表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/200

95 そう。間違いであって欲しい

 さすがにチョットマの顔が引きつった。


「ぼろを着てたんだね。それってプリブらしくないかい?」

 かつてニューキーツの広場で落ち合った時。

 あの時のプリブの変装姿とそっくりじゃなかったかい?


「それに、EF16211892という名前。捻ってみようか」


 数字をアルファベットの順番に当てはめてみると、十六番目はP、二十一番目はU……。

 EFというのはイーストフォースじゃないかな……。

 東部方面攻撃隊……。



「そもそも、それを思いついたのは、もしその男性がコンピュータが作り出したキャストなら、翌週に約束したチョットマとのデートをすっぽかすはずがない」


 チョットマは口をあんぐり開けている。

 しかし、そこにあるのはまだ驚きだけで、それ以外の感情はないようだ。

 いずれ悲しみに輪をかけることになるかもしれないが。


「それに、チョットマの靴を踏んづけたりしない」



 ライラが舌打ちをした。

 この場で言う必要があるのかい! と、言いたげに。



「警察にプリブが注目されていたのは、ヴィーナス殺しの容疑者として。つまり、マスカレードにプリブがいたからに他ならない」


 チョットマとの約束どおり、マスカレードに姿を見せなかった理由はもう説明するまでもない。

 警察、あるいは誰かに捕まっていたのだから。


 話しながら、イコマ自身も、この話題がプリブ発見に繋がるのかどうか、全く見えてはいない。

 しかし、だからこそ、この段階でこの仮説を立てておこうと思ったのだった。



 そして、プリブに関してはもうひとつ、重要な情報がある。


 チョットマはまた俯いてしまった。

 泣くんじゃないよ。

 堪えて。

 まだまだ先は長いのだから。

 イコマは心の中でチョットマに声を掛けてから、言葉を続けた。


 スミソがなぜそう思ったのかは、言うまい。

 アラブのお姫様に二人目に声を掛けたミドリトカゲが、実はスミソだったとしても。


 それをチョットマに打ち明けたのかどうか、知らない。

 聞いておくことでもない。

 二人の問題だから。




「アヤの件を話す前に、その他の情報を整理しておこう。注目するべき点かどうか分からないが」


 サワンドーレの件。

 彼がンドペキにささやいた言葉はイコマの耳にも入っている。



 神が、ある一組の男女を探しているようです。



 それがどんな意味を持つのか、今なら想像することができる。

 パリサイドの地下組織、ステージフォーという秘密結社。宗教団体の態をしている。

 アヤやプリブの事件は、その組織が関係している。

 言い切れるものではないが、今のところそう考えておくのが普通だろう。



 サワンドーレはアヤを知っている。プリブも知っている。

 講師として。


 あいつが、何らかの手引きをした。

 考えられないことだろうか。



 サワンドーレは講義に顔を見せなくなった。

 それはとりもなおさず、警察ないし治安に拘束されたからではないのか。ステージフォーの構成員のひとりとして。


 現に、その娘であるキャンティも元旦の講義に来たのみ。

 二日には顔を見せず、また他の人に変わってしまった。



「もう一点、キョー・マチボリーの情報、実際はアイーナから聞いた話だが、パリサイドに着陸する船の名簿にない名前が、百ほどもあるという」

 パリサイドだけではない。地球から来た者の名も数十ばかり含まれるという。

 このシップの乗組員や関係者を除いて。


 そのリストまで見せてもらったわけではないが、アヤの名も、プリブの名も搭乗者名簿にない。




 最後に話すのはアヤの件。


 アヤを襲った犯人は見つかっていないし、父親を名乗って連れ出した者も見つかっていない。

 アヤを拉致した連中も特定できていない。


「実は、とんでもない情報がある」


 これを話すことが辛かった。

 嘘であって欲しい。

 何らかのまやかしであって欲しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ