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2話 その1

 海咲と綾香が生徒会に入った(入らされた)次の日。


 綾香は海咲の家の前に来ていた。 時間は7時15分。学校は8時30分に始まる。


 特に家が遠いというわけでもないのでだいぶ早い時間だ。


 綾香は海咲の家の裏に回った。家の裏には庭がある。


 その庭は海咲が手入れしている。そこは小さいながらもきれいな花畑になっていた。


 花壇に水をかけていた海咲は、綾香に気付くと顔を上げずに言った。


「今日は多分〝出る〟」


「え?」


 海咲は綾香の疑問の声には答えずに、一度家の中に戻った。


 そしてすぐに通学鞄を持って出て来た。


「行こうか」


「うん」


 2人は普段と全く変わらない様子で学校へ向かった。



 教室に着いた時、来ている人はまだ誰もいなかった。時間が早すぎるのだ。


 朝のホームルームまでまだ結構な時間がある。


 だから2人はなんとなく第2生徒会室に向かった。


 第2生徒会室へ行くためのルートは2つある。


 1つは昨日教えてもらったルート。


 もう1つは体育館のステージ下の隠し階段を降りて地下通路に入るルート。


 後者を使うことは滅多にないが。例外として、水樹のような能力を使う事も出来る。


 その場合は基本ドアの前までだ。


 やろうと思えば、昨日のように中まで行けるが、代々そういう決まりになっているらしい。


 2人は生徒会室を覗いたが、誰もいなかった。


 綾香がカギを取り出し、生徒会室の中に入った。どうせだから、と2人は隠し階段を降りた。


 第2生徒会室に入ると、そこには1年生の2人ーー水樹と藤乃ーーがいた。


「2人共、早いんだね」


 綾香が言った。


「………」


「今日はちょっと早めに来ちゃったのでここで時間潰してたんです」


 答えたのは水樹だった。そして、少し躊躇うような素振りを見せてから言った。


「あの、海咲先輩。訊きたい事があるんですけど、いいですか?」


「何?」


「どうやったら能力を、速く使うことができますか?」


 海咲は少し考えるように間をあけた。


「なぜ、ぼくにそれを?」


「……なんとなく、です」


 海咲はまた間をあけてから答えた。


「これはぼくの個人的な意見なんだけど。

 能力というのは、自分の心とか気持ちとかそういうものから生まれたんだと思う。

 だから、ちからを信じる気持ちが能力エネルギーの源。……ぼくはそう考えている」


 海咲は言葉を切ると、綾香の方を向いた。


「私も、気持ちがエネルギーの源って意見には賛成かな」


 海咲がまた言葉を続けた。


「速さだけでいうなら能力を使った回数、つまりどれだけ能力に慣れているのかも重要になっているかもしれない」


「つまり、気持ちの強さと慣れだけだってことですか?」


 水樹が訊いた。


「まあ、そういうこと」



 しばらく経った頃、綾香が言った。


「そろそろ教室行こうよ」


 時間はいつの間にかホームルーム10分前くらいになっていた。


「そうですね」


「「………」」


 答えたのは水樹で、後の2人は無言だった。


 帰りは水樹の能力を使った。

 本人の言う通り、発動させてから効果が出るまで、少し時間がかかっていた。


「じゃあ、また放課後ね」


 綾香が言って、4人は別れた。

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