表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/317

88 お前の思い付きで、この私が動くと思うのか!

「まだなんとなくだけど、キョー・マチボリーが絡んでいるような気がするのね。ママはどう思う?」

「なぜだ」

「ママは、キョー・マチボリーと仲良しだから、聞いてみてくれない? こちらから公式照会を出すより、効果的だと思うから」

「どういうことだ。キョー・マチボリーとプリブという男、どういう関係がある」

「だから、それはまだ分からないわよ。言ったじゃない、なんとなくだって」 

「お前の思い付きで、この私が動くと思うのか!」

「けち」




 思い付きだとは言ったが、イッジにはそれなりに目算があるようだ。


「きっとそのうち、行ってもらうことになると思うわよ」


 アイーナは返事をしなかった。

 ただ、少しはその気になったのか、唸り声をあげた。



「最後に、例の未知の組織。これは治安省の管轄ね。癪だけど」



 イッジがチラチラとケーキに目をやりながら話している。

 欲しいのかと思ったら、違った。


「ママ、いい加減にその毒物の山、執務室に置くの、やめたら? 身体に悪いよ」

「ふん、お前に言われたかないね。自分の体のことは自分で管理できる」

「でもさあ」


 その時初めて、チョットマはイッジと一瞬、目があった。

 チョットマは、押さえつけられた腿に圧力を感じながら会釈した。


「そちらのお嬢さんにも、勧めたんでしょ」

 とは言うが、会釈を返そうとはせず、次の話に入っていった。



「ヴィーナスの件だけど、彼女の死因が解析できたわ」

「それは、私が聞かなくちゃいけないことじゃない!」

「そう?」

「純粋に警察の仕事だ!」


 イッジは半ばバカにしたように、

「だって、ママのお友達でしょ」と口元を歪めた。


「市民代表議員幹事の一人、ママの懐刀であって、中央議会議長の座に最も近い位置にいる敏腕。将来は……」

「うるさい! その話はするな!」

「そういう間柄だから、立ち入るのを避けたいのは分かるけど、死因だけでも聞いたら?」


 返事を待たずに、イッジがまくし立てた。


「死因はソウルハンドによるもの」


 アイーナが驚きの声を上げた。


「なんだって!」

「そう、ソウルハンドよ。間違いない」

「ありえない!」

「だよね。この船の中で、そんな死体を見ることになるとはね」



 アイーナが怒声をあげた。


「報告は以上か!」

「以上です!」


 ふざけて口真似をするイッジの目に、チョットマはちらりと感情が見えたような気がした。

 それは、憐れみ、という類の感情のように感じられた。


「では、出て行け! 自分の仕事に戻れ! そして、部下に発破をかけろ! 直ちにプリブを見つけ出せ!」

「かしこまりました!」



 遂に、チョットマがイッジに紹介されることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ