表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

女神の天啓

作者: kouto
掲載日:2014/12/19

 昔々(むかしむかし)活気(かっき)のある平和(へいわ)(ゆた)かな(くに)がありました。

 ある()、その(くに)のお(しろ)()王様(おうさま)ラサキムの(もと)女神(めがみ)()()り、こう()げました。

(ちか)将来(しょうらい)、この(くに)悪魔(あくま)(あらわ)れ、(くに)不幸(ふこう)にさせます」

 王様(おうさま)ラサキムは(おどろ)き、女神(めがみ)(たず)ねます。

「どうにか不幸(ふこう)にならない方法(ほうほう)はないのでしょうか?」

 その言葉(ことば)()いて女神(めがみ)()()(あたま)()げて、(かんが)えた(あと)にこう()いました。

(わたし)()(こと)()いていただければ、(かなら)ずや悪魔(あくま)()(はら)い、(くに)(すく)われる(こと)でしょう」

 女神(めがみ)(つづ)けて()います。

「これから()まれてくるあなたの息子(むすこ)王子(おうじ)(つぎ)(こと)(おぼ)えさせるのです。

 (ひと)()(わたし)(うやま)うこと。

 (ふた)()正直者(しょうじきもの)であること。

 (みっ)()(よわ)(もの)(たす)ける勇気(ゆうき)()つこと……」

 ラサキムは女神(めがみ)()(こと)(おぼ)えられるよう(かみ)とペンを()って真剣(しんけん)()きます。

(よっ)()料理(りょうり)上手(じょうず)出来(でき)ること。

 (いつ)()掃除(そうじ)出来(でき)ること。

 (むっ)()()(もの)出来(でき)ること……」


女神様(めがみさま)少々(しょうしょう)(たず)ねしたいことがあるのですが?」

「いかがしましたか? ラサキムよ」

「その……、(よっ)()から(むっ)()悪魔(あくま)()(はら)うのに(なに)関係(かんけい)があるのでしょうか?」

(かなら)ずや王子(おうじ)(やく)()つことになります」

 ラサキムは(くび)(ひね)りながらも女神(めがみ)()(こと)をメモに()いていきます。


 …………


「では最後(さいご)(ひゃっ)()王子(おうじ)十六(じゅうろく)になったら(きた)へと(たび)をさせるのです」

 ラサキムはすべての言葉(ことば)(かみ)(おさ)めました。そして女神(めがみ)(たず)ねます。

女神様(めがみさま)、これらの(こと)をこれから()まれてくる()(おし)えれば(くに)(すく)うことができるのですね?」

(かなら)ず」

 ラサキムは女神(めがみ)言葉(ことば)(しん)じることにしました。そして数年後(すうねんご)王子(おうじ)()まれます。名前(なまえ)をリュカと名付(なづ)けられました。

 ラサキムは女神(めがみ)()われた九十九(きゅうじゅうきゅう)(こと)をリュカに(おし)えました。そして最後(さいご)にリュカが十六(じゅうろく)(とき)(きた)へと(たび)()したのです。


 (くに)(はな)れて(きた)へと(たび)()王子(おうじ)リュカ、リュカは(ふか)(もり)(なか)一人(ひとり)少女(しょうじょ)出会(であ)いました。名前(なまえ)をスヒカと()います。

 スヒカはこれから(もり)(おく)()魔女(まじょ)(もと)()こうとしているところでした。リュカは(たず)ねます。

(きみ)のような少女(しょうじょ)がどうしてそんな(ところ)()くんだい?」

(わたし)(ちち)魔女(まじょ)(のろ)いで(たお)れてしまったのです。『(のろ)いを()きたければ(わたし)(もと)()い』と魔女(まじょ)()ったのです」

 (よわ)(もの)(たす)ける勇気(ゆうき)()っていたリュカは()います。

「そんな(あぶ)ない魔女(まじょ)(ところ)一人(ひとり)()必要(ひつよう)はないよ。(ぼく)一緒(いっしょ)()こう」

 リュカの言葉(ことば)()いたスヒカは感謝(かんしゃ)して何度(なんど)(あたま)()げました。そしてリュカと(とも)魔女(まじょ)(もと)へと()かいます。


 木々(きぎ)が()(しげ)(なか)()()られたかのようにある(いえ)、そこに魔女(まじょ)()んでいます。リュカとスヒカは魔女(まじょ)(いえ)(とびら)まで()て、トントン、とノックしました。

 (いえ)(なか)から()(ひく)老婆(ろうば)姿(すがた)をした魔女(まじょ)()てきます。そしてリュカを(ほそ)(ゆび)()すとしわがれた(こえ)()いました。

「おまえは(だれ)だい? ここへ()るのは娘一人(むすめひとり)だけのはずだろ?」

(わたし)はリュカ、あなたのような(ひと)にスヒカさん一人(ひとり)()わせられるものか!」

「いきなり失礼(しつれい)(やつ)だね!」魔女(まじょ)(おこ)ります。

失礼(しつれい)なのはおまえだ!」(いきどお)るリュカ、(かれ)にスヒカがヒソヒソと耳打(みみう)ちをします。

魔女(まじょ)(おこ)らせないでください。()きて(かえ)れませんよ」

(もう)(わけ)ないが(わたし)正直(しょうじき)()きるよう(そだ)てられてきた。だから(うそ)をつくつもりはない」スヒカにそう()うとリュカは魔女(まじょ)をにらみつけます。

「ふん! で? おまえは(なに)しに()た?」

「スヒカさんの父親(ちちおや)(のろ)いを()いてもらうために()まっている」

「はん! あいつはね、(わたし)約束(やくそく)をしたんだよ。『裏切(うらぎ)らない』と、『(つき)()たし(あか)()める』と、なのにその約束(やくそく)(やぶ)ったのさ。当然(とうぜん)(むく)いだよ」

「そんな、(ちち)がそのような(こと)を……」スヒカは(むね)()()てて(かな)しそうに()いました。魔女(まじょ)はリュカを指差(ゆびさ)しながら()います。

「だからお(まえ)には関係(かんけい)のない(はなし)さ」

「それならばスヒカさんにも関係(かんけい)ない(はなし)だろう?」リュカは(かな)しそうにうつむくスヒカと魔女(まじょ)(あいだ)()ちます。

「ならばお(まえ)が、スヒカの()わりをやるって()うのかい?」

「それで(のろ)いを()いてくれるんだな?」リュカは()いました。スヒカは(かお)()げてリュカの(ふく)(そで)(つか)みます。

「そんなリュカさんがそんな(こと)をしなくても……」

大丈夫(だいじょうぶ)です」リュカは笑顔(えがお)(こた)えました。

()まりだ。お(まえ)にもう(よう)はない」魔女(まじょ)はスヒカに(かえ)るよう()います。

 なかなか(かえ)らないスヒカにリュカは()いました。

(わたし)なら大丈夫(だいじょうぶ)です。(まか)せてください」

 その言葉(ことば)()いたスヒカはリュカにお(れい)()って()っていきました。


「バカな(やつ)だね、あんたは」

自分(じぶん)(こころ)正直(しょうじき)()っただけだ」リュカは自分(じぶん)(むね)()()てます。

「だからバカなのさ」魔女(まじょ)(いえ)(なか)へと(はい)っていきます。「さあ

あんたも(はい)るんだ」

 リュカは魔女(まじょ)(いえ)(なか)へと(はい)ります。リュカは(おど)きました。(いえ)(なか)(ほこり)だらけなのです。食事(しょくじ)をするであろう(つくえ)(うえ)(よこ)れた(さら)無残(むざん)()かれ、(しろ)(ほこり)がついています。(ひかり)()()れるガラス(まど)木枠(きわく)にも(ほこり)がつもり、(はし)には蜘蛛(くも)()()っています。

「あんたにはこの(いえ)掃除(そうじ)してもらう。出来(でき)なかったらはたきにでもしてやろうかね? ヒッヒッ」魔女(まじょ)(わら)いを()かべながら命令(めいれい)しました。

 魔女(まじょ)()みにリュカも()みで(かえ)します。リュカは掃除(そうじ)出来(でき)るのです。(またた)()魔女(まじょ)(いえ)(なか)綺麗(きれい)になりました。(つくえ)(まど)もピカピカと(かがや)き、そこには(なに)もありません。

 魔女(まじょ)(おどろ)きました。


「つ、(つぎ)料理(りょうり)だ! 出来(でき)なかったら(まき)にして()やしてやるからね!」

 リュカは(いえ)にある材料(ざいりょう)料理(りょうり)(つく)ります。パセリの(くき)()れた(かお)(ただよ)うスープ、パセリの()をまぶし(あぶ)ったベーコンはサラダの(さら)()せられ、そのかたわらにはふっくらと()()げたパンがありました。

 魔女(まじょ)はパンを片手(かたて)にスープを()み、サラダを()べました。

 ()()えると魔女(まじょ)はさらにリュカに命令(めいれい)します。(あたら)しい(ふく)()むこと、(かた)()(こと)、いろんな(こと)です。それらをすべて出来(でき)るリュカに魔女(まじょ)はうんうんと(おお)きく(うなず)くのでした。


 リュカはすっかり魔女(まじょ)()()られ、ずっと家事(かじ)(おこな)っていました。そして魔女(まじょ)とリュカが()って約二年(やくにねん)()った(ころ)一人(ひとり)(みず)()みに()っていたリュカの(もと)女神(めがみ)()()りました。

「リュカよ、(くに)(かえ)るときが()ました。(たび)()えて(かえ)るのです」

 女神(めがみ)(うやま)っていたリュカ、魔女(まじょ)にこの(こと)(はな)し、(くに)(かえ)ろうとします。そんなリュカに魔女(まじょ)()いました。

「お(まえ)のことだからきっと()めても()かないんだろう。これを()ってお()き」魔女(まじょ)()のひらに()せている(あか)宝石(ほうせき)()せます。

「これは二年間(にねんかん)(つき)(ひかり)()(つづ)けたルビー、幸福(こうふく)魔除(まよ)けの宝石(ほうせき)だよ」

「ありがとうございます」リュカはルビーを()()りました。

「もし……、もし(なに)(こま)ったことがあったら(わたし)名前(なまえ)()ぶといい。(わたし)名前(なまえ)はジリバ。ヒッヒッヒッ」魔女(まじょ)ジリバは微笑(ほほえ)みながら()いました。

「お世話(せわ)になりました。ジリバさん」リュカは()()りながらジリバの(いえ)(あと)にしました。


 リュカが(くに)(もど)ると大変(たいへん)なことになっておりました。(ゆた)かだった(くに)(おとろ)え、人々(ひとびと)(かお)から若々(わかわか)しい活気(かっき)(うしな)われておりました。(うつむ)いて(ある)(もの)、ため(いき)をつく(もの)、その(かお)には不幸(ふこう)()えます。

 リュカは(あわ)てて(ちち)ラサキムの(もと)へと(はし)ります。ラサキムは(やまい)(たお)れベッドに()しておりました。

父上(ちちうえ)!」リュカはラサキムの(ほそ)くなった()(つか)みます。

「おお、リュカよ。(もど)ったか」

「いったい、(なに)があったのですか?」

悪魔(あくま)だ、悪魔(あくま)ルーゲンがこの(くに)生気(せいき)(うば)っていったのだ」


 ラサキムはリュカに説明(せつめい)しました。悪魔(あくま)ルーゲンは突如現(とつじょあらわ)れ、(しろ)屋上(おくじょう)()()くと国中(くにじゅう)生気(せいき)(うば)っていったのです。生気(せいき)(うば)われた人間(にんげん)活気(かっき)がなくなり、人々(ひとびと)は(はたけ)(たがや)したり、果物(くだもの)(そだ)てたりする仕事(すごと)出来(でき)なくなっていきました。そして(ゆた)かだった(くに)はだんだんと(おとろ)えていったのです。ラサキムは悪魔(あくま)ルーゲンを()(はら)おうとしました。しかし、ルーゲンの生気(せいき)()(ちから)(かな)わず、()(はら)うことが出来(でき)ませんでした。


父上(ちちうえ)(わたし)(たび)(なか)でこの幸福(こうふく)魔除(まよ)けのルビーを()()れました。このルビーで(かなら)ずや悪魔(あくま)ルーゲンを()(はら)って()せます」

 リュカはそう()うと(しろ)屋上(おくじょう)へと()かいました。

 悪魔(あくま)ルーゲンがいます。その姿(すがた)(ひと)(おな)(かたち)をしているものの、(あお)(はだ)(つの)尻尾(しっぽ)()やしたそれはこの()()(もの)ではありません。

 ルーゲンはリュカを()るとすさまじい(いきお)いで(ちか)づいていきました。

 リュカはルビーを(かか)げます。

 ルビーはルーゲンの()(まえ)()()されました。

 ルビーを()たルーゲン、ピタリと(うご)きを()め、(あお)(かお)から(あせ)()()しました。

悪魔(あくま)よ! ()()れ!」リュカがそう(さけ)ぶと、ルーゲンは(いきお)いよく(そら)へと()かび、はるか彼方(かなた)へと()()っていきました。


()くやりました。リュカ」

 屋上(おくじょう)一人立(ひとり)つリュカの(もと)女神(めがみ)()()りました。リュカは女神(めがみ)(あたま)()げます。

女神様(めがみさま)()われた(こと)(まも)ることで上手(うま)くいっただけにすぎません」

()われた(こと)(まも)(こと)(むずか)しいものなのですよ。さあ(あたま)()げなさい」

 女神(めがみ)はリュカの()()り、リュカの()()つめながら()いました。

「この(くに)(すく)ったあなた、(わたし)(とも)(てん)へと(のぼ)りましょう。そこで(とも)()らすのです」

()かりました」女神(めがみ)()われた(こと)にリュカは(こた)えました。

 女神(めがみ)(からだ)がふわりと()かび()がり、リュカも女神(めがみ)()()かれるように()いていきます。

 リュカはやがて(くも)(うえ)にある(てん)(くに)へとたどり()きました。


 リュカはそこで女神(めがみ)(とも)(しあわ)せに()らしています。


 めでたしめでたし

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ