何だかんだ可愛い妹
しんやは無表情だ。
不機嫌でも。
怒っていても。
何があっても。
彼の顔は揺るがない。
感情が死滅しているのかと思われる程に。
せっかくのかっこいい顔が台無しなのだ。
すごい面倒くさがりでもある。
そんな彼の意外な一面を、この間見てしまった。
クラス全員で集まったときのこと。
彼は小さい女の子を連れていた。
「にぃにぃ、りいあえたべゆ!あえ!」
「にぃにぃ、おちょいれいくう!」
「にぃにぃ、遊んで!」
終わらない注文に、しかし嫌な顔一つせず、
「ん。」
だの、
「はい。」
だの、全て聞いてあげていた。
帰り際、
「大変なんだな。」
と言うと、
「そうでもない。」
と照れたように言った。
気のせいか頬が紅くなっていた。