27話 シラメ対メリーさん
「私メリー。今あなたの後ろにいるわ」
俺もルーファスから見えるそれは、シラメの後ろの空間から這い出すように出て来ていた。
「ね、ねえ。なんか声聞こえなかった?」
シラメが俺たちにそう聞いてくるが、俺もルーファスも唖然とするあまり何も返事を返せなかった。
怖ェ。空間から這い出てくるってマジで怖ぇ。
「し、し、し、し、し」
ルーファスは先程からあまりの恐ろしさに、「し」の音のみを口から吐き出す機械のようになっていた。
(シラメぇ!後ろじゃ!後ろ!)
ルーファスが何を言いたいのか何となくわかった気がする。
「え、ええと、一つ聞いていい?私の後ろに......いる?」
シラメのその質問に俺とルーファスは首を縦に振った。
「にぃやぁあああああああああああああ」
シラメは悲鳴をあげ部屋の奥まで......俺たちの真横を通り過ぎて走ってきた。
そしてシラメの後ろ。つまり現在の俺とルーファスの間にその子はいるわけで。
「な、な、な、な、な、な、な」
ルーファスは真横にいるメリーさんを見て、口をあんぐりと開けたまま、「な」を言うだけになっていた。
「お姉さん。さようなら」
メリーさんはそう言うと、手を鋭く尖らせる。
「え?」
俺はその光景を見て、違和感を感じてしまった。
だってこの子ったら呪い殺すとかではなく、手を硬化させたんですよ?
そして手を後ろに引き、勢いよくシラメの腹に突き刺した。
この世界にいる連中はその攻撃好きですね。
俺は今まであった恐怖が何故か己の感覚から無くなっていることに気が付いた。
ああ。後ろから人を刺すっていう光景に慣れるって何なのだろう。
「イッタァイナァ!」
ですよね。暴力的に来たらシラメさんはいつものシラメさんになりますよね。
「ふふふ。お姉さん昨日は楽しかったわ。でも騙すのはいけないことよ。本当なら呪い殺してあげるつもりだったのにできなくなったじゃない。だからお姉さんは痛い目に合って苦しみながら死ぬの。さよお......なっ!何で!ぬけ、ない!カタッい!」
突然メリーさんの表情が変化し言葉も焦り気味になった。
メリーさんはシラメの身体から手を引き抜こうとするも、手が抜けないようだった。
見てみればシラメの身体から血は流れておらず、というか刺された瞬間は出ていたであろう血が固まっていた。
「お姉さん刺された部位を硬化したの!?」
「そりゃあね。つーかそんな肉体的な攻撃をするなんて愚かね」
シラメはそう言いながら後ろを振り返った。
するとシラメの顔は愉悦に歪み、悪役と言われても言い訳が出来ないような顔になっていた。
「ありえない!痛くないの!?」
「痛いから何?こちとらもう飛び降りた時点でクソ痛かったっつーの!それ以下は耐えられるわ!」
「ハァ!?意味わかんない!」
「さて、いいのかなぁ?私にそんな隙だらけの状態で戦っても?」
シラメは両腕を硬化すると、真後ろにいるメリーさんに向け突き刺した。
メリーさんはすんでのところで顔を傾けて避けると、シラメの身体に足をつけ足で思いっきりシラメを押し、手を抜こうとするも手が抜けることはなかった。
「いやァアアアアアアア!そこの2人助けてよ!ごめんなさい!私のスキル使っちゃったら強制的に手紙送った人のところに飛ばされちゃうんだもん!来たくなかったもん!関わりたくなかったのに!勝手に飛ばされたんだもん!」
「ええ」
それを聞いたからと言って、俺は助ける気にはならないがただただシラメには送っちゃダメだったなあと哀れに思う。
「お姉さんと遊びましょ」
「いやァアアアアアアア」
シラメに捕まったメリーさんは、シラメの身体から手を抜かれ、シラメに抱きしめられ、もう色々と酷いことになっていた。
「可愛い〜もう好きー!こんな人形みたいな女の子可愛いに決まってる。結婚してもいいかな。あーでも娘の方が......」
「ロリコン!離して!ねぇ!助けておかしいよこの人」
メリーさんがシラメを何度も殴ったり蹴ったりするが、シラメはそのことごとくを避けていたその結果俺たちに助けを求めるという始末。
「うわ〜ひでぇなぁ」
「マコト。シラメは......頭がおかしいのか?」
「前からだ。気にするな」
「そ、そうか」
コンコン
「入るよ〜メリーちゃーん。終わったー?死体の後処理するねー」
ドアをノックする音が聞こえたので、誰か来たので出ようとしたのだが、それよりも早く女の子の声が聞こえて部屋のドアノブが捻られた。
「おっじゃまー......え。」
「え」
「なっ!?」
俺とルーファスは新たな来訪者を見て、唖然とする。
「助けて!テケちゃん!」
メリーさんは来訪者に助けを求めるように、手を伸ばす。
「可愛い......けど」
シラメはその来訪者の顔を見て可愛いと思ったが、その身体を見てガッカリしていた。
「何なんです。コレ。終わってない.....どころか。負けてるじゃないかー!」
部屋に入って来たのはショートカットの黒髪女の子。体はセーラー服を着た上半身のみで、下半身がなかった。その子は部屋の有様を見てそう叫んだ。




