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65 ルン、チャッチャ

 彼の足が踏み出された。


 私の腰にある手にやさしく力が込められ、それに合わせて私の足も動き出した。

 彼の目、サングラスの奥にあった瞳を見つめて。



 お姉さんに歌を教えてもらっていて本当に良かった。

 リズムというものは私の身体にある。

 少し変わったリズムでも、何とかなる。

 それに宮殿に入ってから、このリズムに身体を合わせてたから。



 ルン、チャッチャ、ルン、チャッチャ、ルルン、チャッチャ、ルーン、チャッチャ。


 踊りなんて適当。

 まずはリズム。


 ルン、チャッチャ、ルン、チャッチャ、ルルン、チャッチャ、ルーン、チャッチャ。



「申し訳ない」

 と、EF16211892は何度も言う。

「いえ、大丈夫です」

 と、私は応える。



 ルン、チャッチャ、ルン、チャッチャ、ルルン、チャッチャ、ルーン、チャッチャ。


 靴を踏まれようが、たたらを踏もうが、気にしない気にしない。

 私も彼の向う脛を何度蹴とばしたことか。



 音楽は盛り上がり、テンポが増していく。

 かと思えば、スローダウン。

 その都度、彼はテンポを外し、手は汗ばんでくる。


「申し訳ない」

「いいえ、お気になさらないで」

 なんて、私の言葉も変わっていく。



 回る回る。

 調子に乗って。

 リズムを追って。


 ルン、チャッチャ、ルン、チャッチャ、ルルン、チャッチャ、ルーン、チャッチャ。


 今度は左回りね。

 スカートを翻して。

 可憐に軽やかに。

 上手に引っ張ってね。


 ルン、チャッチャ、ルン、チャッチャ、クルン、チャッチャ、クルリン、トントン。

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