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「リペアセンターの記録には、アヤを連れ出した者の記録があった」



「プリブ」



 さすがにスジーウォンやスミソが目を剥いた。

「そんな!」

「何かの間違いでは?」

 イコマは努めて冷静に言った。

「そう。間違いであって欲しい」


 しかし、間違いだと決めつけるわけにはいかない。

 もし、プリブがステージフォーとやらに洗脳されてしまっていたのなら。

 そして、アヤを取り戻しに来たとしたのなら。




 部屋の中に、唸り声だけが残った。


「あのリペアセンターに入るためには、スキャンエリアを通過しなくてはならない。ヴェインロード、つまりリペアセンターの前の広い道だが、そこからリペアセンターの待合室に至るスキャンエリア。そこにプリブの名はなかった」


 キョー・マチボリーのシステムが正常に機能していたのなら。




 チョットマはすでにこの話を聞いている。

 今は、微動だにせず、ショールを握りしめて俯いている。

 ンドペキは顔を紅潮させて立ち上がり、イコマを見つめ、何か言おうとしたが、結局は目をそらし、天井を睨みつけている。


「街からヴェインロードに入るときのスキャンエリアにも、プリブの名はなかったそうだ」

 と言ったところで、凍り付いた場を溶かすことはできなかった。




 ドアを叩く者があった。


 久しぶりに見る顔。サリの顔。

 KC36632。ユウの部下。


 狭い部屋を、すらりとした長身の置き場を探すように見渡し、結局、入口近くに立った。


「お取込み中のところ、すみません。ご無沙汰をしています。いつぞやは、大変ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」

 と、頭を下げた。


「ん? なんのことだ?」

 ンドペキの問いかけに、KC36632は「レイチェル長官が貴隊の隊員に……」と、言った。


 KC36632は、自分がサリの姿をしていたばかりに、本物のサリを見抜けなかったことを知っている。

 結果としてレイチェルはサリに刺され、水中に没したのだ。


 だからといって、KC36632に責任はない。

 ただ、今もまたサリの姿をしていることに違和感はあったし、できれば慎んで欲しいという気持ちはあったが。

 誰もそれを指摘しないなら、イコマが言うことではない。


 KC36632は、きっとユウからの大切なメッセージをもたらしに来たのだ。



 はたしてKC36632は、早速ですがJP01、ユウさんからの伝言があります、と切り出した。

 イコマさん宛てなのですが……。


「構いません。ここで話してください」

「プライベートなことも含まれますけど」


 構わない。


 はい、それでは。

 彼女が話した通りにお伝えします。

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