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21話 ヒーローが戦隊組む



 

 俺達3人は午前中で帰ってこれる範囲で狩りをする事になったのだが、場所も限られてくる。結局、近場である草原での狩りとなった。


 そこで狩りをしながらもルミアの槍の訓練と、クロスボウの訓練をしていた。


「ルミア足を狙え、そう、払うんだよ、そうそう。よし叩け、叩けっ、一気に畳み掛けろ!」


 足を傷つかれたゴブリンが倒れたところを、ルミアが一気にショートスピアで攻め立てて勝利していた。


「どんなもんじゃ。本気だせばこんなもんなのじゃ。かっ、かっ、かっ、か」


 ルミアが倒れたゴブリンに片足をのせて変な笑いを響かせている。


 全然迫力ないから、むしろ危ない奴にしか見えません。


 でもルミアは1人でFランク魔物を倒せるまでに成長した。子供の成長は早いよね。スーツなかったら俺勝てないかも。


 その頃リリーは離れたところでオークと戦っている。


 マジックワンドがあるから連続攻撃が出来る様で、オークが近づく前に倒している。


 やはり魔法の道具は強力みたい。


 リリーに聞いたら、昇格試験というのは召喚士が呼び出した魔物と戦うらしい。Dランクになる為には、Dランクの魔物が1人で倒せなくてはいけない。昇格試験ではそれを確認するのだという。

 魔法もOKだし魔道具を使うのもOK。ただしあらかじめ申告する必要がある。稀に許可が下りない物もあるそうだ。


 しかしよく考えられてるとは思うよ。ギルドでのポイントは信頼度だし、信頼があっても強くなければいけないし。当たり前だけどゲームの中よりもリアルだ。


 カートが魔物でいっぱいになったところで街へ戻ろうと準備をしていると、久しぶりに会いましたね。ロン達3人組。


「あ!……」


 真っ先にロンが俺達を見て声を上げた。


 こっちとしてはあいつらの実力はもうわかったので、余裕の態度を見せられる。スーツさえ来てれば負ける気はしない。


 鼻で笑って帰る準備を続ける。


 すると奴ら3人が近づいて来やがりましたね。


「あの、兄貴、そしてリリーさん……」


 あれ、兄貴呼ばわりですか。


「「「すいませんでしたっ」」」


「へっ?」


 いきなりロン達3人が謝ってきました。

 ちょっと驚いたが、そういうことかと納得。


「まあ、俺は許してやってもいいんだけどさ、リリーさんはどう思います?」


 3人は一斉にリリーに顔を向ける。


「ふんっ、別に。勝手にすれば」


「よかったな。許してくれるみたいだぞ」


 それを聞いた途端にほっとしたようで、ロンが大きく肩を落とす。


「よかった、ほっとしました。これでおどおどしないで街の外で狩りができますよ」


 そのあと3人は何度も礼を言って別れました。


「リリーさん、評し抜けですね。でもこれで俺の護衛も必要なくなりましたね。丁度今日が護衛の最終日でよかったじゃないですか」


 いつものように強気な態度で返されると思ったのだが今日は違った。


「そうね、今日が最後なのよね……」


 あれ、悲しんだりしてくれるのか!


 俺の脳内妄想は現在フル稼働状態だ。バットエンドは絶対回避!

 何とかしてハッピーエンドロールを拝みたい!


 絞り出した答えがこれだ!


「俺と分かれるのは寂しいだろうけろろ……」


 やばい! 咬んだ!


「よかったら私達3人でパーティー組まない?」


「……けろろ、へ?」


 しまった!

 咬んだからバットエンド突入なのか、でもパーティーって?


「パーティーだから魔物報酬はちゃんと分けるわよ、安心しなさい。今の私達なら結構稼げると思うのよ。良い案だと思うんだけど、どうかしら?」


 これは新たなリリー攻略の枝道なのか。


「パリピ、パリピなのじゃ!」


 ちょっと黙っててほしいぞルミア。


「パーティーですか。それってなんか制約とかあるんですか?」


 ゲーム内でしかパーティーとか組んだことないし。


「制約みたいなのは組んでから決めていけばいい事よ。お互いプライバシーもあることだしね。ただ一緒に協力し合って稼ぎましょうって事よ。それとギルドにパーティー登録すると、大きい仕事も貰えるわよ」


「そういうことなら俺は賛成です。ルミアはどう?」


「パーティーピーポーになるのじゃ。私もさんせいなのじゃ」


「どうやらルミアも賛成みたいなんでパーティーを組みますか」


「わかったわ。街へ戻ったらギルドに申請するわね。私とパーティー組めるなんて感謝しなさいよ」


 リリーの口元がヒクヒクしてるな。

 これの意味は何?

 嬉しさを堪えている様にも見えるんだが。




 とりあえずベイルズの街に戻ってきました。

 俺にとっては始まりの街だね。


 どうやら午後からのランク昇格試験には余裕で間に合った。


 ギルドで先に魔物を換金する。

 パーティー登録は昇格試験でランクが決定したからだそうだ。


「ねえ、パーティー名はどうする?」


 唐突に聞かれても返答に困るよね。

 全然考えてませんでしたから。

 

「う~ん、特に考えてなかったけど恰好良いのがいいかな。正義の味方っぽいのが希望です」


「私はルミア戦隊で我慢しとくのじゃ」


 戦隊はいいね! 

 でも一番弱いくせにちゃっかり自分の名前入れようとは、図々しいにもほどがあるぞ。


「そうね……リリー親衛隊、リリーを守る会、リリー教団のどれか選びなさい」


 リリー、お前もか!

 特に最後の教団とかは勘弁してくれ。色々と敵を作りそうで怖い!


「2人とも目立ちたいのは分かったけどね、自分の名前入れるのは無しでお願いします」


 結局決まらず昇格試験後に話し合いは持ち越しです。


 ルミアはギルド併設のバーでジュースを飲んで待っててもらう。俺とリリーはギルドの受付で手続きの後、テスト受験用の木札を受け取って近くにある闘技上へと向かう。


 そして俺とリリーの昇格試験が始まった。


 試験は1人づつ闘技場で魔物と戦い、勝てば合格と単純な内容。今回は受験者は俺とリリーを含めて4人いた。

 最初に受けるのは30代前半くらいのおっさんで、Cランクの昇格を賭けた戦いだ。

 俺に年も近いっぽいのでなんだか応援したくなりますな。 


 試合前に障壁と言われる魔法のバリアが闘技場に張られた。これを張るとある程度の攻撃でも闘技場から外に出るのを防ぐことが出来るらしい。


 魔法や飛び道具を使う場合に張られるそうだ。


 Cランク試験という事は現在Dランク冒険者ってことだな。


 一応一般にも開放しているらしく見物者も10人ほどいた。

 それならルミアも見学させれば良かったと少し後悔。


 ギルド員のドラムを叩く音が合図で昇格試験が始まった。


 対戦相手はCランクの魔物である、身の丈2mはあるカマキリだ。


 カマキリは鋭利なかま状の両手を使って、容赦のない連続攻撃をおっさん加える。

 おっさんは左手に持った盾でそれを必死に防ぐ。

 

 おっさんは全く攻撃する余裕さえなく防戦一方だ。

 これはまずいんでないのか、おっさんにはがんばってほしいぞ。


 そんな時おっさんが当たる距離でもないのに、右手の剣を振り下ろしながら何かを叫んだ。


 するとおっさんが振り下ろした剣から、水の刃みたいのがカマキリへと飛んでいく。


 カマキリの胸にそれが直撃し大きく切り裂いた。

 しかしカマキリは体液を撒き散らしながらも攻撃の手を緩めない。


 リリーが言うには水の魔法が付与された魔法剣だそうだ。結構高価なものらしい。


 しかし勝敗は簡単についた。


 カマキリがおっさんに喰いついたのだ。


 両手のかまでの攻撃を防ぐので精いっぱいだったようで、咬み付き攻撃まで防げなかったのだ。


 その時点で試験は強制終了となり、召喚された魔物は元の世界へと帰って行った。


 おっさんは悔しそうにギルド員に治療を受けている。


 なんか厳しい現実を見せられた感じで不安しかない。


 不意打ちで魔物を倒せても、1対1で対峙した状態で勝てなければ昇格できないじゃねえか。これはかなりきついぞ。

 下手したら死ぬ!

 だからと言って手の内をすべて見せるのも考え物だし。


 そんなことを考えていると2番目のリリーの試験の順番が来たのだった。





すいません、投稿遅くなりました。


仕事の関係で不定期投稿が続きそうですが、もうちょっと書き続ける予定です。

よろしくお願いします。



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