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12話 神域魔法使いルーファス1


「お!ようやっと帰ったか!のお!お主ら妾をお主らのパーティーに入れてくれぬか!」


俺の部屋の前に立つ、女の子。

背丈はシラメより低い。というか小学生にしか見えない。

そして注目すべきは、なんとも個性的な格好をしているところだ。

黒いフードに白銀の鎧。指先まである黒色の籠手には輝く雷鳴の如き紋章。

背中に担ぐ金槌。


これはなんというか。


「小学生が強いカードだけ集めたデッキでカードゲームしてるような感じかな」

「その例えはよくわかんないけど。バランス悪いよねファッション的に」

「俺らの事を待っていたんじゃないか?」

「知らない子よ?気のせいじゃない?」

「そーだな。前通りまーす」


俺とシラメはその子を無視して、そのまま部屋へ入ろうとした。

といっても、部屋に入るにはというか、部屋の前に突っ立てるこの子を無視するというのは、無理があるのだが。


「お嬢さんごめんね。そこ俺の家だから」


俺はそういって部屋の鍵を開けて、自分の部屋の扉を開けて中に入る。

シラメも続いて入り、そしてもう1人入って着て。


「お邪魔するぞ!」


「はっ!?お帰りください」


当たり前のように部屋に入ってきたその子はもはや狂気としか思えなかった。

何を考えているのだろうか。

シラメもうわぁと引いたような顔をしているが、あまり触れないでそのまま部屋の中へ入っていった。


部屋といっても広くはない。ベッドが二つと机が一つ。椅子が2つしかない部屋で、寝るためだけの部屋といった感じだ。


シラメはベッドにダイヴして、布団の上でゴロゴロと転がる。


この人には現在陥っている状況が分かってないんですかね。

部屋に侵入者入ってきてますけど?


俺は内心気が気でならないが、平常心を保ちつつその女の子に話しかける事にした。


「ええと。君はどこの子かな?迷子ならギルドに行った方がいいと思うよ?」


優しく笑顔でそう言うと、女の子は俺の鼻をつまんで......捻った。


「ぬぎゃぁあああああああああああ」


さっきも言ったが、彼女の姿は変だ。爪が付いてるのだ。爪が。

鼻から血が噴き出し、激痛が顔面中を襲う。

捻られた方向に切り傷が入っており、鼻の感覚が無くなった。


「妾は子供ではない!これでもれっきとした21歳じゃ!次子供扱いしたら許さないからの!」


「既に許されてないんですが!ヒールヒールヒールヒールヒールヒール」


鼻から痛みが徐々に消えていき、元あるべき姿を取り戻した鼻を触って、その存在を再確認して、俺はその子から少し後退りをして、距離を取った。


危なかった。トロンゴさんに魔力回復ポーション貰ってなかったら死んでたかも知れない。

そしてわかったことはこいつは、シラメと同じ匂いがする。

関わるべきではない。


「わかったよ。もう子供扱いしない。だからもう帰ってくれないかな?」

「それできぬな!」

「なんでだよ。はあ。まあじゃ聞くけど。何しにきたんだ」

「妾をお主らのパーティーに入れてくれ!」

「断る」



「よーし話は終わりだー!俺も疲れたし今日は寝ようかなー」

俺もベッドに向かおうとした時だった。


「ほほお?妾を無視するか?よかろう!では身をもってその罪を味わうがよい!」

「は?何言って......え?どこ行った?」


先程まで女の子がいたところを見ると、そこには誰もいなかった。


「ヌファッ」

突然俺の腹を衝撃が襲う。

「ぬははははは!見えんじゃろ!見えんじゃろ!このハーデスのフードは被ると透明になれるのじゃ!ぬははははは!さて次はそこの妾を無視し続ける女子おなごに鉄槌を下そうか!」


俺の目の前から聞こえる声。

自分で種明かししている辺り、アホなんだろうな。

俺は何もない空間に、拳を振り抜いた。


「ゴベァ」


俺の拳は見えない何かを捉え、そのまま振り抜くと、目の前に先の女の子が倒れていた。


「な、な、、ななな!なんでバレたのじゃ!妾の持つハーデスのフードは完全透明化能力のはずじゃぞ!」


馬鹿だあ。この子声が丸聞こえなことを知らないのかなぁ。

尚更こんな馬鹿はパーティーになんていらねーっての。

今でさえ頭のおかしいやつを1人抱えているのだから、これ以上増えるなんて俺のストレスがマッハで溜まっていくことになる。


「ねえねえ!女子に鉄槌なんとやらって私に何をするのかなー!」


ほら見たことか。うちの頭のおかしい仲間が、楽しそうにこっちに来たよ。どうするんですか。

せっかくこっちの事は気にしてなさそうにしていたのに、なんで虎の尾を踏んでるんですかね。


「わ、妾を無視するなと言ったのじゃ!もうよい!正々堂々戦ってお主らに実力の差を思い知らせてやッガァハッ?」


え?ちょっと待って。シラメさん何してるの?

その女の子の腹に突き刺さってる腕は完全に鎧貫いてますよね?


「奇襲っていうのはこうやるのよ?」

「なんなんじゃこやつ...は。グヘ」


目の前で吹き上がる血。目の前で先程まで元気に話していた女の子が倒れた。


俺は動けずそこに立ち尽くしていると、シラメさんはこちら向いてこう言った。


「あとさ〜。腹を殴るってのはさ、こうやるのよ!」


「グヌファアッ」


シラメは振り向きながら、足をこちらに踏み込み、俺の腹へ拳を抉り混んでいた。俺の体は無抵抗にそれを受け、ふんわりとした感覚の後壁にぶち当たった。


「何して.」

何してんだお前と言おうとしたが、文句は後だ。

なにせ目の前で1人死にかけている早くヒールをかけないと、というか俺の身体もやばい。


「ヒールヒールヒールヒール」

俺は自らにヒールをかけて、体が回復したのち起き上がり、女の子の元へ行き、ヒールを8回かけた。


「シラメさんや。前科何犯目だお前!こんな女の子を部屋で殺したら大問題だからな」

「死なないっしょ。マコトがいるし」

「あのなそーゆー問題じゃ」


「な..ぬ。なんと!生きておるぞ!妾は生きておる!なんじゃ夢かぁ」


目の前で起き上がり、今の出来事を夢にしようとする女の子に俺は事実を突きつけるべく、一言呟いた。


「お腹を見てみればいい」


「なんじゃ?お腹を?何故かわからんが見ることくら......ぃ」


そこにあったのは腹の部分に腕一本通る程度の穴が空いた、白銀の鎧だった。


「なんじゃこりゃあああああああああああ」


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