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9話 コボルト


「ぬぁあああああああああああああ」


視界に広がるは、木・木・木


俺は今絶叫を上げながら、森の中を駆けずり回っている。

何故か。


それはシラメに剣を貰ったことにより、前衛として参加させられたからだ。

それもゲームでいうターゲット集めのような役割でだ。


シラメが攻撃する隙を作るために、俺は必死にコボルトと追いかけっこをしている。

主に俺が逃げ回っているだけだが。


コボルトは黒い毛皮で、犬の頭に人の身体をしたモンスターだ。

手には剣を持っているため、下手に戦おうとするとグサリとやられるので逃げの一手なのである。


「マコト逃げないで戦いなさい。何のための剣なの」

「え?」


俺が逃げた先にシラメがおり、シラメは俺をコボルトの方へ突き飛ばした。


「何しとんじゃァアア」


俺はコボルトの前に倒れこんだ。

コボルトはそれを見て剣を俺の背中に突き刺した。


「ギィャアアア」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


「ナイスよマコト」

シラメはそういうと武器を俺に突き刺し、隙だらけになったコボルトの頭を硬化させた手で切り落とした。


コボルトはゴブリンの様には行かない。動きが速いのだ。

だからシラメはコボルトと初対面での戦いで、捉えにくいということで、俺を生贄にする作戦を思いつきやがったのだ。


「ヒールヒールヒール」

ヒールを重ねがけして身体の傷を癒す。

シラメが言うには、何度かヒールをする事により、怪我を治せるため生贄として最適なのだそうだ。


「さ、次行くわよ!」

「死にそうなんですが。なあ俺が死にそうなんですが」

「大丈夫でしょ。剣もあるし、ヒールもある」


バッカなのか!剣なんて持ったところで素人の俺がこんなもの振り回したところで、自然界で生き抜いてきたコボルトのようなモンスターに勝てるわけないだろう!


だから俺は護身用に使おうとしたのに、そもそもだ。

攻撃役のシラメが後ろで、回復役の俺が前っておかしくありませんかね!


自分を回復させながら身体を張る回復役なんて、聞いたことがねぇよ!


「さあ!次来たわよ!」

「ぬぁあああああああ」


俺は覚悟を決めて、コボルト目掛けて走り始めた。

コボルトは俺からの攻撃を警戒して、剣を構えた。


「おりゃああああ」


俺の剣は鞘から抜かれることは無かった。


俺は剣を構え警戒状態のコボルトの目の前まで行くと、そのまま切り返して逃げた。

俺が突然目の前から逃げたのを見て、コボルトは俺を追うように走り始めた。


さっきのコボルトと同じね。

目の前でうろちょろされると鼻に付くのかな。


「えい!」

シラメの方まで走ると、シラメは笑顔で俺を突き飛ばした。


「知ってたけどね。ゲフ」

走っていた勢いを止める事なく、押し返されたことによってただの突き飛ばしだが、すごく痛い。


そして尻餅をつくように倒れこむ俺を後方から追って来たコボルトが、斬る。

俺はその場で身体を無理矢理捻り、剣を避けた。


「うおっ!あぶねぇ!」


奇跡だ!奇跡!偶々避けることができた。

俺はそのまま立ち上がり、逃げようとした。

しかし俺の足をしっかりとコボルトが掴んでいた。


「ぬぉわあぁ!何しとんじゃお前!」

「グルルル」

「剣を振り上げて、ナニをしようとしてますか?突き刺すつもりじゃ、ないです......よね?」

「グルルルフフ」


コボルトは俺の足を掴んだ状態で、片手で剣を振り上げて、俺の太腿ふとももに突き刺した。


「ぬがぁあああああ」


コボルトは刺した剣を抜き、続けて俺の脇腹を剣で突き刺す。


「イッテェエエエエエエ!オラァッ!シラメさっさと殺レェッ」

「はいはい。硬化。ほい」


コボルトの胸から手が出て突き出た。

シラメが後方からコボルトの胸を突き刺したのだ。


「面白かったわ。逃げようとしたのに逃げることができないとかウケる。何それゲームで自分より強い敵と遭遇した時にしかおきないっての!アハハハ」

「格上だから!俺からしたら格上だから!頼むから俺が身代わりになっている間にさっさと始末してくれないか?俺本当に死んじゃうから!」


「ヒールヒールヒールヒール」

4回のヒールにより剣で突き刺された傷は、回復した。


「あと3匹......俺死ぬかもなぁ」

「大丈夫でしょ。ほら馬鹿は死なないっていうし」

「馬鹿は風邪を引かないだからな?馬鹿でも死ぬからな?」

「はいはい。ほら次行くわよ」


俺は起き上がりソイツを視界に入れて、いや違うくない?と思った。いや声に出ていたかもしれない。


目の前のコボルトは鎧を装備しており、かつ手に持つ剣も先程までのコボルトとは違いサーベルを装備しており。片目に切り傷が付いており明らかに先程までのコボルトとは別格だと身体で感じ取ってしまう。


「違う?うーん。眼を怪我しているし手負いだから楽勝かな?」

「おいシラメ。その感覚はおかしいからな。アレはどう見ても格上だから。撤退するぞ」

「は?何言ってんの?倒すしかないじゃん」

「お前こそ何言ってんの?言っとくけど同じ戦い方はしないからな。アイツに勝てる気がしない」

「あー。はいはい。わかったわよ」

「はぁ。わかってくれたか」

「なら私が戦ってくるわよ」

「はい?」

「硬化」


シラメは手を硬化させると、明らかに格上だも思われるサーベル持ちのコボルトに立ち向かっていった。


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