Reload Moon Episode
昔書いた小説を、少女視点のまた違う新たなお話として書いてみてます。
展開をもう少し懲りたいので途中にしてますが、出だしは変わらないのでここまでをアップしておこうと思います。
よろしければ、読んで頂ければ嬉しく思います。
小夜の泉の畔に、白い色彩の少女がおりました。
ふわふわの白いドレスを身にまとい、深い鴉色に徐々に染まろうとする空の下円舞曲のダンスを軽やかに踊っております。
今日は満月。今宵を楽しむために生まれ育った少女は、これまで素朴なまでの自らの姿を照らし出す、この月の存在に想いを寄せておりました。
ふと、体を休めるために泉の水面に映りこんだ自らの姿と水に映り込んでいる月を覗き込んでから、空を見上げました。
「暖かな光...今宵は存分に月光を浴びて踊りあかしましょう」
少女は、泉から離れ再び舞踏の場から離れるため踵を返した瞬間、背後で何か大きな物が落ちてきたかのような水音に心臓が飛び出そうになりました。
「?!」
驚いた少女は振り返り様子を眺めていると、泉の中から浮かんでくるのが何処かで見かけた面影の青年であるのだと気が付きました。
「でも、なぜ空から?」
不思議に思いながらも、浮かび上がりきれず反応がない青年に声掛けをしました。
「あの、本当に大丈夫ですか?」
さすがに今宵のドレスが濡れてしまうため、泉の中に入ることはできないけれど、少女は心配になっております。
「あの、大丈...」
すると、青年は急に息を吹き返したかのごとく、泉の中から泳いで丘に上がって来たのです。
「初めまして、お嬢さん...ここは果たして何処かな? どうやら、私は自分が何者なのかが分からないようだ……余り近寄らない方がいい、濡れてしまうから」
水で濡れた全身を気にしながらも、自身が疑問に思ったため零れ出た言葉なのでしょう。その所作から気を配ってくれてることは少女にもわかるのです。
「そうなのですね…一先ず体を温めて休まれてください。心配くださりありがとうございます。もし不自由に感じ私に手伝うことなどありましたら教えてください。自分に力になれましたらと思います。私はこちらで踊っておりますから」
少女は丘に上がってくる青年にそっと声をかけ、そして再び踊りのために元の場所に戻ったのであります。
しばらくお待ちいただければ幸いです。