしの目的はあなたの足止め。それができたからわたしの勝ち。あと呼ばれたから行くね」
そう言ってメリーが立ち上がったのだ。
「な!お主いくら15%とはいえ神の武器を受けて無事のはずが......まさかお主。本来の役割は」
「うーん?あはは?さてなんでしょう。まーでもクチから呼ばれちゃったしいくねー!」
「わたしメリー。今あなたの後ろにいるわ。」
メリーがそう言った瞬間、目の前からメリーが消えた。
奴の本来の役割。
まさかタンクか。
タンクとは、戦場において敵の攻撃を自分で受け、仲間への攻撃を請け負う役割。
奴は以前の宿での戦いで妾達の戦力を知っておる。
妾とシラメとマコトなら、シラメは強いがそれはあくまで状況次第。それ以外であれば一番の攻撃力はやはり妾じゃ。
つまり初めから奴は妾の足止めをするために、残り2人は対応しきれないためマコトは行かせたのか。
そうじゃよ。メリーは奇襲に特化した性能をしておった。
しかしそれは使い方を変えれば、瞬時に仲間の後ろまで行けるということ。
そしてもう一つは、奇襲以外での役割が何も無いなんてことはありえないじゃろ。
「誰じゃ。こんな巧妙に策を組んで妾を危険と見た人物は。妾の事を知っておるじゃろ」
ルーファスは空間からハイポーション2本を取り出しそれを飲み干した。
「15%で右腕一本ならまだマシな方じゃな」
ルーファスの右腕は焼け焦げていたのだ。
しかし籠手があるため側から見たらわからない。
激痛に耐え敵からはバレないようにする。
これが自爆魔法使いと呼ばれるルーファスの戦い方。
「なんじゃけど。一本取られたの。助っ人に行かんとまずそうじゃな」
ルーファスは急ぎ足で街へ入った。
そして少ししてマコトを見つけると、ルーファスは全力疾走になり、走りながら呟いた。
「アキレウスの盾よ!妾の元に顕現せよ!そして全ての攻撃を防ぎたまへ」
そういうとルーファスの籠手に盾が顕現した。
そして、マコトを襲う見覚えのある魔族の皿の一撃を完璧に防いだのだった。
「無事で何よりじゃ!すまんの遅れてしもうた」




