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運命の分かれ道へと
そして 昭和20年8月のあの日
上空を旋回する超スピードの敵機一機があった
アレアレと見ているうちに飛行機雲は
円形の中に十字を描いて投爆する事もなく
そのまま消え去った。
私は報国団本部の班長をしていたので
早朝大学本部に集まり 色々と防護の打ち合わせをし
配属将校や他の助教授達と敗戦の間近さを話し
敵上陸部隊がどの方面から上陸するかを想定し
私共の取るべき作戦を練っていた。
考えても何一つとして名案は浮かばず
只横穴や防空壕に隠れて日本刀で敵兵と
相殺の外ない幼稚な作戦に終わるのみであった。
大学防護、只私共の念頭にはそれ以外には
何等の 構想もなかったのである。