23話 メリーさん襲来前日
「さて、今日もクエスト行くぞ」
俺の声に2人は返事をしない。
1人は俺の隣でぐっすりと眠り続けるルーファス。
ルーファスはシラメと同じベッドは嫌だというから、仕方なく同じベッドで寝ることにした。
そしてもう1人。シラメはというとメリーさんからの手紙が来るんじゃなかろうかと、昨日も夜遅くまで眠れなかったのだろう。
ただいまぐっすりと眠ってらっしゃる。
「なら俺も寝るか」
どうせルーファスが銀貨数枚なら持ってるので、まあ大丈夫か。
寝起きの睡魔ほど恐ろしいものはない。
気を抜けばすぐに意識を持っていかれる。
俺はその日二度寝をした。
「起きて!起きてってば!見てこれ!ほら!」
寝ている俺を呼ぶ声と、お腹辺りにくる衝撃から、誰かが俺を起こしているのだとわかった。
俺は重い瞼を開けると、眼前にシラメの顔があった。
「あ、起きた!ねえ見てこれ」
俺は眼を少し開き、シラメが押し付けて来たものを見る。
そこには
ーー
私メリー。
今あなたの宿の前にいるわ。
ーー
「近づいて来たか」
俺はまだ疲れが取れ切っていない身体を起こし、ベッドの脇に座った。
「あああもう!鬱陶しいっ!イライラするわストレスで禿げるわ!」
シラメは精神的にきているのだろう。言動や行動がより一層変になった。
「落ち着けって、それでルーファスは?」
俺のベッドにいたはずのルーファスがいない事を確認して、俺はシラメにそれを訪ねた。
「ギルマスの所に報告に行かせたわ」
「そうか。んでどうするんだ?流石にここまでターゲットにされると考えなくてはならないだろうけど」
「うーん。私の攻撃が通ればいいんだけど、そこが微妙なんよね。幽霊って打撃効かないイメージあるじゃん?」
シラメのいうイメージはなんとなくだが理解できる。透けてるしな。
メリーさんって幽霊なんだっけ?
「ちなみにその手紙はどこにあったんだ?」
「え、えと。私の布団の中。メリークリスマス的な?」
うん笑えなーい。というかターゲットがシラメでしたね。よかったぁ!俺やルーファスもまとめてターゲットになってなくて。
家の前だったら紛らわしいから、布団にしてくれたのかな?ありがとうメリーさ.....
「え?布団の中?」
「そう。布団の中」
「入ってきてるじゃねーか!」
「そうよ!入ってきてるのよ!」
「これで確定だな。敵さんは俺達が怯える事で発生する何かしらのエネルギーを、欲しているという事だ」
「いやいやマコト!冷静に考えてる暇ないから!いつでも殺せるわよ?糞してる時でもって事じゃん!」
糞って何言ってんだ。女の子だろうに。
なんかシラメが間違いを指摘しているのは、珍しくて面白いな。と思いながらも内心こえぇと思う俺であった。
ーーーーーー
次の日
ーー
私メリー。
今あなたの部屋の前にいるわ。
ーー
「うーん。この手紙を見ると犯行は明日だな」
俺はシラメから渡された手紙を見て、シラメもわかっているだろうが明日だろうと確認した。
「そうね。明日...明日なのね」
表情が消え失せたシラメからは、恐ろしさを感じない。
普通の女性に見える。
「なんじゃ、本当に怖いんじゃな。妾には分からんが手伝える事があるならなんでも言ってくれ」
ルーファスは悪手を踏んだ。
なんでも手伝うなんて絶対に言ってはならない言葉だ。
ほらシラメさんの顔が見る見るうちに、回復している。
「何でも?」
「な、何でもじゃ」
「わかったわ。なら」
シラメはそう言うと、ルーファスの耳元で何かを囁いた。
「なんじゃ?それだけで良いのか?」
「ええ」
ニヤニヤとし始めたシラメの顔から何かしらの策が閃いたのだろう。
「ルーファスなんて言われた?」
「ええとじゃな。妾にう」
「はーい黙秘権!」
シラメはそう言ってルーファスの口を手で押さえつけ、ルーファスの発言を止めた。
「な、何をするのじゃ」
ルーファスはシラメの手を無理矢理引き剥がしてた。
シラメはルーファスと俺にこう得意げに言った。
「ほらアニメとかでもさ、裏の手って言わない方が確定演出っぽくない?言っちゃうとなんか負けそうって雰囲気でるじゃん?」
シラメの言いたいことはわかるが、その作戦を俺は知らないんだが、良いのか?
アニメだってアレ絶対仲間には話通しているはずだぞ?
「アニメとやらは知らんが、言うなと言うことじゃな。理解した。妾的には部屋の中にいる可能性があるからじゃと思ったのじゃけどな。ハハハ」
「・・・。」
「あ......」
俺とシラメはその事をすっかり忘れていた。だからルーファスにそう言われて、改めて声に出して言わなくてよかったと思った。
「そ、そう言う意味もあるわよ!当たり前じゃん!」
シラメはそう言って、ベッドにダイヴした。
つーかメリーさん。早くきてくれてなんとかしてくれないと、シラメはクエスト行こうとしないしさ。ルーファスが金を払ってくれているけど、金無くなるってルーファスも言ってるし、早くきてくれませんかね。
「ベッドの下とかに隠れとったら面白いんじゃがの」
ルーファスは笑いながらベッドの下を覗いた。
よくやるなもし本当にそこに居たらどうしようとか思って、俺なら絶対しない。
それに今はルーファスは鎧を修理に出しており、防御力は格段に下がっているのだから行動は注意してやるべきだろうとは思うのだ。
「何もおらんじゃ......うっ」
ルーファスの言葉が途中で止まったので、俺はルーファスを見るとルーファスの口を白い手が先程シラメが言葉を止めたように塞いでいた。
何か......いるじゃねぇか。




