31話 オーク嫌い。オーク怖い。
「というわけでじゃ!妾の金が湯水の如く無くなってゆく。じゃからクエストやるぞ」
「わかったけど。ルーファスがシラメに金を出しているといつまでもなくなる一方だぞ」
「それもそうなんじゃが」
俺とルーファスとシラメは現在ギルドのフードコートで食事をしていた。
食事といってもシラメだけなのだが、俺は節約のために晩御飯しか食べないし、ルーファスも最近は俺と同じで晩御飯しか食べていない。
シラメのみが朝から食べているのは、シラメしかまともに戦える戦士がいないからだ。
「ってシラメは言ってるけどさ。俺とルーファスも結構頑張ってると思うんだがな」
「そうじゃ。じゃがいつも敵を倒すのはあやつなのじゃ。妾らを身代わりにしてトドメだけする。妾達立派にターゲット集めしていると思うんじゃがの」
ここ数日は魔族も来ないし、クエストして日々を過ごしていたのだが、俺とルーファスは毎回敵の気を引いてタゲ集めだけやらされている。
俺は回復役だからいいのだが、ルーファスは現在鎧がないので必死だ。
「ごちそうさま!さて今日もクエスト行くわよ!今日はこれ!」
シラメがクエスト用紙と久しぶりに敵のイラストの紙も出して来た。
「豚人間?」
俺の一言にルーファスは何を言っとるんじゃという顔をして、クエスト用紙を渡してきた。
【 クエスト】オーク5匹の討伐
【クリア条件】オークの魔石5つ納付
【失敗条件】3日以内に未達成
【失敗時罰】銀貨1枚
【報酬】銅貨5枚
【受注条件】冒険者ランクE以上
【オーク参照写真】
豚顔で緑色の肌、 口の脇に二本の牙が生えており、体つきもがっしりとしており、腹こそ出ているが胸筋がしっかりとあり強そうに見える。
それにこいつEランク以上って......
「は!?Eランク!?」
「そ、魔族撃退したから受けてもいいってチルちゃんが言ってくれたの。だからやるわよ!豚退治」
「オークって強いと思うぞ?本気の妾なら余裕じゃが、今の戦力で勝てるかの」
「負けたらなんで負けたのかを整理して、対策してもう一度挑むだけ簡単よ」
そうシラメが言った途端ルーファスの表情が曇った。
(一度負けてもう一度チャンスがあることは珍しいんじゃがな。冒険者の恐ろしさをわかっておらぬな)
俺はルーファスの呟きを聞き逃さなかった。
シラメには聞こえていないみたいだが、それもそうだと思った。
負けたらそれで最後。餌にされるなりなんなりされて終わり。
そんな事はありえない話ではない。
だからこそシラメがこういう自分の強さに見合っていないクエストを受けるのを止めるのも、リーダーである俺の務めか。
「シラメ落ち着け。勝てない可能性があるならやめるべきだ。冷静に考えたら魔族だってたまたま帰ったってだけで勝ってはいない。だからさ今回は」
「は?何言ってんの?行くわよ!ほら準備準備!」
シラメは立ち上がり、食器を返しにいった。
「ルーファス。全力でシラメを介護しよう」
「ああ。あやつは危険じゃ。自分の力を過信しておる。そろそろ痛い目を見るじゃろうな」
ルーファスはそう言って、席を立った。
俺は机に置かれたクエスト用紙を丸めて、袋に入れ立ち上がる。
袋は道具入れだ。アイテムボックスなるものがない以上仕方ない。
つーかアイテムボックスないとこんなにめんどくさいんだな。
ゲームとかってあまりそういうの気にしないのに、いざ自分がってなると道具収納してもらえるあのアイテムボックスってかなり必要だよな。
「じゃ出発!」
シラメについて俺とルーファスはギルドを出た。まあ生きて帰るなら最悪の場合は、ルーファスに背負ってもらって全力疾走してもらえばいいしない。
こいつ何かに当たらないと止まれないけど、その分その速度は異常だ。
そういう意味ではルーファスは役に立つよなぁ。
死と隣り合わせの戦い方になるが。
という心配は杞憂に終わった。
「ブッブォオオオオオオオオ」
目の前で全力疾走で走るオーク。それを追いかける悪魔ことシラメ。
「ちょ!待ちなさい!逃げんな!ブタァアア」
俺から剣を奪い取って、剣を持ちながら追いかけるシラメの姿にオーク達も最初は鼻で笑っていたのだ。
しかしシラメが鋭利化という硬化の上位スキルであろうスキルを使った途端、気が狂ったように逃げ出し始めた。
「なあルーファス。オークって強いん......だよな」
「そのはずなんじゃがのぉ」
ルーファスは頰をかきながらシラメの様子を見ている。
「ブッフォオオオオオオオオ」
え?
「マコト!止めなさい!」
「は?ちょおま」
何ということでしょう。俺の目の前に全力疾走で走るオークが正面から見えた。
正面からオークが見えるという事は、こちらに向かって走って来てるわけで。
「ブォオオオオオオオオ」
「無理無理無理無死ぬからぁあああああ」
全力疾走するオークを正面からぶつかる形になり、避けようするもシラメは追う方向を少し変えオークをこちらへ差しむける。
「あいつ俺に恨みでもあんのかよ!」
「ま、まあ頑張るのじゃ」
「るぅふぁあす!」
「ぬっふぁ」
「ブッフォ」
覚悟を決め俺はオークめがけて突進した。
まあ意味もなく弾き飛ばされ、数回転したのち木にぶつかった。
「いってぇ」
「なーいす!」
俺にぶつかったことにより、若干速度が落ちたオークの背後から剣を突き刺した。
斬るのではなく刺突だ。
シラメといえば刺突だとは思うが、剣を持っても刺突なんだな。
「ヒールヒールヒール」
俺は自分の身体を回復させ、シラメの元へむか......。
「ブッフォ!」
「あはははは。コンニチハ」
「ブッフォォオオオオオオオオオ」
「いやぁあああああああああああ」
立ち上がった途端木の後ろから豚顔の化け物が現れた。オークだ。
オークは俺の顔見ると、表情は読めないが餌を見つけたとばかりに吐息を吐き襲って来た。
「ルーファス助けて無理だァアアアアアアア」
「ブッフォォオオオオオオオオオ」
俺は全力で走るもオークに捕まってしまった。
オークは俺の体を抱きしめ、グングンと力を入れていく。
「ぐがああああああああああああ、あれ?」
「ブヒヒヒ」
やべえこいつ変だ。殺すならもっと他に直ぐに殺す方法はあるのに何で抱きしめるなんて回りくどい.....。情熱的なハグをするんですか!痛くないんですけど。痛いほうがいいわ!
マゾとかいうわけではなくて、なんか気持ち悪いだろ痛くないってのは。
オークは俺の顔を見ると、妖艶な笑みを浮かべて、その分厚い手で俺の頰をぬるりと触れる。
俺の背筋にゾッと寒気が走る。
オークはそのままその手を俺の身体をなぞるように、走らせ、俺の股間に触れた。
「ブッフォ」
オークはその瞬間今までで一番の声をあげる。
オークは続けて、その分厚いぷるりとした唇をドンドンと俺の口に近づけて来る。
オークの表情はこの先に待っている快楽を、早く楽しみたいといわんばかりに緑の肌が赤く染まっていた。
やっべぇ!!!!!!!!!!!!!
俺は必死に顔を逸らしてシラメを見た。
「ええと、マコト......助けたほうがいい?」
「当たり前だ!早く!こいつ多分俺の貞操狙ってる!無理無理無理!はやく!シラメ様ァアアアアアアア」
「モテモテね」
「いいから助けて!」
「はいはい」
シラメは剣を構えて突進した。それが突き刺さったオークは俺を離して膝をつく。
そのオークは悲しそうな目で俺を見る。
俺は首をブンブンと振った。
するとオークは正座をして、首を前に下げた。
「いい覚悟ね」
シラメはそう言うとオークの首を落とした。
「マコトに振られたから処刑を受け入れたのじゃな。モテる男は辛いのお」
「言っとくぞ。オークにモテても嬉しくねーからな。あとめっちゃ怖かった。もう俺オークと戦いたくないから。絶対嫌だから!」
俺は念のためヒールを使って身体を癒した。
「まあ雌のオークは繁殖期に入ると、男の冒険者はオーク討伐をあまりやらなくなるからのぉ。クエストが結構受けやすいんじゃ」
「オークって以外と男好きなのかな?」
シラメはそういうとルーファスがその問いに答えた。
「それは精力が増して発散できとらん雄のオークじゃな。それも極稀じゃよ。何故なら人にやる前に雌のオークが奪いよるからのぉ」
「まだ2体よ!あと3体早く倒すわよ!」
「オーク。怖い。泣きそう」
俺の心は壊れかけていた。
本当に怖かった。あのエゲツネェ顔からキスを迫られ、あのゴツゴツの手で股間を撫でられるなんて最悪すぎる。
「もう、私が助けてあげるから!ほら行くわよ!」
シラメにそう言われるも俺はルーファスから、マントを剥ぎ取った。
「な、何をするんじゃ!」
「すまん。今回だけは許してくれ、俺の精神上よろしくない」
「はぁ。仕方ないの。フードを被って魔力を注げば透化できるぞ」
「助かる......って魔力を流すって何!?」
「魔力を流すとはそのままの意味じゃが?」
あーそうかこの世界の人からすれば、普通の事なのか。
地球から来た俺としてはわからない事だな。
ヒールを使う感覚でいいのだろうか。
俺はフードを被ってヒールを使った。
ヒールが発動した。
「だよなぁ。魔力を流すってなんだ?」
「ヒールは魔法じゃ魔法の元になるものそれが魔力なんじゃが。仕方ないの。妾が流してやる」
ルーファスはそう言って俺の羽織るマントに触れた。
すると俺としては何も変化を感じないが、少し動いてルーファスの後ろに回り込んだが、ルーファスは先程まで俺がいた場所に向いて話しているので、透明になれたと言う事だ。
このマント有能すぎる。
俺は透明になれたことを利用して、シラメから逃げるオークのの足に俺の足を引っ掛けて転かしたりして、シラメのサポートをした。
まあ足をかける度に俺の足は変な方向に曲がるので、ヒール必須案件になるのだが、苦痛は耐えられるし案外役に立っていたと思う。
まあでもだからといって、オークの雌とは二度と戦いたくない。
そんなこんなでオークを5匹倒して、魔石にして報告に行く帰り道で俺はその人と出会った。
「さて!行くわよ!みんな準備はいい?」
「うん!」
「ええ」
「いいよ」
「それじゃ!街を滅ぼしましょう」
それは以前俺の部屋に訪れた3人。メリー、テケ、クチ。それともう1人知らない着物の人が街の前に立っており物騒な事を言っていた




