プロローグ
俺の名前は北村 真。今日から大学2年生になる......はずだった。
「避けてぇええええええええええええ」
それが生前の俺が聞いた最後の言葉だ。
何が起きたかすらわからないまま俺は死んでいた。
俺は飛び降り自殺に巻き込まれて死んだのだ。
「うあ?ここは......何処?」
目を開けると宮殿というか、神殿というか物語の中でしかみたことのない建物の中にいた。
これは天国?だろうか。
「違うぞい。ここはの。神殿じゃ。残念な最後を迎えたお主に第2の人生を送ってもらうべくここに呼び出したのじゃ」
目の前にいる白髭の老人がそんな事を言ってきた。
「ええと?うん?」
「つまりのアレじゃよアレ。 そうつまりこれは、近頃巷で話題の異世界転生というやつじゃ」
「はぁ?よくわかりませんが、20歳で死んだだけにまだ生きていたかったので生き返れるというのであればお願いします」
神様に呼ばれた俺は、第二の人生を送ることを勧められた。
彼氏に振られ自殺するという、女性に巻き込まれ死んでしまった俺を哀れに思い、第二の人生のリスタートを、俺という存在のまま送らせてくれるのだそうだ。
「 ただ問題は今まで生きていた世界の北村 真は死んでしまっているため、地球への転生は無理なのじゃ。別次元の世界へ送ることになる。魔法やスキルがあり、魔物が跋扈する世界じゃよ。地球より楽しめると思うぞ」
「うーん。不安な単語もあるけど、どうせ帰るって言っても俺の知ってる世界へは?」
「無理じゃよ」
「ですよね。ならその世界でもいいですよ。どうせ行かなかったら天国で俺の人生終わるでしょうし」
「ん?お主は地獄じゃぞ。定められた運命を全うできず、死んだものは天国へは行かん」
「よし、転生してください」
「ほほほ。では言語共有や文字理解といったスキルは授けておこう」
神様は優しい人で、俺に向こうで生きていく上で必要になるであろう最低限の事をできるようにしてくれるみたいだ。
「君達は向こうの世界できっと冒険者になるだろうから、回復系のジョブと戦士系のジョブを授けようと思う」
神様はそう言って、何やら見えない空間を操作していた。
「お?これかの?これはお主らのステータスを定めておるんじゃよ」
どうやら、俺のステータス調整を行なっているみたいだ。
ステータスってのはゲームとかでよくある、攻撃力だとかスキルや魔法などなど、個人によって振り分けられた性能数値みたいなものだろう。
「スキルや魔法はなんとなくわかるが、ジョブってのは何だ?」
俺の問いに神様はすぐに答えをくれる。
「レベルが上がる時にジョブを取得していると、そのジョブに合わせて魔法やスキルが習得できるのじゃよ。2人でチームを組むのであれば、回復系と戦士系のジョブをお勧めするがどうかな?」
「ふ・た・り?」
俺以外に誰かいたか?俺と神様?それと......。
いやいやそれはないだろ。
あとこの場所にいるのは、俺を自殺に巻き込んだこの女だけだ。
うん?まさか!?
「えっと、この女も転生させるつもりなんて言わないですよね?」
「もちろんそのつもりじゃが?」
「うん。私も行くわよ?異世界」
......。
「納得いきません!こいつは俺を殺したんです。そんな奴と一緒だなんて」
「まあまあ真殿。落ち着いてくだされ」
そうだな落ち着こうか。
まあ別にこの女がどうなろうと俺には関係ないか。
「わ、わかりました。もうそこに関しては神様が決めたのであれば、納得します。ですがパーティーなんて組みませんよ?1人で行きますし」
当然の答えだった。
しかし。
「え?」
「ぬぇ!?」
1人目の「え?」は神様だ。そして問題のこの「ぬえ!?」とか言ってる馬鹿女。
この女、問題児だろ。2人で行くことに納得している。そもそもさ。
「自殺したならもう人生終われよ」
「自殺してみて思ったけどさ、やっぱ行きてる方が楽しいね」
ふ・ざ・け・る・な!
「付いてくるなんて拒否だ。絶対嫌だ!1人がいい。1人にさせてください神様!」
俺は神様の足元に土下座をして頼み込んだ。しかし神様が絶望的な事を口にした。
「いや、1人分の魂で2人を送るのでな。2人は1キロ以上離れると常にバッドステータスに陥る。まあつまり。すまんの真殿」
なん.....だって?
「まあいいじゃない!旅は道連れよ」
この女ァッ!不幸への道連れなんですが。
「それではジョブなのだが、回復役と戦士役を渡そうと思うのだが、どちらが良い?」
神様は俺の事は、無視でどんどん話を進めて行く。
それに女は即座に答えた。
「戦士で」
まあ二人で行くなら、二人とも戦士の方がいいよな。
「では真殿は回復役じゃな」
え?俺の答えを聞く前に、神様は見えない空間を操作し始める。
「待ってください!俺も戦士が」
「役職被るでしょ?馬鹿なの?」
「女ァッ!ならテメェが回復やれよ!クソッタレ!」
「女ってねぇ。私は調芽よ。覚えてね〜今後共に生活して行くんだから」
「なんでだよ!」
「あーはいはい。じゃーんけーん」
「はっ!?」
ポン!
咄嗟のことで俺の手はグーを出していた。
そしてもちろん女はパー。
「決まったようじゃな」
「ひ、卑怯だぞ!」
「負けたのに文句は言わないでよね」
しらめ?しらお?おしら?なんて名前だったっけ。この女嫌いだ。平気で俺に話しかけて来るし。
「それじゃお二人さん。良い異世界生活を」
神様がそういうと俺と女の身体が光に包まれた。
今日は散々だ。知らない人に殺されて
俺を殺した知らない人と、共に異世界へ行かされる羽目になって。
そして俺を殺した知らない人と、共に生活しなくてはならないなんて。
(ああぁもう!俺の異世界生活。地獄じゃないっすか)
今日から投稿を行います。
出来るだけ毎日投稿ができればと思っております。
至らぬ点などございますが、よろしくお願いします。
毎日投稿予定です。