30話 作戦会議
「はぁ。疲れたぁ」
「お疲れー」
俺は部屋に戻り開口一番がそれだった。
先程までフィーアの4人から質問攻めにあい、今しがたやっと解放されたのだ。
「こっちは何とか塞げたわよ」
シラメはそう言いながら部屋の壁を指差す。ルーファスとクチの戦いで空いた穴をシラメが塞いでくれていたのだ。部屋の壁には板が張られており簡易的だがこれでひとまずは安心できる。
宿の人の話では数日中には修理を呼んでくれるそうだ。
魔族の被害にあったということで、弁償とかも無く俺は安心した。
「ルーファスは?」
「途中までやってもらってたんだけど、疲れたらしくてやめて寝てるわ」
シラメがベッドを指差すと、布団が少し膨らんでいた。
「へぇ。んでどのくらいルーファスがやったんだ?」
「向こうの壁とこっちの壁の半分くらいかな。もう少しで全部だったんだけどね」
シラメに感心した俺を返してくれ。
ほとんどルーファスにやってもらってるじゃねーか。
「んで、フィーアの人達は何の用だった?」
「あー。なんか今回攻めてきた魔族について詳しく聞かせろってさ。なんでも信用を取り戻すために次は勝たなければならないんだって」
「ん?負けたの?」
「だよなぁ。よくわからないんだけどさ。神妙な面持ちだったから話してきたけど、それに魔族を倒してくれるなら俺達としても安心できるしな」
シラメはふーんと興味なさそうに、立ち上がった。そのままルーファスの寝ているベッドまで行きルーファスを叩き起こす。
「な、なんじゃっ!?」
「風呂入ってから寝なさい」
ルーファスはシラメに引きずられながら、部屋を出て行った。
俺もシラメの後について行き、銭湯に行った。
その日はそのまま晩御飯を食べて、眠った。
ちなみにだが、晩御飯も銭湯もルーファスの金だ。
悪いとは思ってるんだけど。金ないし。金......ないし。
ーーーーーー
「で、あんた達どういう事って聞いてるの?」
机に肘をつき、機嫌悪そうにしている着物を着ている女性を前に2人の女の子は震えていた。
「ち、違うの。人間達に恐怖を与えようとしたのよ!本当よ!途中まではうまくいっていたもの」
女の子の内の1人。金髪の少女が答える。
その声は震えており、言い訳のようにも感じる。
「そうだよ。私達は魔族のためになると思って」
もう1人の女の子も次いで答えた。
この子は下半身がない上半身だけの女の子だ。
セーラー服という服を着ており、黒髪のショートカットでいつもは金髪の女の子の子守的な事をしている。
「はぁ。メリーにテケ!あんた達魔族のため魔族のためって!負けてたら魔族の面汚しなのよ!わからないの!」
着物の女性が机を叩き割る。
その光景を見た女の子2人。メリーとテケはビクッとして後退りをする。
2人は私に助けを求めるように視線を送ってくるが、私は目を逸らす。
(菊を怒らせたのは貴方達。私は関係ないわ)
(酷いわ!クチ!貴方も一緒にいたのだから同罪でしよ!)
(メリー勘違いしているわ。私はメリーとテケを連れ戻しに行ったのよ?そこでたまたま戦うことになってしまっただけ)
(くぅ。メリーちゃん。クチはこういう人だからクチに頼るのはやめよう)
「何をコソコソと話しているの!クチもクチよ!どうしてもっと早く2人がいない事に気がつかなかったの!」
今度は私の方に飛び火した。
これは困った。
しかし私はこれの返し言葉を持っている。
「それは、幽霊支部全員の現在位置の把握は流石に無理があるかと」
「幽霊支部全員の把握ってねぇ......。今幽霊支部は絶賛4名しかいないわよ!」
幽霊支部の部長である菊は机に突っ伏して、ワンワンと泣き始めた。
「どうじでよぉ〜がんばっでるのにぃ〜だれもぎでぐれないのぉ〜」
まあそれは色々理由があるのだけれど、一番の理由として私が思うのは。
面子が濃すぎるからなのだと思う。
まずはメリー。
スキル 【 近づく者 】というオリジナルのスキル持ちなのだが、そのスキルの使い勝手が悪い上、その他はサポート系のスキルしか所持しておらず別の支部の人からは、変なやつと言われている。
次にテケ。
もうその見た目が魔族の中でも異質。
下半身がないなんて魔族でも滅多にいない。下手物系の連中も引くほどだった。
あの魔族でトップクラスの変な身体のキマイラでも、流石に体を取るのはどうかと思うって言っていた。
次に私クチ......まあ私は普通だから飛ばすとして。
最後に支部長の方お菊。
残念系支部長として有名なのだ。
この人戦闘スキルや戦闘サポートは優秀なのだが、職員がどんどんどんどん退職してしまう。
その退職した職員に私がこっそり聞いた退職理由だが、次のようなものが多かった。
元職員RPBPさんより頂いた。
【 人を滅ぼすと言いながら人の姿をしている。魔族の中にも人の姿をしているものはいるが、ツノが生えていたり、牙があったり何かしらあるものだが、人にしか見えない】
元職員THさんより頂いた。
【 優しいけど怖い。飴と鞭の使い方が上手いと思います】
「では何故やめるの?」
【 酒を飲んだ時に絡んでくるのが苦手です】
と言った感想だった。
この内容は菊には見せていないが、見せたら失神するか数日間引きこもるだろう。
「次は私も行くわ!魔族の真価見せてやろうじゃない!」
「はぁ。まあいいですけど。変に意気込んで失敗しても知りませんよ」
「失敗なんてないわ。私この戦いが終わったら魔王様にもっと人員を増やしてもらうように言ってみるわ!そうしたらもっともっといい職場になると思うの!だから勝ちましょ!私達みんなで」
(なんでしょうか。負ける気がします)
(負けちゃう気がする)
(負けないかなこれ)
「何!なんか文句ある!」
「いえ、頑張りましょうみんなで」
「ええ」
「打倒人間!えいえいおー!」
きっとこういうところも職員が去って行く理由なんだろうなと思いつつも、微笑ましく見ている辺り私には丁度いいリーダーなのでしょうね。
「頑張りましょう」




