29話 魔族についての報告
「で、護衛についてたSランク4人がまんまと敵にしてやられたと?」
俺がシャニィさんに魔族というか幽霊?というか何となく、怪談として知っているあいつらの襲来を方向に行くと、机の前で4人が立たされていた。
そしてその4人を威圧するようにシャニィさんが腕を組んでいる。
「ご、ごめんなさい。という奇襲されまして」
「ええと、奇襲されたというか巻き込まれた形ね」
「俺はサラを助けようとして倒されたんです」
「私は。アージを助けた。からやられた。」
言い訳をするように何かを言っているのは、フィーア・ドラゴンズの面々で、何かに失敗したのだということがわかった。
「そう。それじゃ見事にSランク冒険者の信頼を落としたわけか。まあ今回は隠密にやってるからいいけど。これが表立って行われたものだったら失敗は許されないのだぞ?それは理解しているな」
「はい」
ピュートが答えるとシャニィさんはため息をついて、もう行ってもいいと言った。
フィーアの4人はトボトボと踵を返して、帰ろうとしてやっと俺と目が合った。
「あ。マコト」
アージは手を上げて挨拶をしてきた。俺は軽い会釈を返した。
バツが悪いといった印象を受けた。
チャラ男のイメージを持っていたため、その様子のアージは珍しく感じた。
「ええと、とりあえず報告です。魔族に襲われたのですがいちおう皆無事です」
俺が報告すると5人が安堵をしたのがわかった。
「そうか。安心した。ということだそうだ!お前達この街に助っ人に来たんだろ?しっかりと働いてくれないか」
「はい」
ピュートはそう答えると部屋を出て行く。
それに続いてサラも出て行く。
アージも出て行き、ヒューラさんも出て行く。
(今回は助かったわ。生きててくれて)
ヒューラさんが耳元でそう囁いて、出て行った。
耳元で囁かれるのはむず痒い。
そして生きてる事で何故ヒューラさんが助かるのかわからない。
遊ぶ男が残ってるからか?
「まあ掛けてくれ」
そう言われ俺は椅子に腰をかける。
「さて、まずは無事で何よりだ。それでだ敵の情報をくれないか。こちらも街の近くにいる魔族を放置はできないのだ」
「わかりました」
そこで俺はメリー、テケ、クチのわかる限りのスキルと、スキルの予想。これに関しては学校で読んだ怪談などの内容になるのだがそれを伝えた。
あとは敵の戦闘能力、シラメとの戦いとルーファスとの戦い。
シラメはある程度は魔族とでも戦えること。ルーファスは魔法使いのくせに、やはり殴り合いをしていたことを話した。
「情報ありがとう。こちらでも調査は続けるつもりだが、向こうから攻めてこられたら対策のしようもないな。空間を抜けてこれるのか」
メリーさんの話だろう。
メリーさんが登場する時、確かに何もない空間から這い出るように出てきた。
あれは怖かった。
「でもそれには条件があると思います」
「条件?」
「はい。例の手紙です。あの手紙を出した先に強制的に転移するというスキルではないかと予想しています」
というよりメリーさんシラメに捕まった時そんな事を言っていたしな。
「なるほど。スキルによる転移であり一度発動させると本人でも解除できないのだとすれば、かなり向こうさんも使いにくいスキルだろう。それに今回撃退といっても過言ではないだろうから。少しの間は落ち着くと見ていいだろうな」
「はい。予想ですけどね。俺としてはこのまま引いてもらいたいんだけど、幽霊支部だっけか。なんかそんな連中だった」
「なに!?支部所属だと!?」
シャニィさんは机を叩いて立ち上がり、詰め寄って来た。
「え、ええ。幽霊支部所属って言っていた気がします」
(そうか。チッ面倒な事を持ち込みやがって)
「え?」
一瞬シャニィさんの表情がヤンキーみたいになったので、少し怖かった。
それにしても幽霊支部だとやっかいなのだろうか。
まああんな連中やっかい以外の何者でもないだろうけど。
「いちおう説明しておくとな。支部ってのは魔王軍の幹部組織のようなものだ。いくつもある支部の支部長に立つ存在が魔王軍幹部の1人だ。つまり支部が関わっているということは間接的に魔王の勢力の一つと戦うことになる」
「マジか。支部って幹部組織のことだったのか。え、でもそんなに強そうでは......無かったと思います。というよりアホな連中のように思えました」
「それはまあこんな辺境の地に送り込まれてる時点で、幹部の中でも然程権力は持っていい奴が率いていると見ても良いだろうな」
シャニィさんはそう言って、机の引き出しから一枚の紙を取り出した。
その紙を見ると、大陸絵図のようなものが描かれていた。
「私達のいる街はここだ」
シャニィさんが指をさした所は地図の端の方にある場所だった。
ああ。これはこの世界の地図か。
「そしてここが王都だ」
結構離れてるな。
「ピュート達はそんなところから来たんですね」
「助っ人としてな......。助っ人として」
「え?ああ。はい」
「それでここだ。ここの裏にあるとされている世界が魔界だ」
そう言って指差した場所は、この大陸の端の端にある場所だった。
つまりこの街は魔界からしてみれば、もっとも遠い所になる。
「なるほど、だから弱い魔族が送り込まれたわけですね」
「まあそうなるな。ただいくら相手が弱くてもやり方次第では格上でも倒せる。だからこそ気をつけてくれ。警戒は怠るな」
「わかりました」
俺はそう言って帰ろうとしたが、少し気になったので聞いてみた。
「魔族に詳しいですね?元魔族だったりします?」
「突然なにを言いだすんだ。私の秘密はその..アレだけだ」
アレというのはあの荒々しいやつのことだろうな。
「ですよね。最近周りに来る奴らが問題ばかり持ってるので、少しそんな気もしてしまったんですよ」
「まあでも割と近い所にいるかもしれんな。元魔王軍に所属していた人間は」
「はぁ。嫌ですねそれは。ルーファスとかだったらなんとなくわかるんですけど。あいつ変だし」
黒山羊呼んだり、神速で動ける靴持っていたり、透明になれるフード持っていたりと怪しいのはルーファスだわな。まああいつが魔王軍にいるのは想像できないが。
「ふははは。ルーファスはないない!あの馬鹿は昔からあんなだよ」
「あーそっか。2人は王都からの知り合いでしたね」
「ああ。そうだ。まあいずれ分かるかもな。元魔王軍に所属していたのは誰か」
「わかりたくないですけど。味方なら心強いですね」
「そうだな....ほんとに。心強いと思っていたんだがな」
シャニィさんはため息をついた。
「とりあえず、馬鹿どもギルドでクエスト偉ぶって言ってたんで、行きますね」
「ああ。話せて良かったよ」
俺はそう言って部屋を出た。
部屋を出るとそこには、フィーア・ドラゴンズの4人が立っていた。
「マコト。魔族のやつらのスキル教えろ」
俺はアージにそう言われて、ギルドのフードコートに連れていかれた。




