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36話 皿を使う魔族

「やっほーマコト無事だったようで良かった。早速ヒールしてヒール。戦ったから身体のあちこちが痛くてさ」

俺はシラメとアージの戦いが終わるのを、建物の陰に隠れて見ていたが、壮絶な戦いだった。


「ヒール」

シラメには隠れていることがバレていたようで、戦いが終わったあとすぐにこちらに向かって歩いて来た。


「マコトこれからどうする?ギルドに向かうけど、付いて来てよね」

「は!?ギルドに向かうって一体何をするんだ?俺たちみたいなのがいても邪魔になるだけだろ」

「マコトは盾にでもなればいいんじゃない?いつもそうだし」

「やりたくてやってねーわ!」


俺はシラメの自由っぷりに呆れつつも、シラメを説得しようとしたが聞く耳を持ってくれなかった。

そのため俺とシラメはギルドに向かって足を進めた。


「そういやメリーさんの足止め失敗したようだけど、ルーファス生きてるかな」

「生きてるでしょ。なんか強い道具いっぱい持ってるようだし」


ルーファスが現場持っている道具って、籠手と金槌、靴だけだよな。

鎧は修理中、マントは俺が持ってるし大丈夫だろうか。




ギルドに到着すると人だかりができており、その真ん中にフィーアの4人とテケと着物の魔族が向かい合っていた。


「アージ倒せたかい?」

「逃げられた。だが回復担当であろう奴は倒したから、奴らに回復する手段はポーションしかねーと思う」

「そうか。ならこの2人は倒さないとね」

「だな」


ピュートとアージは言葉を少し交わした後、飛び出す。

ピュートが、前でアージが後ろ。

その2人を赤色の光が囲む。

サラの魔法は2人のステータスを上昇させる魔法のようだ。


「くらえ!」

テケの攻撃をピュートが受け止める。


「アージ」

「おう!」

ピュートが盾で受け止めて抑え込んでいる間にアージが、テケを魔法の拳で攻撃する。


「ギュヌァ」

テケは悲鳴を上げ倒れた。

着物の魔族(今は白襦袢)がそれを確認すると、テケの前に立ち、皿を空間から取り出す。


「皿?」

「お姉さん今から料理でもするのかい?流石にそれで戦うってのはナメすぎだろ」

「そうかしら?こちとら解雇覚悟でやってんのよ!ふざけるわけないじゃないのよ!」


「ハッ」

着物の魔族は皿を二枚、後ろにいるサラとヒューラに向かい投げた。皿は高速で投げられるも一枚はピュートの盾に、もう一枚はアージが殴り落としていた。


しかし驚いたのはピュートとアージの方だった。

「皿が割れていないだと?」


そう盾に当たった方も、アージが殴り落した方も割れておらず、すぐに着物の魔族の手元に戻った。


「次!」

そう言ってまた二枚を後ろの2人を狙い投げるも、またピュートとアージが止める。

その皿も割れず、着物の魔族の手元に戻る。

そして再び皿を構えたところを、アージが奇襲した。


「オッラ!防戦一方な訳ないだろ!」

アージは加速からの殴り込みを着物の魔族の顔面に打ち込んでいた。


「ヌァアア!」

着物の魔族はなんの抵抗も無く、殴り飛ばされ建物の壁にぶつかり力無く倒れた。


「呆気なかったな」

アージはそう言って着物の魔族に近づいて行く。

ヨロヨロとだが着物の魔族は立ち上がり皿を構えて投げた。


「だから効かねーよ」

アージは二枚の皿を魔法で弾き飛ばした。

そのうちの一枚を何故かシラメが取りに行った。

もう一枚は着物の魔族の手元に戻ったが、一枚はシラメの手から戻ろうとするもシラメが握っているため、戻らない。


「マコト来て」

「うん?」


シラメにそう言われ、俺はシラメの元に歩いていく、その瞬間。


「は?」


俺の腹を切り裂くシラメの手刀。

血が溢れその場で倒れる俺を無視してシラメはその皿を俺の体の上に落した。


皿は一度俺の体の上に落ち、その後すぐに着物の魔族の手元に戻る。


「シラ..メェ。今はそんなことやってる場合じゃ」

「早くヒールして立ちなさい。見逃さないでよあいつの皿」

「ヒールヒールヒールヒール。クソッタレ。いい加減なことしてんなよおまえ!」


俺は自分の切り傷を回復して、立ち上がりシラメに文句を言うもシラメはこちらのことなんてどうでもいいといった感じで、着物の魔族だけを見ていた。


「やっぱり」

シラメはそう言って、俺にこう言った。


「あの皿さっきの皿と違うわよ。多分投げるたびに変わってる。現に今持ってる皿にはマコトの血がついていないもの」


シラメにそう言われ、俺は着物の魔族の皿を見る。

シラメの言う通り皿は真っ白で、血などついてはいなかった。

だがいつ交換したのかはわからない。

ただ血がついたから嫌だったなんて言う簡単な話では無いような気がする。


「まだ、負けてないカラァ!」

着物の魔族はそう言って、今度はアージに向けて、2枚の皿を投げる。

アージは詰まらなそうにそれを避けた。

そしてその皿は再び、着物の魔族の手元に戻る。

着物の魔族はそれを掴むと、一枚を空間に消した。

そして皿を一枚だけ持ち、今度は投げる事なく、アージの接近に受けて立つのだろうか。皿を構えてアージをジッと見ていた。


「ねえ、マコト。皿って今何回投げてた?」

「うん?ええと、最初の2枚、次に2枚、血を付けたやつともう一枚で2枚。最後がさっきの2枚だから8枚だな」

「そっか。今持っている皿で9枚。皿屋敷っていうお話を元にしてるかもと思ったけど、違うみたいね。それなら10枚目を失う事で能力が発動しそうだし、それで最後の一枚は壊れやすい接近戦ってなると辻褄が合うけど。9枚目が割れてもそれは変な話だから考え過ぎだったかな」


シラメの考察は素直に感心した。

皿屋敷か。だから着物で皿。それに仲間の連中が宿に来た時に菊って言ってた気がする。

あまり覚えてはいないが、皿屋敷のお化けの名前ってお菊だった気がする。

いやでもそれならシラメの考察は当たっていることになる。


9枚目が割れても......9枚目?

いや、違う。


「シラメ!あの皿は10枚目だ!ここに来る前に俺あいつに皿で攻撃されて」


「砕け散れ!爆連走ばくれんそう

アージの全力のパンチを着物の魔族が、皿で......10枚目の皿で受けていた。

そしてその皿は割れ、皿の破片が飛び散る中、俺は確かに見た。


着物の魔族の口元から笑みがこぼれるのを。


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