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終期超越 シドシワルワ  作者: 弥島真
第3章 衒い 放つ 咲き誇る
23/27

4 ヒーロー

 ――ミールフス・01エリア軍事基地――



 現在ミールフスで起こっている異常事態に対して、ミールフスの軍人達は近くの基地に緊急招集をかけられた。無論、彼女も。

「あ、ようやく来た! 遅いっすよ! ミシェルさん!」

「悪いなウォーレン。ちょっくら出かけてたもんでな。で、内容は?」

「現在、ミールフス01から08までの広範囲に及んで、謎の敵によって攻撃されている状況が続いているため、これを阻止すべく急ぎ各エリアに広がり宇宙探査機等を用い迎撃せよ、との事っす。俺たちはここ01担当らしいっす」

「……めんどうだな」

「そんな事言ってる場合っすか! ホラ早く、急ぐっすよ」



 2人は出撃準備をしながら、「謎の敵」とはなんなのかを話し合う。

「隊長も、正直言ってなにがなんだか分からないらしいです。そりゃそうっすよね」

「しかしよくもまぁ、こんなすぐに対応出来たもんだな。人間達からの攻撃ならまだしも、よく分かんないヤツらからの攻撃にな」

「ああ、それは今、丁度よく上にエンドレスが居たからっすよ。エンドレスからの緊急連絡で、今ミールフスは突如現れた化け物に攻撃されてる、って入ったって。化け物ですって、笑えるっすよね。笑えないっすけど」

「という事は、現在エンドレスの人間もその化け物と対峙しているというのか?」

「らしいっすね。なんかヤバイらしいっすよ。すんげーデカいって話っす、化け物」

「うわぁ……とうとう来るとこまで来たか……。それにしても、篠前や月星は無事なんだろうか」

「誰っすか? その人達」

「エンドレスに居る友人さ」



 2人は、他の軍人達と一斉に宇宙探査機で基地を飛び出し、ミールフスに落ちてくる謎の飛翔体を迎撃しにそのポイントまで向かう。



「こりゃ……思ったよりひでぇな」

「っすね……」

 目的地に着いた2人の目に映ったのは、少し前まではとても綺麗でのどかだった場所や建物が、その名残無く無残に変わり果ててしまった姿だった。

「キッツイなこれ……」

「ヤベェっすね……って、アレっすか!?」

 ウォーレンが上空を見ると、そこから凄い数の飛翔体が押し寄せてくるのが見えた。

「みたいだな。でも、流石にこの数じゃあ……」

 あまりにも敵の数が多すぎるため、その場にいた軍人達はとても強い危機感を抱いた。軍の力をもってしても、全てを捌ききるのは難しそうだ。



 そんな状況の中、ある1人の軍人がポツリと言葉を漏らす。

「とうとう、コイツのお披露目の時が来たか」



 突如、どこからか上空の飛翔体達に向けて、巨大な1つの白い線のようなものが薙がれる。その線に触れた飛翔体達はたちまち、死、すなわちその場で爆発を始める。

「なんだアレ? あんなのあったっけ?」

「分かんないっすね」

 2人の疑問にすぐ答えるように、謎の白い線を放った「ソレ」がみんなのところへ姿を現した。

「なな、なんすかソレ……」

「……同胞か?」

 得体の知れない巨大なロボットに乗っている人物が、自分の正体を明かすために周りに聞こえるように通信を開始する。

「私はミールフス軍所属の、ミンチメル・バラノフだ。これより、シドシワルワ-TORCH-を用い貴官らと共に謎の敵を殲滅する」

 当然、その場に居る人物達はシドシワルワについて理解できないでいる。

「シドシワルワ? なんじゃそりゃ」

「って、また来るっすよ! 今度はちゃんと行くっすよ!」

「だな」

 シドシワルワの理解は出来ていなくとも、すぐさまその場にいるミールフス軍は、TORCHを中心としてこちらへ来る飛翔体を迎撃すべく攻撃を開始した。




 ――宇宙・ミールフス付近――



 化け物と直接戦闘している4人のもとに、新たな援護が駆け付けた。セローナとジュリアが、複数の隊員達を引き連れてやって来たのだ。

「やぁやぁ。遅くなってごめんネ」

「テメェは! ジュリアか! 遅い!」

「いや、ヴォルフサン達が早いだけ」

「数は多い方が良いと思って、幾らかチーム6のメンバーを持ってきたが、一体、化け物と交戦しているアノ巨大なロボットはなんだ?」

「アレは、『シドシワルワ』っていうモノらしいです」

「シドシワルワ……?」

「っつーかセローナの姉御! こっちに人持ってきて向こうは大丈夫なのかよ!」

「案ずるな。どうやらミールフスの方でも既に対応はしているようだ。艦長からそう聞いた」

「ま、そゆことで、アタシ達はコイツをどうにかする事を考えましょ」

「ヴォルフ、この数なら俺達だけでアノ飛翔体はなんとかなるんじゃないか?」

「どの道、俺らが囮になってあのロボット共に蕾をヤってもらうのがベストだろ?」

「なんだかよくわかんないけど、アタシらはあのウロウロしてるのを攻撃すればいーの?」

「そうだ! 頼んだぞ、ジュリア! セローナの姉御! そしてチーム6の面々!」

「よし。レナード! ソイツらは俺達に任せてミヤカと一緒に蕾を排除してくれ!」

「了解」

 レナードは、VIOLENCEで飛翔体を屠るのを一旦止め、ミヤカがCUBEで切断しようとしている蕾のところへすぐさま向かう。

「レナード!」

「ミヤカ、2人で行くぞ」

「おう!」

 VIOLENCEはその巨大な「腕」で、正拳突きをするかのような動作で蕾を殴る。CUBEの「炎」と相まって、蕾は先程よりもいとも容易く化け物の本体から分離した。

「オラァ!」

「ハァッ!」

 そんな2人のところへ大量の追尾型の飛翔体が押し寄せてくるが、これをチームリーダー達が許さない。ソイツらに対し先程よりも多い数の宇宙探査機で攻撃を加え、2人への攻撃を難なく阻止する。

「レナード、次だ!」

「ああ」

 2人は次から次へと順調に蕾を破壊していく。それを阻止しようと、次々と新たな蕾を増やしていく化け物。そして増えていく飛翔体。飛翔体はなんとかなるが、蕾がいくらでも増え続けるため一向にその数が減らない。

「しつけぇな! クソッ」

「本体を攻撃するか?」

「アタシじゃあダメだった。レナード、やってみてくれ」

「ああ」

 レナードはVIOLENCEの両腕を使い、蕾をいとも容易く蹴散らしてきたように化け物の体を思いっきり殴る。……しかし、化け物はVIOLENCEの攻撃をもってしてもまるでビクともしない。

「効いていないのか!?」

「そのようね」

 その様子を見ていたユゼが、動揺を隠せないままミヤカに次の手を求める。

「やっぱり駄目か……どうするミヤカ!?」

「……」

「ミヤカ?」

「あ? なんか言ったか?」

「どうすんだよ! レナードでも駄目だったぞ!」

「知らねぇよ……」

「ん? どうしたお前……なんか、凄い汗……」

「うるせぇ。なんでもねぇよ」

「どうするミヤカ? 2人で本体を同時にやってみるか?」

「……そうだな」

「よし、行くぞ」

「おう」

 2人は息を合わせ、CUBEの攻撃とVIOLENCEの攻撃を同一箇所に同時に化け物へと浴びせる。……しかし、これをもってしても化け物に攻撃が通る気配は一向に無い。

「クソが……」

「さて、どうするか」




 ――エンドレス・1階――



「ハァ……ハァ……」

 3階から急いで1階へとやって来たが、体にダメージを負っているため疲れがいつもより早く感じる。クソッ、もっとちゃんと鍛えれば良かった……。って、あそこに見えるのって……。

「おーい! ルイザ! ソーシ!」

「ん? 廻か! 無事だったか」

 前を走っているルイザとソーシを見つけ、2人のところへすぐさま駆け寄る。

「2人とも、無事でよかった」

「廻もね。まったく、こんな事になっちまうなんてね」

「まったくだよ……」

「それで、他のみんなは無事かい?」

「他……俺が会ったのは、マリアと卓ちゃんと……照花だ」

「そうかい。3人とも無事かい?」

「……それが……」

 2人に、1-Aの部屋で起こった凄惨な事について静かに説明する……。



「なんだって……!?」

「俺もなにがなんだか……。それに、今だってシなんちゃらってヤツのところへ行けって……もう、わけわかんねぇよ。この短時間で照花に殺されかけるわ犬に殺されかけるわ……で、今度は未知の巨大生物? なんなんだよホント……ハハハ」

「マリアは……まだ無事なのかい?」

「今、卓ちゃんに見てもらってる……」

「そうかい。だったらあたしも1-Aの部屋に向かうよ!」

「お、俺も」

「アンタは廻についていきな」

「お、おう」

「それじゃあ廻、しっかりね」

「あ、ああ……」

 そう言うとルイザはすぐさま1-Aの部屋へと向かった。マリアのあの傷では、いつなにが起こるか分からない。1人よりも2人のほうがいいだろう。その事に、少しだけ安堵する。しかし、それよりも今は謎のシなんたらとやらに重きを置かなくてはいけない。引き続き、ソレがあるという地下1階の格納庫の中にある立ち入り禁止エリアへと向かう。



「なぁソーシ、シなんとかってなんなんだ?」

「いやそれが、俺もよく分かってなくて……」

「なんだよそれ……」

「ただ、最初にその言葉を聞いたのは、1回目のムタヘバ調査から戻って数日が経った頃だった。1-Aのみんなが艦長室に呼ばれて、ルーカスと艦長からいずれこういう事が起こった時に力になってくれって言われた時にだ」

「俺、一切聞かされてないんだけど」

「他言無用だったからな。俺たち自身、ソレがどういうものってのは具体的に分かってなかったし。言われただけで」

「ああもうわけわかんねぇよ」

「ホントにさ」



 少しして、目的の場所へとたどり着く。その先を進むと、部屋の奥に明らかに怪しい扉が1つあった。

「……入るか?」

「……だな」

 扉を恐る恐るゆっくりと開け、そこから慎重に中を覗く。変に警戒したが、特に罠なんかは無かった。中に入ると、数十メートルはあるオブジェみたいなものが複数あった。

「これ……なんだ?」

「廻……おそらくだけど、これ、ロボットだよ」

「それじゃあ。これが……シなんとかかんとか?」

「シドシワルワ」

「そうそれ」

「多分な……。よく見たら、2つほど元々なにかあったような空きがある」

「という事はもう……」

「誰かが出てるな……廻、急ごう!」

「んな事言ったって、どうすりゃ……って……コレ、なんだかカッコイイな」

 ある、1つの巨大なソレに目を惹かれる。ソレの前に立ち止まり、なんの躊躇もなく手を触れてみる。

「んじゃあソレに乗ってみる?」

「そうしよ」

 そう言った瞬間、ソレから1つの穴が開く。コレの入り口かな? とりあえず、中に入ってみる。

「あ、待って、俺も行くよ」



 少し進んだ先にあったのは、コックピットのようなものだった。そしてソレは、こちらが触れるよりも前に勝手にシステムが起動した。

「うぉっ! 動いた」

「なんだ? どうして勝手に」

 色々考えていると、なにか急に床が揺れ出した感じがした。慌てて状況を確認しようとすると、モニターから見える景色が動いているのが分かった。

「これ、勝手に動いてね?」

「あ、ホントだ」

「え? え? え!?」

 なにも状況が分かんないまま、その景色はやがてエンドレスと宇宙を繋ぐ出入口の前と思われるところまで変わっていた。そして、その出入口が次第に開いてゆき、見慣れた宇宙の景色がそこから見えた。

「え、これって……もしかしてこのま――」

 言葉を言い終わるより先に、今乗っているコレが勝手に動き出した。そしてそのまま勢いよく宇宙へと飛び出していった。

「うわぁぁぁぁ!」

「少し落ち着けって」

「落ち着いてられっか!」

「まったくしょうがないなぁ……って、なんだよアレ……」

「あ? どうした……嘘だろ」

 2人は、宇宙空間の中で一際異彩を放つ「ソレ」に目を奪われる。そこには、今までの前例や常識なんて意味の無い、まったく新しい「モノ」があった。

「……ははは」

「……これ、夢だったか」

「そうだな。ソーシ、こういう時ってほっぺつねるんだっけか」

「だな。じゃあ、せーのでやるか」

「よし。せーの……イテテ、痛い痛い!」

「イタタたた……。……という事は」

「マジかよ……」

「みんな戦ってる……廻! 早く行こう!」

「でも、どうすれば!」

「おい! ここにあからさまなボタンがあるぞ!」

「マジだ……。押したら……いや、押してみるか……」

 深く考える前に、そのあからさまなボタンを押してみる。すると、今乗っているコレの前面が急に開き、中からなにかを発射するような穴が出てきた。

「なにが起こった?」

「映像見る限りでは、なんか、開いたな」

 そして、突如地響きのような轟音がどこからか聞こえてきた。その轟音に、俺とソーシは戸惑いを隠せない。

「え? え? ヤバイやつ? これヤバイやつ!?」

「……かも」

「マジかよ!」

 自分のとった軽率な行動に強く後悔をしていると、何事もなかったかのように急にその音が止んだ。

「あれ? 止ま――」

 そして次の瞬間、コレの前方の穴から突如として巨大なビームみたいなものが前方の化け物めがけて発射された。

 ビームは距離を増すにつれ、どんどんと更に巨大になっていく。



 化け物の近くで飛翔体を攻撃しているさなか、ヴォルフガングは後方でなにか異変が起きたことに気づく。

「……おい、なんだ後方から……って、ヤバくねーか?」

 他のチームリーダー達も同じく、後方で起こっている異変に一早く気付く。

「なにか……来る! 全員、急いでこの場から離れろ!」

 その言葉を聞いた全員が、なにかがこちらへ向かってきている事に気づき、急いで化け物の傍から離れる。

「やべぇこっち来る! ミヤカ! 早く!」

「……え?」

「なにボーっとしてんだ! 早くここから離れろ!」

「あ、ああ」

 ユゼに急かされ、次の手を決めあぐねていたミヤカも急いでその場から離れる。そして、全員が化け物から離れると、化け物に対してエンドレスがあった方から飛んできた謎の巨大なビームが豪快に化け物の左半分に直撃する。


「な、なにが起こった……!?」

「分からないわ。もしかしたらこれも……シドシワルワの攻撃?」


「派手だネ。すごいすごい」

「なんという力だ……」


「どうなってやがる!」

「分からない! けど、これは……!」


「効いている、のか……?」

「……やべぇな」


 やがて、その場にいる全員の視線を奪った豪快なビームは、静かにだんだんと消えていく。そして、そのビームが直撃した化け物の左半分は、跡形も無く消えていた。



「……なんか、すげぇのが出たな……」

「あ、ああ……」

「す、すげぇ……。なんだかよくわかんねぇけど、スゲェじゃんこれ!」

「よっしゃあ! もう1発ぶちかましてやれ廻!」

「おう!」

 もう1度、あからさまなボタンを押す。押す。押す押す。何度も押す。……しかし、一向になにも反応しない。

「どうなってんだ?」

 何度も何度もボタンを押し続けるが、相変わらずうんともすんとも言わない。

「オイオイオイ! もっかいアレ見せてくれよ!」

「どうなってんだ?」

 その時、突如ポケットに入れている携帯端末が鳴っているのに気付いた。慌ててそれを手に取ると、なにやら勝手に変なアプリが起動していた。

「あ? なんだコレ」

 その様子を少し見ていると、なにやら文字が書いてある画面に勝手に変わった。

「なんか書いてる……えっとなになに? 『このシドシワルワ-ACE-は、1度だけとてもとても強力な攻撃が使えるが、それを使ったらしばらくは使えないので、使いどころはちゃんと考えてね。ルーカス』…………って……マジ?」



 廻の思いがけない攻撃により、ようやく化け物本体への攻撃が初めて通った。


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