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18話 毒女


「アージ!」

鎧を装備した男が床に血を流して倒れこむアージの元へ駆け寄った。

次いでフィーア・ドラゴンズの2人の女性も駆け寄る。


「ヒューラ頼む」

「まあ仕方ないわね。ポイズンヒール」


ヒューラと呼ばれた女性が倒れるアージに魔法をかける。


ヒューラさんの第1印象としては、スタイルがものすごくいいお姉さんだ。

紫色の髪はセミロングで、肩のあたりで右側だけ外はねしており、左側はそのまま流している。

ツリ目の黄色の瞳は獲物を狙う蛇の様だと感じた。

服装は黒のロングドレスを着ていて、胸元から、胸の上乳が覗いており何度もチラ見してしまう。


「ゲブァ」

魔法をかけられたアージの身体の傷が消えた。しかし紫色の煙が上がって、吐血した。

そして直ぐに鎧の男が紫色の液体を飲ませた。

そうすると煙は消え、アージが立ち上がる。


「死体蹴りは感心しないな。マジで死ぬかと思った。なぁ、普通のヒール使おうぜ?」

「嫌よ。何度も何度も重ね掛けしなくてはいけないもの」

「だからって仲間を毒状態にする回復役がいるか!」


なるほど。紫の煙は毒状態になっていから出ていたのか。吐血も毒の効果って感じか。

まあ何はともあれ生きていて良かったけど、そうなるとシラメが次は死ぬ番かな?


死ぬ番だよね!


「君、俺の仲間がすまなかった。仲間が突然あんな襲われ方したら怒るよね。申し訳ない」

なんと鎧の男がシラメに頭を下げた。

シラメはなんで謝られているのか、全く心当たりがなくSランクの冒険者に突然頭を下げられ困惑していた。


なんとも都合の良い勘違いの所為で、シラメが危機を脱してしまった。


「くそッ!」

俺の口から心の声が出ていた。


「無事かの?」

何事もないと分かった途端このガキは。


俺の隣に座るフードを被り、鎧を装備し手に金槌を持つ女の子。

ルーファスだ。

ルーファスはきっとフードの力で落ち着くまで隠れていたのだろう。そして落ち着いた途端シラメの方行くのは危険だからと俺の方へ来たんだろうな。


「無事じゃない。MP切れ。しんどいわ」

「ほれMPポーションじゃ」


そう言ってルーファスは青色のポーションを渡してくれた。

そういうところは気が効くのか。シラメ基準だと全てが優しく見えてしまうな。


「助かる」


俺はそれを飲んだ。うん?甘くないか?買う場所によって味が違うのかトロンゴさんに貰った時のポーションより甘かった。


俺とルーファスはカウンター前の連中に目を向ける。

ルーファスも「うわぁ何じゃろうか。関わりとおないのぉ」なんて呟いている。


「団長!こんな奴に頭下げる意味ないっすよ!」

「いや、これはチームのリーダーとしてするべき行為だ」

「うん。悪い事をしたのアージ。だからアージも謝る。」

「サラはいつも俺の事を敵にしたがるな!」

「嫌いだから。」

「なんだと!」


サラと呼ばれていた赤髪の女の子。

長い髪は腰辺りまであり、自然に流れている。服装は魔女といえばコレ感がある、黒い先が尖った帽子を被り、膝下まである赤色のワンピースに、箒を持っていて、これぞ魔法使いといった感じだ。

おとなし目の雰囲気で他のメンバーは荒々しい感じだが、そういう意味では1人だけ浮いていた。

あと口は悪そうだ。


「さて、ヒューラ。アージがやった方の男性も助けてやってほしい」

「ポイズンヒールでいいかしら?」

「任せる。解毒ポーションはまだあるからそれで構わないよ」

「了解〜」


うおおおい!

なんか危ない展開じゃないか?

ほら隣にいたルーファスが透明化して消えたよ?

危険だからに違いない!

逃げなくては、アレ......動けない。

MPは回復しただろ!

何で......


(すまぬ。まさかこんな事になるとは思っておらなんだ。先のポーションといのはな。ポーションが無かったんじゃが、気持ちだけでも楽になればと思おて、そこで買ったジュースをポーション用の瓶の中に入れたものじゃ。つまりMPは回復しとらん)


何処からともなく聞こえた声。ルーファスがフードを被りながら話しているのだ。


(ほらアレじゃよ。病は気からというじゃろ?じゃから......すまんの)


それを最後にルーファスの声は聞こえなくなった。



「回復しましょうね〜」

「お、起きてます!お、俺も回復役ですから治しました」

「怪我は何処かしら。あらあら。痛くて苦しいのね。苦しみの声が聞こえるわ」

「は!?違う違う!治したんだって!コレはMP切れだから、ポーションで治るんですよ!」

「苦しいのね。ポインズンバインド」


へ?

俺の体に毒の茨が巻きつき動くことができなくなった。それどころか茨の棘が刺さったところが紫に変色している。


「可愛い鳴声ねぇ。あははは。好きよお〜お姉さんに全て任せればいいからねえ」

この人ヒューラって言ったか?目がやばい。なんかハァハァ言ってるし、何だこの人!興奮してるのか?

回復させる気なんてないんじゃ......この人は最初から


「優しく介抱してあげるからねぇ」

ヒューラは俺の前で正座で座り、俺の頭を膝の上に乗せた。

膝枕だ。

美人なお姉さんの膝枕。これほど冥利に尽きる事はない。

はずなのに。


怖いんだ。

俺の今心を支配している感情は嬉しいなんて感情ではない。

恐怖という感情だ。


俺の眼に映るその女性は、目がやばい。ハアハアしてる。涎が垂れている。それを拭いて「あらいけないわ。我慢我慢」と言う。手からなんか毒々しい紫色の煙が発している。


「お姉さん!平気なんですって!聞いてますか!ちょ!おい!団長とやら!鎧の人!この人止めて!俺は平気だから!」


これは最後の賭けだった。

鎧の男性はアージから団長と呼ばれていたし、このヤバい女もこの人の指示に従っていた。

つまり今ヒューラを止めれるのは団長さんしかいないんだ!


「す、すまない。君が無事だとは思っていなかったんだ。まーアレだ。多分人生で今回の一度しか経験できない事だろうから、経験しておくといいよ」


諦めんな!つーかそれ絶対経験する必要がないから、今回の一度しか経験しないんだろ!ぬぁあああもう!そういえばシラメは?さっきみたいに助けて......


「へーそなんだ。精霊ってのと仲良しなんだねー」

「仲良…。契約してるだけ。子供扱いするな。」

「可愛いなーもう!」


何してんだああああああ!


シラメはサラちゃんと遊んでいた。



「それじゃあ。頂きます。ポイズンベール」


あっれー。今頂きますって言ったよね。あとさっきはポイズンヒールだったのにベールに変わってますよ?

俺の身体が、薄紫色の膜で包まれた。


「気にしなーいの。さあ!楽しみましょ」

ヒューラは身動きができない俺の耳元でそんなことを囁いた。




「嫌だああああああああああああああああ」



俺の絶叫を聞いても助けに来てくれる者など、誰一人としていなかった。

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