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終期超越 シドシワルワ  作者: 弥島真
第1章 始まりのエンドレスライフ
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6 しっかりしてよ…

 照花が、これからの予定を考えながら、廊下を1人で歩いている。その背後に、気配を消してゆっくりと近づく怪しい者がいた。その者が、照花の肩をトントンと叩く。

 照花が、叩かれた肩の方を振り向くと、背後にいた人物の人差し指が、少し深く照花の頬に刺さった。

「引っかかったー、いぇい」

「マーリーアー」

「怒んないでぇー」

「やめてよー、そういうの。何度も何度もぉ」

「メンゴメンゴ。なにしてた?」

「ご飯食べてた。マリアは?」

「大体同じ」

「だったら声かけてくれればよかったのに」

「だってさぁ、声かけようと思ったら部屋にいなかったんだもん」

「あなたが起きるの遅かったんでしょ」

「はっはっは」

「は?」

「うそうそ。で、これからどうすんの? あたし達、ムタヘバの件、外されちゃったし」

「うーん……とりあえず、訓練?」

「訓練訓練って、レナードかよっ」

「と言っても、他にやることもないしねぇ」

「やだー飽きた。もはや飽き飽き飽き飽きアキちゃんじゃん」

「そうは言っても、訓練は怠っちゃ駄目でしょ。……ってかアキちゃんってなに?」

「アキちゃんをご存知ない!? あのアキちゃんだよ!? んんっ、オホン。『アキチャンダヨー。ヨロシクネー』」

「へぇー」

「いや、へぇーって……」


 2人は、1-Aの部屋に戻る。会議室の方へ顔を出すが、そこには誰も居なかった。

「ありゃ。誰もいない。みんな寝てるか、ご飯食べに行ってるのかな」

「寝てるのは……ミヤカぐらい?」

「おっしゃ、起こしに行くか。起こして、トランプに付き合わせるっ!」

「えぇ……、ミヤカ、寝起き機嫌悪いからなぁ……」

「あ、確かに……。この前も、デスロック決められたからなぁ……」

「あれは見事だったわ……」

「……やめとこ。だったら……シノはどうかな?」

「篠前さん? 今色々と忙しいんじゃない? それに、篠前さんも寝起きの機嫌が悪い人だったらどうするの」

「そん時はそん時。甘んじて、技にかかりましょう。では、突撃ぃ……って、どこで寝てんの?」

「空いていた部屋のどこかでしょ」

「では、透視いたしましょう。むー……、ここだっ!」

「違うと思う。多分こっち」

「ほう……照花探偵、その根拠は?」

「この前まで使われていなかった部屋に、明かりがついているから」

「えーなにそれ。まぁいいや、突撃ぃ!」

 マリアが、廻の部屋と思われる部屋に突入する。それに続いて、照花もゆっくりと部屋に入る。

「あ、テレビが点いてる……」

 マリアが、テレビの音が聞こえる方へ進んで行くのを、照花が後ろから見ていると、マリアの背後に急に人影が現れた。照花が思わず声を出しそうになると、マリアの背後にいた人物が、照花の方を向き、「秘密」と、ジェスチャーを照花に送った。

 マリアが、テレビの点いている部屋に入る。だが、そこにシノの姿はない。

「ありゃ、誰もいない。点けっぱなしかよ。しょうがないなぁ」

 マリアが、テレビの電源を消そうと、部屋の奥に進もうとすると、マリアの背後にいた人物が、耳元でゆっくりと囁いた。

「俺が観てるから消さないで」

「ひっ!?」

 聞こえてきたのは男性の声だった。前方に意識が集中したところに、耳元で照花ではない、それも男性の声が聞こえてきて、思わずびっくりした。

 マリアが後ろをびっくりして振り向くと、そこにはルーカスがニヤニヤしながら立っていた。

「って、ルーカスじゃん! び、びっくりした……」

「いや、急に入ってくるもんだからつい……」

「って、照花! 気づいてたなら教えてよ!」

「いやー気づかなかったなーまったくなー」

「嘘つけっ!」

「……なに? なんでこんな騒がしいの……って、なんでここに居んの?」

 3人の声で、半ば強制的に起こされた廻が、眠そうな顔を引っ提げて、3人のところへやって来た。

「あ……おはよう。えっと……トランプ、する?」



 マリアと照花の2人は、マリアの部屋で暇をつぶすことになった。

「『廻はこれから用事がある。だから今度にしてくれ』……だってさ」

「言われた本人、え? そうなの? って感じだったけど……。っていうか……」

「ん? どした?」

「どした? じゃない! なんでまた散らかってるの! 1週間前に掃除したばっかりじゃない!」

「あ、あぁ……えっと~……その……まぁ……」

「今すぐ掃除しなさい!」

「すんませんお母さま……」

「まったくもう。なんで1週間でこうも汚く出来るのよ」

「いやまぁ……なんと言いますか……ねぇ」

「まったく……。もう、早く片付けるよ」

「ありがとうございます女神様!」

「本当にしょうがないわね。もう前からずっと一緒、全然直ってないじゃない」

「いやーだってさ……。あの時は環境が環境だったからさ……」

「環境のせいにすんな。まぁ、あの中じゃ荒むのも分かるけど……。もう大人なんだからね。ちゃんとしてよ」

「はーいママ」

「まったく。どうすんのさ。私がいなくなったりでもしたら」

「えー辞めないでー。1人にしちゃやーよー」

「もー……。本当に……」

「本当に?」

「って、もう! 手が止まってる!」

「ハイハイハイ。わかりましたわかりました……って、あっ」

「どうしたの?」

「BB弾見っけた」

 マリアは拾ったBB弾を手にすると、ドレッサーの引き出しを開け、なにかを探し始める。そして、中から拳銃を取り出すと、それを照花に見せつける。

「じゃーん」

「……内ポケに入ってるやつ使えばいいじゃん」

「やだよ、弾もったいない。おもちゃで十分」

 そう言って、おもちゃの拳銃にBB弾を装填して、離れた場所にある空き缶を指さす。

「ほいっ」

 マリアは空き缶に銃口を向けて、じっくりと狙いを定めるわけでもなく、すぐに弾を撃った。すると空き缶にBB弾が命中し、金属音が甲高く響き、空き缶が床に転がった。

「どうよ」

「すごいね。早く片付けしよ」

「ぶー。もっと褒めてくれたっていいのにさ」

「すごいすごい」

「雑!」

「まったく……。そんな技術、もう必要ないでしょ?」

「そんな事は無いと思うけどなー。そのうち、射撃大会なんかに出ちゃったりして。ま、出ないけど」

「……今でも、思い出したりする? 過去の事」

「そりゃそうよ、忘れられるわけないじゃん。そんなんだから、いつまで経ってもこんなもの、肌身離さず持ち歩いてるわけだし」

「……それ、篠前さん見たらびっくりするんじゃない?」

「大丈夫大丈夫。知らない人から見たら、本物かどうかなんて区別つかないから」

「まぁねぇ。……って、また手止まってるじゃん!」

「照花もねー」

「誰の部屋を掃除してると思ってんのさ!」

「ハイハイハイハイ。すみませんすみませんすみません。早急に掃除いたしますっ」

「もう。ホントに……」

 照花は、呆れた表情を浮かべるが、それとは裏腹に、その声色はそこはかとなく楽しそうであった。


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