21話 うちにも来た!?魔族の気配
「集合!」
俺は部屋でゴロゴロしているシラメとルーファスを、机まで来るように言った。
「何よ」
「なんじゃいったい」
2人はだらだらとしながら歩いて来る。
この2人は分かっていない。現状俺たちが最も問題視すべきは魔族ではなく......
「金がない」
と言うことだ。
「昨日コボルト倒したばかりじゃん。なんでもうなくなるのよ」
「使ったからだ。服代と晩御飯代、宿代と毎日金はかかる。つまり毎日1クエストじゃダメだと思う」
「面倒ね。それにマコトは見てるだけじゃん。回復役って楽よねー」
シラメに言われて俺は湧き上がる怒りを抑えて、冷静に返す。
「俺が楽したことなんてないからな?ゴブリンと殴り合ったり、コボルトに追いかけ回されたり、コボルトナイトに斬り殺されかけたり。回復役とはっていうレベルで働いてるからな?」
「下手なだけじゃん」
「元々普通の人だったんだから当たり前だ!シラメが変なんだからな」
俺とシラメはいつものように言い合い、まあこれは毎度やってるからいいとして、問題はもう1人の方。コイツは何故か金をたらふく持っており、シラメに奢ったりMPポーションを持っていたりと、行動が金を持っているやつの動き方だ。
つまりルーファスから少し金を分けてもらえれば、少しは楽になる。
「ルーファス。鎧はどうした?」
はずなんだ。だがおかしいんだ。あの穴の空いた鎧を装備していない。
部屋でも関係なく装備していたルーファスが、グレーのスウェットを着ているのだ。
「まさか修理に出したんじゃ......」
「そのまさかじゃが?問題あるかの?」
「いくらかかった?」
「それがのぉ。100金貨かかるゆうのでな。仕方なく払ってやったわ!妾の所持金がもう銀貨6枚じゃ!ぬははははは」
俺は無言でこの馬鹿の頭を殴った。
俺の金じゃない。だから自由だ。
でもさ、パーティーになって他のメンバーが困っている時にそんな金の使い方......いやいいんだけど!なんかイラつく!
「何するんじゃ!」
「金は大切にしろ!」
「鎧を貫かれなければ、そんな使い方せんわ!」
それを聞いていたシラメが面倒くさそうに、立ち上がり部屋を出て行こうとする。
俺はそのシラメの手を掴む。
「何よ」
「絶対に1キロ離れるなよ」
「あーなんかあったわねそんなの。忘れてたわ」
「この馬鹿は。呪いのこと忘れてどうすんだよ!死にかけたんだぞ。苦しかっただろ!忘れるな」
「あーはいはい。ちょっとご飯食べてくる」
「金は無いぞ」
「ルーファスから貰った」
は?と思い俺は隣のルーファスを見ると、ルーファスはビクビクとしながら、目を逸らした。
「あの女には逆らえぬのじゃ。そ、そうじゃ!あの女に妾の有用性を感じて貰っておけば、もうやられる心配はないじゃろ」
「あーそっか」
俺は無言でルーファスの頭を撫でた。
この子も苦労してるんだな。
「そんじゃーいってきまーす」
そう言って、シラメが部屋を出るとドアを閉めないで、開けたまま固まった。
「どうかしたのか?」
「なんか手紙?置いてあった。宛先私っぽい」
シラメは床に置いてある何かを手に取り、こちらに見せた。
それは白い便箋で、【シラメ様へ】と書かれていた。
「誰からだ?」
「わかんないけど、開けて見る」
シラメはそう言って、便箋を開け、中の紙を取り出してそれに目を通した。
するとみるみるうちにシラメの顔は青ざめていった。
「どうした?」
「ちょっとこれ見て」
シラメは震えながらその手紙を俺に渡した。
手紙を見るとそこには
ーー
わたしメリー。
今あなたの街の前にいるわ。
ーー
と書かれていた。




