終わったが……
いつの間にか一瞬して回り込まれた
「残念だが傷物にしてしまった」
そう言って剣を腰に戻す。会場は男が斬られたかと思われたが
「甘いね」
セシルは何もなかった様にアリアを見る
「なにっ!!」
アリアはセシルがまだ倒してなかったことに驚く
「君も油断が多い」
「くっ、ハァー!!」
焦ったアリアはすぐに剣を握りセシルを斬ろうとする
「駄目だよそんなに焦ったら」
「なっ」
アリアは剣を腰から出せずにいた。それはそのはず、セシルが剣の柄の部分を足で止めていた。
ギリッとアリアは歯ぎしりをして剣を放して右手をそのままセシルの顔にもっていく。
「『ブリザード』!!」
右手から吹雪の様に冷たい風が出る、セシルを凍らすつもりだ。本来『ブリザード』は相手に氷をぶつける魔法であり相手を凍らす魔法ではない。
「姫様!!」
はっとしたアリアはすぐに魔法を止める。そう、ルールは相手を殺すことでなく気絶させることである。
「やっ、やり過ぎたか」
セシルは氷付けにされてしまった。
「は、はわわわ、勇者が氷に!?」
アリアは急いで溶かそうとすると。
「っ!?」
氷付けにされている筈のセシルがニヤッと氷の中で笑った。
ガッシャー!……
「……」
会場は静かになり周りは化け物を見るかのような反応だ。
「だからよう」
セシルは一歩踏み出す。
「甘いんだって」
さらに一歩踏み出す
「出来ればこんな風にやってくれない?」
セシルは右手をアリアのおでこにもっていく、そして
パーンッ!!
セシルはデコピンをした。ただのデコピンではない。人が吹っ飛ぶ程のデコピンだ。
アリアは5メートル以上とんだ。
ドサッ!
「かはっ!」
周り目を見開く
騎士二人をは急いで闘技場に入り姫を助けに行く。そして、姫は運ばれセシルの勝ちが決定した。