67 鏡面のようなメタルの仮面
「ごめんね……パパ……浮気して……」
「ハハ、そんなの浮気って言わないよ。君を楽しませるためのマスカレードだったんだから」
チョットマの声は、話し始めた時に比べて、少し強くなったように感じる。
それでもまだ、息をつき、思考が迷っているような間がある。
未知の病との戦いはまだ始まったばかり。
一つ目のお姉さんは、囁くようにシャンソンを唄ってくれている。
チョットマはリンゴをかじり、ソーダー水を口に含んでまた話し出した。
音楽は終わらない。
次第にテンポが増していき、ついていけないほどになったと思うと、一転して重厚な響きを奏で始めた。
ああっ!
ホール中の目が天井に注がれた。
描かれた絵に亀裂が入り、光が漏れだした。
階段だ!
天井に巨大なハッチが開くように、大きな階段が降りてきた。
おおおっ! すごいぞ!
歓声が上がる。
うわ!
なんて仕掛けなんだ!
幅三メートルはあろうか、長い長い、ホール中を覆うようにカーブした階段。
豪華な装飾が施された太い木製の手すりに、ふかふかの真っ赤な敷物。
絨毯の留め具が金色に光っている。
その最下段が手の届きそうな位置まで降りてきたとき、再び歓声が上がった。
誰!
降りてくる者がある。
ゆっくりと、力強い足取りで。
歌っている。
マスカレードの歌を。
鏡面のようなメタルの仮面の下で。
艶やかな濃紺のマントを翻しながら。
うわおっ!
男が剣を抜いた。
頭上高らかに掲げると、シャンデリアの光を受けて強く白く輝いた。




