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2話 街までの道のり


俺は動かないまま、その場所に待っていた。

下手に動いてすれ違ったら最悪だ。

あの女の帰りを待つしかない。

動かないというより、動けないっていうのが正直なところ。身体の節々が痛いのだ。


ああ死にそうだ。

頭がいてぇ。腹がいてぇ。


吐き気は今はしない。


「何も腹の中になくなったってか?つーかクセェ。俺の嘔吐物が臭い。無理だ少しだけ動こうか」

俺は這って、あまり臭いのしないところまで行き、木にもたれかかるようにして、その人物が来るのを待った。


「ご、ごめ......ん。死にかけたね」

怒鳴りつけてやろうと思っていたのだが、女もまた、俺と同じような状態だった。地面を這い蹲りながら、必死にこちらへ進んで来ていた。

女の表情からは先程までの、アホのような笑顔は消えていた。

そして俺の出した物を見た途端。


「あ、ぁぁ。本当に......ごめ...んね」

女はそう言って気を失った。


俺はというと頭痛も無くなり、腹痛もない。平常運転に戻っていた。


なるほど。再び近づけば呪いは解除されるわけだな。


最悪の展開は免れた。この女が先程までいた場所に戻ってくるという思考回路をしていてよかった。

戻って来なければ終わっていたな。


「それにしてもここは臭いし。移動するか」

俺は女を背負い、足を進めた。

一人で移動出来ないというのは辛いな。




重い。重い。重い。




え?リアルの女って重たくね?

アニメとかで平気でおんぶしてるイケメンとか主人公ってなんなの?毎日鍛えてるの?

つーかこいつのせいで腹の中空になったのもあり、体力も底をつきかけている。

あの神様は街まで数日かかかを、言ってくれなかったし、何日も歩く場合は一度どこかで休みたい。


「はぁ。引きずりたいなぁ」

俺の口から漏れた声だった。


ええ!?俺いま何考えてた?

い、いやでも。別に俺はこいつがいればいいだけだし、死にかけてても問題ないんじゃ。


ほら髪の毛長いし束ねればさ。


ね?持ち手に......。


そういえば、魔法欄にあったヒールって回復の事だよな。

起きる前にヒール使えばバレない......よな。


ああでも服汚れていたらバレるか。


脱がして、裸で引きずる?

この女の服装は、白色のワンピースだ。引きずって汚れたらすぐにバレる。


「うーん。流石に無いな」


さっすがに人権問題だわ!人間として終わるよ。


ヤッベェさっきコイツのアホな行動のせいで呪いを受けたから、思考が完全にコイツへの復讐に染まってるなあ。

そもそもこんな世界に来ることになった第1の原因がコイツなんだけどね。



そうだよ。裸で引きずられないだけマシだと思ってください。



「ね?」
















「ヒール」

傷はみるみるうちに回復した。

色々と絵面としてはマズかったとは思うが、無事に街には来れた。

まあ見事に女の服はドロドロだ。

森からから30分ほどしか歩いていないし、服が破れるまではいかなくて助かった。

以外に街まで近かったんだな。


女に汚れについて聞かれたら、あの呪いの時に汚れたということにしておけばいいだろう。


「気晴らしは済んだかしら?」


「ああ済んだも済んだよ!遠回りして引きずり回したからなあ〜いやぁ爽快だ......よ」

街が案外近かったため、少しだけ遠回りしたのは内緒だ。


...

......


女は笑顔で指をゴキゴキ鳴らしていた。


「そう〜それはよかったわ、ね!」


気絶していたはずの女だが、どうやら少し前から目を覚ましていたらしい。

マズイ展開だね。


「待っヌガッ」

俺が制止するも問答無用で、俺の鳩尾を抉るように殴りやがった。

立っていることができず、膝から崩れ落ちた俺を上から見下ろす女はニヤニヤと笑っていた。


「私の名前覚えられてないようだから、自己紹介するわね。私の名前は、あずま 調芽しらめよろしくね。マコト君。次はないから......ね」

俺は胸ぐらを掴まれ、脅された。


屈しない。この女には屈しない!


「こちらこそよろしくだな。シラメさんよ。綺麗な地面滑りだったぜ」

俺は女の額に自分の額を付けて言い返した。


「ええ、楽しみね。うふふふふふ」

「ふふふふ」

街の入り口でそんな会話をしている俺たちを、街の人たちが変な物を見る目で見ていた。

明日は7時と19時に投稿します。

よろしくお願いします。

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